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06.強化

床に胡坐をかくと箱を全部出してみたが、床に並べられた箱はレベッカには見えないし干渉もできないようだった。


木箱が20。鉄9、銅4、銀4、金2。

残念ながら虹は出なかったが、それでも結構な成果だろう。開封してみたが使えそうな物は金箱から出た魔法のスクロール殺気と深紅之剣(火)ぐらいだった。


殺気:相手を怯ませる

深紅之剣(火):炎を吹き出し焼き尽くす魔剣


スクロールはフェランさんにやろう。魔剣はレベッカ用だな。などと考える。突然空中に出現するアイテムなどにレベッカは嬉しそうに「これがセイジの強さの秘密かな?」と笑っていた。

銀箱からは雷鳴之剣(速)が出た。これはローランドさん用だな。守りの指輪(土)も出たがこれもレベッカにあげよう。後はあまり使い道のない道具類も出たが、これで4人に贈る装備も揃った。


レベッカという貴重な戦力を引き抜くのだ。

この程度の餞別があっても良いだろう。


俺はレベッカに深紅之剣(火)と守りの指輪(土)を手渡すと、剣を横に置き、指輪に大喜びした後、嬉しそうに左手薬指に嵌めてうっとりしていた。


翌日、他の4人とも合流。

ギルドの個室を借りて用意した装備を渡す。


ローランドさんが雷鳴之剣(速)、カトリーヌさんは紅蓮黒杖(闇)、ローザさんが聖者之錫杖(聖)、フェランさんは聖銀之短刀(速)を、テーブル前に並べたまま4人共無言になっていた。


「装備について聞かれたたらどうしよう」とローザさんが言っていたので、「10階層付近でドロップした奴だ!と言っておいたらいいんじゃないか?」とアドバイスしたが、「流石に無理がある」とローランドさんに反論された。


「じゃあもうちょっとランクを落としたものを拾ってくるから待っててくれるか?」

「いやそれは……」

ローランドさんが目の前の剣の上に手を置きながら葛藤しているようだ。


結局、その装備を受け取ることで納得してもらえた。

カトリーヌさんが「返したい気持ちも大きいが、手が言う事を聞かないわ」と謎発言をしていた。まあ気持ちは分かるが、「不憫な体だね」と言いながら超回復をかけてあげると軽く睨まれた。


それを見てローランドさんが「俺にもかけてくれてもいいが、多分治らん!」と唸っていた。

そんな4人に、「俺にとってはそんな装備より情報が何よりも大事なんだ。勇者についてはどんなことでも知りたいから、何か知っていたら教えてほしい」と頭を下げた。


それから一週間、俺は午前中はホテルに籠り体を休め、昼過ぎにはダンジョンへ転移してレベルを上げた。3日目からはレベッカに懇願され一緒に転移した。初日は10階層にしておいたが、バフを掛けるとソロでもなんとか戦えるようだ。

魔剣強すぎなんだよな。苦戦していたオーガが豆腐の様に真っ二つになっていた。


それから徐々に階層を上げ、最終日には25階層までソロで狩れるようになっていた。

どうやら一緒に居ると素材を俺が拾いさえすれば箱が出ることもあるようだ。確率は多少低いように感じるが、低階層はそれなりにポップが多いので中々の数が集まった。


最終日にまとめて開けると金箱から聖銀之鎧(光)が、銀箱からは見切りというスキルが出たので二つともレベッカに献上すると、その日の夜はご機嫌でサービス満点だった。



◆◇◆◇◆



総合・王国専用掲示板★3168


1864: ただの商人

どうやら、勇者が動くらしい。


1865: ただの御貴族様

詳しく書かんかい!


1866: 城勤め文官

詳細知ってる俺登場!


1867: ただの名無し

ブラック文官さんちーっす!


1868: 城勤め文官

誰がブラック無糖じゃ!


まあいい。

勇者は団長、他多数と一緒に牢獄に挑むそうだ。

詳しくは言えん。


1869: ただの名無し

まてよ。


1870: ただの名無し

情報なしじゃないか?


