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上り列車
行き過ぎる列車の君は
いつか見た日の残像
平野に降り立つ渡り鳥
迫る夕闇に急かされて
安住の地を求め渡り
街が去る車窓には
家路を目指した若者が
染まる夕日に歩を溶かし
ああ 独り残して
ああ 駅を行き過ぎ
在りし日の君は二度と見えない
上る 過ぎる はやる 列車の暴走
心残り捨てて 来た道も忘れ
半ば過ぎて現在を見渡せば
無限の彼方へ運ばれて
ああ 君が居れば
もう 謎は解けたと
在りし日の問いに答えるのに
尚も 過ぎる はやる 列車の暴走
心残り捨てて 来た道も忘れ
過去に未来に現在は何処にも無く
無限の彼方へ運ばれて