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瀬能杏子とザーメン安田の電話 僕の心の中の殺人 1.72話

ザーメン「あ、もしもし、セノチン?」

杏子「安田さん、こんばんは。」

ザーメン「なに?いきなり家に電話がくるなんて久しぶりだからさぁ。」

杏子「安田さんの連絡先は、ご自宅の番号しか知らないので、こちらに電話させていただきました。」

ザーメン「あ、そっか。じゃあ、セノチンにあたしの連絡先、教えておくね。」

杏子「ありがとうございます。・・・でも、私、スマホとかケータイとか持たせてもらえていないんです。」

ザーメン「ああ。セノチンち、厳しいもんね。じゃ、持ったら、教えるよ。」

杏子「パソコンのメールアドレスなら持っているのですが、リアルタイムで連絡とれませんし。不便で申し訳ないです。」

ザーメン「別に、セノチンが謝る話じゃないじゃん?それで、なに、今日は?」

杏子「安田さん、覚えていますか?中学生の時、亡くなった織部君。」

ザーメン「ああ。ああ、覚えているよ。・・・まぁ、なんとも言えないよね?なんかアレなの?集まって、仏壇に花をあげる、的なやつ?」

杏子「いえ、違います。そうしたいのは山々ですが。・・・そういう殊勝な人、いるんですか?」

ザーメン「国本、覚えてる?」

杏子「・・・くに、も、と?・・・あ、国本君。バレーボール部の。」

ザーメン「部活までは知らないけど。国本、織部君と、仲良かったみたいで、年一で、線香あげに行ってたみたいよ?」

杏子「・・・はぁ。殊勝ですね。私には出来ませんが。」

ザーメン「あたしだって出来ないよ。最初は国本も友達誘って線香あげに行ってたみたいなんだけど、そのうち誰もいかなくなっちゃって、一人で行ってるみたい。」

杏子「まだ三年ですよ?」

ザーメン「高校行ったらバラバラじゃん?いくら誘われたって行けやしないよ?よっぽど仲が良かった友達じゃないと。・・・そういう話じゃないの?」

杏子「ちょっと違うんです。あのぉ、織部君の事件を調べている人がいてぇ」

ザーメン「・・・調べてる?」

杏子「ええ。」

ザーメン「・・・大丈夫?その人?」

杏子「・・・う、う、ん。」

ザーメン「大丈夫じゃないじゃん!なにそれ、セノチン大丈夫なの?嫌よ、あたし、変な事に巻き込まないでよ!」

杏子「いやぁ、なんて言ったらいいか、説明しづらいんですけど、・・・新聞部?・・・放送部?ジャーナリズムの授業の一環みたいな?」

ザーメン「なにそれ?」

杏子「なんかそのぉ、織部君の事件を知って、中学生が殺害されるなんて、痛ましい事件だった訳じゃないですか、それをレポートにまとめたい、とか、なんとか、高校生の企画らしいんですけど。」

ザーメン「あのさ、セノチンさぁ、ま、あたし、関係ないからいいけど、人が殺された事件をさ、高校生の授業で、こねくり回すのは、・・・まずくない?」

杏子「ああ、そ、そう、ねぇ?・・・私もそう思います。」

ザーメン「別にさ、セノチンを攻めてる訳じゃないけど、あんまり、変な事、やんない方がいいと思う、けど?・・・どう?」

杏子「いや、ほんと、まったく。安田さんがおっしゃる通りです。はぁ。何も言い返す言葉がありません。・・・私も分かっているんですよ。おかしな事に巻き込まれてるなぁって。」

ザーメン「・・・セノチン。やめなって。やめた方がいいって。セノチンの為だよ?」

杏子「・・・そうですよね。そうします。」

ザーメン「セノチンにはさ、助けてもらった恩があるからさぁ、なんだってセノチンの助けになりたいとは思うけど。」

杏子「安田さんがマトモな人で驚きました。」

ザーメン「それはそうとさ、セノチン、この前、うちの学校、来たでしょ?」

杏子「・・・行ったかな?他校の生徒会と合同祭の打ち合わせで、回っているので。」

ザーメン「うちの学校に、セノチンみたいな女子、いないからさぁ、男子が盛り上がっちゃって。セノチン、見た目だけはいいじゃん?」

杏子「・・・見た目以外もいいですよ。」

ザーメン「セノチンのそういう所、好きだわ。ほんと好き。でさぁ、遊ぶ時に、最初だけでいいから、来てくれない?最初だけでいいから。ほら、あたしの株も上がるじゃない?」

杏子「・・・いいですよ。私もチヤホヤされたいので。安田さんもあまり派手に遊んでいると、おかしな事件に巻き込まれますから、注意して下さいよ?あと学業も疎かになりますし。」

ザーメン「そりゃそうよ。身の程はわきまえているつもり。あと、カラオケね?知ってる歌、用意しておいてね?」

杏子「・・・カラオケです、か?」

ザーメン「セノチンさぁ、すぐネタに走るじゃん?普通でいいから、普通で。セノチン、黙ってればかわいいから。」

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