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花にひとひら、迷い虫  作者: 鍵の番人


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18/40

18.

「……あれは、紙魚(しみ)かもしれない」

 律は、廊下を足早に歩きながら言った。

「しみ? しみってあの、服の汚れとか醤油をこぼしたときとかにつく、しみ?」

「そのしみじゃなくて、虫のこと。三億年前から存在している原始的な虫で、体色が銀色にも見える紙を好んで食べる虫」

 幾分か饒舌(じょうぜつ)になった律の説明を、花音は感心しながら聞く。

「そんな虫がいるんだねえ。でも、それがどうかしたの?」

「あれが矢印だとしたら、その方角には図書館があるんだ。紙魚って、本の間にいるっていうし。だとしたら、あれも花音の探してる暗号の一つかもしれない」

「えっ、うそ!?」

 そのとき、またチャイムが鳴った。今度は昼休みの時報だろう。それを聞いて、前を歩いていた律がくるりと回れ右をした。

「えっ、律?」

「やっぱり、図書室は後にする。休憩時間は混むから。先に音楽室に行く」

「えっ!? ちょ、律、待って―!」

 いきなりの方向転換にブレーキが間に合わず、花音は転がるようにして律を追ったのだった。

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