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瀬能杏子と二宮絵馬の電話 僕の心の中の殺人 1.5話

杏子「はぁ!どういう事ですか?まったく覚えていない!」

二宮「全くとは言ってないだろ?・・・何て言うか、そのぉ、印象が薄いっていうかぁ」

杏子「織部君、織部さん?」

二宮「・・・どっちでもいいよ?」

杏子「いいですか?あなた、自分を殺した犯人を捕まえたいと意気込んでいた人間ですよね?それが、何ですか?記憶が定かではないとか、いい加減にして欲しいのですが!・・・呆れて物が言えませんよ!」

二宮「瀬能さん、落ち着いて。落ち着いて。君の言いたい事もわかるよ。」

杏子「私は、あなたが犯人を捕まえたいと言うから、ある程度、犯人像が絞られているものとばかり考えていました。ところがどっこいです。まるで役に立たないじゃないですか!」

二宮「・・・瀬能さん、それは言い過ぎじゃないかな?僕の記憶だと、犯人は男だ。これだけで、人口の半分は消去できただろ?」

杏子「織部君、あなた、言っている事が無茶苦茶なのは理解していますか?」

二宮「・・・あ、あ、うん。・・・分かっている、つもりだよ?」

杏子「事件時の新聞を読み返しました。犯人像については書かれていませんでした。」

二宮「ほら?どう?・・・犯人像が浮かんできたじゃない?僕の記憶の証言によって?少しだけど。」

杏子「あのぉ、いいですか?新聞記事というものは憶測で記事を書けないんですよ。第一発見者が、あなたを見つけた時には、既に、犯人は逃走した後だったから、人物像を書けないんです。見てないから。警察の方では、防犯カメラなどによって、ある程度、犯人を絞り込んでいると思いますが、カメラの映像は間接的な証拠にはなっても、確実な証拠にはならないのです。」

二宮「・・・ああ、そういうもんなんだ。」

杏子「犯人は、若い男?とか言っていましたね。」

二宮「・・・おじさん、まではいってないと思うけどね?」

杏子「知らないですよ!そんなものは、あなたの印象だけの話ですよ!どれだけ世の中に、おじさんがいると思っているのですか?」

二宮「だから、おじさんじゃないって!おじさん手前だって!」

杏子「・・・・。」

二宮「・・・・あ、切った。」


トゥルルルルルルルル トゥルルルルルルルルルルル トゥルル ガチャ


二宮「なんで切るの?」

杏子「・・・私の裁量を超える話だったので、脳がシャットダウンしただけです。気にしないで下さい。・・・そして二度と私と関わらないで下さい。」

二宮「それで、コートみたいのを着ていたんだよね。」

杏子「話を聞いていましたか?・・・コート、みたいな?もの?・・・コートと断定出来ないのですか?」

二宮「ああ、あ、うん。たぶんコートだと思うんだけど、着丈の長い、上着ってあるじゃん?それこそ、コートの類だとは思うんだけど、カバーオールだってそうだし、ベンチコートだってペラペラだけど、そういうものに含まれるじゃない?それに、フードが付いててさ、レインコートだったり、ミリタリージャケットだって。・・・はっきり覚えてないんだよ。コートみたいな物を羽織っていた、若い、男だ、っていう事しか。」

杏子「・・・あなた、殺された本人ですよね?」

二宮「・・・そうだけど?」

杏子「やる気あるんですか?」

二宮「・・・やる気はあるよ!だから君に協力を頼んだんじゃないか。」

杏子「・・・まぁ、いいでしょう。あなたがまだ事件について慎重に考えている事は理解できました。・・・犯人が着ていた物がコートだ、と断言されていたら、それによる印象操作で誤った犯人像を推測してしまう所でした。分からない事は分からないと言ってくれた方が、遊びの余地が生まれる分、時間はかかるでしょうが、見当違いな犯人を捜さないで済みます。」

二宮「君は本当に頭がいいねぇ。」

杏子「・・・織部君にとって、つらいお知らせがあります。」

二宮「なに?・・・改まって?」

杏子「ご実家が移転されていました。」

二宮「ああ。その事?」

杏子「ご存知でしたか?」

二宮「まあ、僕の事だからね。知ってはいたけど。ねぇ?どうにもならないよね。」

杏子「ええ。そうですね。私達が高校に入学すると同時に、引っ越しされたそうです。あなたが生きていれば、、、、ま、生きていますけど?生きているって言える状態か私は判断できませんが?」

二宮「そこはいいじゃん。とりあえず、僕は僕でやってる訳だから。」

杏子「中学三年生の卒業までは、区切りとしてそのまま暮らされていたようですが、やはりあなたの同級生が、高校の制服を着ているのを見ると忍び難いらしく、引っ越しを決意されたと、聞きました。私の情報では、どこに引っ越しされたか、そこまでは分かりませんでした。」

