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絶望2

少年が目の前にする守護結界の強大さは歴史が証明していた。


800年ほど前に隣国リーオード王国が攻め寄せ、遂には王城を残すばかり…となった時のことである。

絶望に暮れていたウィング王国を守護結界が守りぬいたのである。


銃弾も剣もことごとく弾き飛ばす結界を打ち払うべく、リーオードの精鋭集団は同時に攻撃魔法を放った。

それは凄まじい威力であったにもかかわらず、結界はビクともしなかった。

それどころか、攻撃魔法を放った魔法使いの生命力を吸い取って殺したのである。

ただの結界が生命まで奪った衝撃に、リーオードの軍勢は激しく動揺しそのまま撤退したのであった。


その1年後、リーオード王国は周辺国と同盟を結び、圧倒的な軍勢で再び攻め寄せた。

そして結界を破壊するために、前回の10倍の魔法使いを用いて攻撃した。

魔法使いは全滅し、戦意を喪失した軍勢は、ウィング王国から立ち去るほかなかった。


…この日の出来事は大陸中にウイング王国の結界の強大さを刻みつけることとなった。

他国では、血に塗れた結界と呼ばれ、それ以降ウイング王国を滅ぼそうとする国家は現れなかった。


結界は魔法使いの生命を吸い取り、さらに強くなる。

もはや何人たりともあの血に塗れた結界を滅ぼすことは叶うまい…。

挑んだところで、ただ無駄死にするだけだ。


このことは大陸の常識として親から子へと伝えられていった。



さて「守護結界をぶっ壊す」と言った少年は、決して怖いもの知らずであったわけではない。

単純に、歴史を知らなかった…というか、記憶がないので常識知らずだったのである。

まさか結界に攻撃魔法を放つことで命を奪われる…なんて予想だにしなかったからこその発言だった。


この時、大勢の軍人が持ち場を離れて王城に駆けつけてきていた。

目の前の事態に衝撃を受けた彼らはなんとか皆を救い出そうと必死になった。

結界に体当たりしてみたり、剣で斬りかかったり…。

城内にいた貴族官僚は、そんな軍人たちの様子を散々バカにしてから転移していった。

バカにされても、何かをせずにはいられなかったから後悔は無かったが…。


正直、あの少年は自分たちを上回るバカだ、と思った。

守護結界に攻撃魔法を放つ、しかも単独で行うなんてただの自殺行為だから…。

軍人の中から囁きが漏れた。

「いや、まさか本気でやるわけないよ、な…?」


もちろん、少年は大いに本気だった。

ノーリスクだと信じていたからだが…。

彼はこれ以上無いとばかりに集中し、攻撃魔法を手元に凝縮し始めていた。



そんな少年の150メートル後方からリオウが、ルドヴィークが、トムが、レオンが駆けつけてきていた。

稀に見る少年の本気の走りに彼らは追いつくことが出来なかったのだ。

そのため少年ただ一人が結界と対峙する…なんて事態が発生していた。

当然、結界の歴史を知っていた彼らの顔は総じて青ざめていて、少年に向けて絶叫した。


「お前が保護者をなんだかんだで大切に思っていることは知っていたが…やめるんだ!!!!!」

「間に合わない!…頼む、やめてくれ!君の命はこんなことで失われては困るんだよー!!!!!」

「…や、めて。貴方まで国の犠牲になるなんて…。やめて下さい!!!!!!!!」

「大佐!無謀です!!貴方の生命が吸い尽くされるだけです。お願いします!やめてくれー!!!!」


残念ながら少年自身には彼らの叫びが届くことは無かった。

だが軍人たちは、彼らの必死の叫びに少年が本気で攻撃魔法を放つのだと確信し唖然とした。


この場にいる全ての人の視線は、少年に釘付けとなっていた。

笑みを浮かべた少年は城に向かって叫ぶと、遂に攻撃魔法を放った。

「待ってろ!絶対にぶち破るから、諦めるなよ(おっちゃん)!!」


その声を、叫びを聞いた人々は思わず涙をこぼした。

命を賭けた少年の行動は無謀そのもので愚かなのに。

裏切られてばかりの人生で、信じることの愚かさを今日、痛感したばかりだというのに。


彼を信じて、生きる希望を諦めたくないと願ってしまった。

絶望に染まっていた彼らのココロに一筋の光がさしこんだ瞬間だった。


この瞬間が彼らの人生を大きく変えることになる。




時は止まらない。

過去に戻ることもできない。

常に歩み続けるしかないのだ。




お気に入り登録をしてくださった皆様、ありがとうございました。

少しでも気に入ってくださる方がいるんだと分かって、とても嬉しいです。

執筆頑張ろう!と思えます。


こんな駄作品ですが、これからもよろしくお願いします。

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