新兵訓練
なぁ、ここは本当に新兵訓練の集合場所か?
俺がいうのも何だが…皆大丈夫か?
今にも倒れそうっていうか、あの辺の人たち確実に寝てる…よね?
「そうだな。生きるために軍人になったんだろう。衣食住は支給される仕事だからな。」
いやいやいや、リオウさん。
そんな冷静な返答は求めてないから!
皆寝てるというよりも、死にかけてるって感じでしょ。
あそこまで痩せ細って…もう、息をしているのが奇跡!って感じだぞ。
どうなってんだよ、ここは。
明らかに異常な光景だろ。
「異常って言われてもなぁ。…街に行けばいくらでも転がっているだろう?」
転がってる、って…。
そんな恐ろしい街があってたまるかよ。
街ってのは活気があるのが常識だろ?!見たことはないけど…。
「は?あの薬師の所に入学前は居たんだろう?街ぐらい行ったことあるだろ。」
う…。だっておっちゃん、薬草仕入れるために、森の奥深ーいところに家を立ててたし。
学校に来る時は唯一街を見る機会だったけど、馬に酔ってグロッキーだったから…。
「なるほどな、だがお前もすぐに見慣れるさ。気にかける必要もない。」
クールすぎだろ、リオウ。
俺たちが国から貰った祝い金は、結局税金だろ。
血税ですよ、血税!
あの金には本気で血が滲み込んでるんだ。
それを受け取っておいて、見なかったふりなんてしたら…。
「そうだねー。じゃあこんな国滅ぼしちゃおっか?」
はぁ!?
軽い!軽く言っちゃったよ。
あんた、元だけど、教師でしょ。
「だってーそういうことでしょ。税金が高すぎて、庶民は死にかけてるんだよ。」
だからって、国が滅んだりしたら大混乱でしょ!
そんな混乱の中で犠牲になるのは、結局民衆だよ。
それに…国滅ぼすだけで守れるのなら、とっくにやってるさ。(…誰か勇敢な人が)
そう言って俺は珍しく将来について深く、深く考え出した。
こんな非道な政治が続いたら、いつか内乱が起きる…よな。
あれ?…俺、殺されたりしないよね?
でも、黒髪は、金いっぱい貰えるし恨まれてそう。
しかも俺国軍に入っちゃったし。え、やばくね?
石を投げられて死亡とか絶対ヤダよ!
現実味のある未来に若干ビビった俺は、一瞬後には、倒れ込んでいる人を救助すべく走り出していた。
「ふーん♪ちゃんと、国のことを考えてるならいいんだよ!」
「ほう?お前は民衆を守りたいのか…。なら話は別だ、俺も守るさ。」
二人が言葉を発した時には既に、保身の為にせっせと救助を行っていたのであった。
もちろんそれは、話を盗み聞いていた存在に、少年が気がついていなかったからだろう…。
気づいていれば、彼らから離れることは絶対になかった。
少年と共にいた人間は、ずば抜けて優秀な存在なのだから…。
当然彼らは、最初から背後の存在に気がついていた。
リオウとルドヴィークは、彼らと向き合い戦闘態勢に入った。
「フフ。さて君たちが彼を殺そうとするのなら、容赦は出来ないなぁ、ねぇトム?」
集団の背後には、既に剣を構えた男が悠然と微笑んで立っていた。
「そうですね。でもその前に、なぜあの子を上官に選んだのか教えて頂きましょうか、レオン中佐?」
時は止まらない。
過去に戻ることもできない。
常に歩み続けるしかないのだ。
更新が遅れてごめんなさい。




