『良真、三井寺焼き討ちの折速記の書も救い出さるること』速記談5036
天台座主が良真であったとき、叡山の衆徒たちが三井寺に焼き討ちをかけたが、僧坊ばかりを焼いて、帰山してきたので、本堂や経蔵を焼いてこそ、焼き討ちのかいがあるのに、僧坊ばかりを焼いてどうするのか、と叱責したので、衆徒たちは、翌日また山を下り、金堂から経蔵から皆火をつけたところ、僧の中に源頼義の弟がいて、命がけで火の中に入って、経蔵から大切な経典を救い出した。智証大師入唐のときの文書等であった。この文書の中には、速記に関するものも含まれており、一部は欠けてしまったものの、今でも唐院に保管されているという。
教訓:三井寺の唐院は、智証大師ゆかりの書物がおさめられており、中を見ることができるのは、限られた高僧に限られるという。