二宮「僕も同じだよ。動けるようになって、実家に行ったら、ものけの空でさ。どっか行っちゃったって。・・・はははは。困ったよね。」

杏子「・・・あなた、本当に、どうしようもないですね!」

二宮「どうしようもないって言われても、こっちだってどうしようもないじゃないか!行ったらもう家が空き家だったんだからさ!」

杏子「この状態で、どうやって犯人を見つけるんですか!見ぃつぅけぇるぅんでぇすぅかぁ!」

二宮「僕も困っているんだよ。それで、君を召喚したんじゃないか。」

杏子「私だって、出来る事と出来ない事がありますよ!なんですか、雲を掴む話は!なんにも無いじゃないですか!お手上げですよ!お手上げ!人に頼むならもう少し情報を集めてから言って下さいよ!」

二宮「・・・怒らなくてもいいじゃない。」

杏子「怒っていませんよ、呆れているだけです!・・・そもそもあなた、本当に織部君なんですか!織部君を語った別の人なんじゃないんですか!」

二宮「・・・また、その話?それはこの前、したじゃない?」

杏子「別にあなたが何者でも構いませんよ!二宮さん、でしたっけ?」

二宮「・・・絵馬だよ。」

杏子「同級生を殺した犯人が未だ、捕まっていないっていうのは私としても、非常に悔しい思いです。犯人を捕まえられるなら協力してもいいと思っています。ですが、あまりにも短絡的で、他人をバカにしているとしか思えませんが?」

二宮「僕は、・・・僕の出来うる事はしたけど、何も進展しなかったんだ。瀬能さん、君なら、何か、この難題を解決する糸口をみつけてくれるんじゃないかと思って、それで、お願いしたんだ。・・・バカになんかしてないよ。」

杏子「・・・。」

二宮「・・・え?」

杏子「・・・して下さい。」

二宮「なに?」

杏子「私に、かっこいい男子を紹介して下さい。これが交換条件です。」

二宮「・・・どういう事?」

杏子「二宮さん、あなたどう見たって陽気の塊じゃないですか?男友達が何人もいそうです。はっきり言ってモテるタイプだと思いますよ!それにスカート何回まくっているんですか?パンツ見せたいんですか!」

二宮「・・・はぁ。」

杏子「とびきりカッコイイ、ある程度、筋肉が引き締まった感じの男性を紹介して下さい。あなたの友達に一番、多くいそうなタイプだと思うのですが。この際、年上、年下は問いません。」

二宮「まぁ、いなくは、ないけど?・・・え、瀬能さんはそういう男子が好みなの?」

杏子「好みとか好みじゃないとか関係ないんです!顔が良くて、引き締まった体の、男子の友達、いいえぇ、彼氏が欲しいんです!筋肉にぎゅって抱きしめられたいんです!つぶされたいんです!・・・だからと言って相撲取りは違いますよ?適度な筋肉、適度な厚み。そして適度な身長。それを要求します!」

二宮「・・・あなたこそ、そういう彼氏?に困った事ないんじゃないの?誰が見たって、瀬能さん、おモテになるんじゃないの?」

杏子「はあ!何を寝ぼけた事を!」

二宮「まぁまぁまぁまぁ。紹介するだけならタダだし。・・・いいわよ。」

杏子「出た!・・・強食系女子のマウント!いつでも男子を紹介できるって、どれだけ男子のストックがあるんですか!」

二宮「褒めてるの?けなされてるの?・・・どっちなの?」

杏子「・・・男子はやっぱりあなたみたいな、清潔感があって健康的で、少しサバサバしている、ちょっと押せばヤれそうな女子が好きなんですよ?」

二宮「・・・完全にディスってるよね?ヤれそう?・・・ヤらせる訳ないでしょ?僕は、貞操、固いから。じゃあなに?瀬能さんは、真面目でお堅いから、男子が寄ってこないって言いたい訳?」

杏子「ええ。その通りです。」

二宮「反対でしょ?あなたみたいな一見まじめそうな女が裏で男子にエロい事してるんでしょう?」

杏子「エロい事、したいですけど?」

二宮「・・・あ、そう。」

杏子「はぁ!そう?・・・終わり?え、話、終わりですか?」

二宮「うん、ま、そうだねって思ったし。年頃の女子だし、ね?そういう事、思うよね。」

杏子「単純にマウント取られました。女としてマウントを取られました。ああ、ああ、ああ」

二宮「・・・瀬能さん、男子、紹介するから、さ。」

杏子「交換条件ですからね。そこん所、忘れないように。・・・先程、言っていた、第一発見者の花屋さん。犯人の風貌。犯人がいた本屋の周辺。少し、聞いてみたいと思います。まるっきりアテがない訳ではないので。」

二宮「頼りになるねぇ。やっぱり瀬能さんだ。」

杏子「約束は約束ですよ。そちらも忘れないように。」

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