1871: 城勤め文官

さすがにこれ以上は消される。


1872: ただの軍属

勇者は1人でダンジョンを攻略しました。

それを付き添いの団長が保証します。


ってのが陛下のシナリオ。


1873: 城勤め文官

> 1872

いや、そこまで書いたらもう不味いんじゃ……


1874: ただの軍属

うん。

だから高速でこのカキコ流してほしいな(ハート


1875: ただの名無し

ああああああ


1876: ただの名無し

> 勇者は1人でダンジョンを攻略しました。それを付き添いの団長が保証します。ってのが陛下のシナリオ。


1877: ただの軍属

コピペすな!


1878: ただの名無し

いや、一度ここに書けば永遠に語り継がれるに決まってるだろ。


1879: ただの軍属

あああああああああああああああああ!


1880: ただの軍属

あああああああああああああああああ!


1881: ただの軍属

あああああああああああああああああ!


1882: ただの名無し

連投やめーや


1883: ただの名無し

> 勇者は1人でダンジョンを攻略しました。それを付き添いの団長が保証します。ってのが陛下のシナリオ。


あきらめろん


1884: ただの名無し

情報漏洩の罪で軍属さんは消されました。


1885: ただの名無し

> 1872

おーい。どうした?


1886: ただの名無し

いない。


1887:: 城勤め文官

もう消された?


1888: ただの商人

今頃ガクブルで布団の中じゃね?


1889: ただの御貴族様

タヒんだ?


1890: ただの軍属

生きとるわ!

いや、マジでこのこと知ってる関係者も何人かいるから、でももう書かない。

お前たちコピペするし。


1891: ただの名無し

そらするだろ。


1892: ただの名無し

貴重な情報源。


1893: ただの名無し

で、勇者には誰が他についてくの?


1894: ただの軍属

いや言わないし。

他の方どうぞ。


1895: ただの名無し

実は今回陛下が宝m……


1896: 城勤め文官

それはマジで駄目なやつ。


1897: ただの名無し

やめとけ。


1898: ただの名無し

宝mってなんだ?宝物?


1899: ただの名無し

あああああああああああ!


1900: ただの名無し

あああああああああああ!


1901: ただの名無し

あああああああああああ!


1902: ただの名無し

流すなし!


1903: ただの名無し

嫌不味いんだって。


1904: ただの商人

何となく答え分かった俺。


1905: ただの名無し

良い子だからママに言ってみなさい。


1906: 城勤め文官

いやダメだろ。


1907: ただの名無し

まあ、勇者が無事帰ってきたらこっそり書くわ。暗号で。


1908: 城勤め文官

ここは特定不可能な掲示板ですが、実際に匿名なのかは国も明言していません。

ホントに不味い奴は書かないようにしましょう。


1909: ただの名無し

りょ。



◆◇◆◇◆



俺とレベッカが戦力アップに明け暮れた1週間が過ぎた。


合流した疾風の4人もプレゼントした装備の強さを堪能していたようで、ゴーレムが鬼湧きする土塊のダンジョンに籠っていたそうだ。


土塊のダンジョンは最下層は30階層程度。

ゲーム通りならそれなりに難所のはずだ。


以前は5人でも長期滞在は厳しかったそうだが、今回は4人でも余裕をもって狩れたようだ。ドロップ品の魔石と鉱石などが袋一杯になってもうウハウハらしい。


ローランドが「そっちはどうだった?」と聞くので、正直に「牢獄の25階層まではレベッカがソロで狩れるようになった」と伝えると、4人共また無言になってしまった。


「はしゃいでた自分たちが恥ずかしいわ」

ぼそりとカトリーヌが言った言葉が胸に突き刺さった。


正直すまんとは思っている。


4人からの情報で遂に勇者御一行が牢獄に挑戦することも聞いた。

それは俺も掲示板で見たが、詳細は騎士団長が着いて行くぐらいで分からなかった為、詳細情報が知れたのでありがたかった。


なんでも、盾役の騎士団長に、王宮魔導士が5名付き添って補助魔法でサポートするのだとか。万が一にも死亡なんてことにならない様、細心の注意を払って修行させるようだ。


装備についても宝物庫にあった伝説級の装備を全員に貸し与えたそうだ。

当の勇者本人は余裕で攻略してやると息巻いているようだと、知り合いの城勤めから内緒だがと教えてもらったようだ。


暫くは低階層はいけないなと思った。

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