約束
「実家が取り潰しになったことは理解しましたが領地の民はいまどうなっているのですか?」
「そうだな、そのへんは気になるであろうが安心して良い。一時的だが余が信頼する者を代官として送って民に不自由が出ないようにしているから以前より良い生活になっているはずだ」
領地のみんなが無事なら良かった。あんな親のせいで苦労をかけてしまったことは申し訳ないと思う。
「それでだ、お主には正式にそこに貴族の領主として任せたい。ティナとの今後を考えるとただの護衛では反発が必死だしの。領主としての活躍の他に別に手柄をあげることで婚姻を認めさせる流れにするからお主には期待しているぞ。それと正妻はもちろんティナは譲れんが第二夫人などは二人が認めれば可能だ。跡継ぎは必ず必要だしの、お主ほどの力があればなおさらだ」
この世界では一夫多妻制が貴族の中では認められている。平民でも出来なくはないがそこまでの稼ぎがあるなら愛人を何人か作っているのが一般的だ。
「領主となるとはいえすぐになにかをしろとは言わぬしばらくは代官を通して領地経営を学んでいくが良い。そうじゃな5年が妥当かのう?5年以内に他の
貴族連中に文句を言わせぬ結果を出せ。その為になら協力は惜しまぬことを約束しよう。それが今回お主に迷惑をかけた詫びと報酬にするが良いか?」
王の方から下手に出ての謝罪に婚約や領地などの報酬でこちらからこれ以上求めるのは流石に不敬だな。
「わかりました。今回の件はそれで納得します。ですが、もう少しこちらを信頼して話していただけると助かります。こちらも出来ることなら犠牲者を出すのは嫌ですし、いきなりでは備えも出来ない時もあります。それは時に仲間の危険に繋がり、もしかしたらティナがその犠牲になる時もあるかもしれません。俺は全てを守るとは言えないけど、自分の手に収まるものは全力で守りたいと考えています。」
王は俺の話を静かに聞いてくれ頷いて俺の手を握り
「今後はより一層そなたを信じ、事情を話すと約束しよう。未来の婿よ」
これは、完全に詰んだな。ここまでされたら婚約の話からは逃げることは出来ないだろうし、俺だってティナのことは大事に思っている。期限は五年もらったしそのへんはゆっくりティナを含めたみんなで話し合っていくことにしよう。
王との話も終わり部屋を後にすると、そこにはティナが待っていた。
「お父、いえ王様からどんなお話が?」さて、どう話したらよいものか?とりあえずみんなにも関係するし、まずはみんなのもとに帰るとするか




