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11.

 律は階段のすぐ下で待っていてくれたので、あっさり見つけられた。花音の姿を認めると、背中を向けて口を開いた。

「……ごめん。嫌な思いさせたでしょ」

「えっ?」

 思いがけない言葉に、花音は驚く。ゆっくりと歩き出す律の後を、ためらいがちに追う。

「僕と一緒にいると、外野がうるさいかも。本当は、案内するのも、僕じゃない方がいいんだけど……」

 どうやら、花音に迷惑をかけるのではないかと気に病んでいるようだった。

「そんな! むしろ、律じゃなかったら案内してくれるどころか、今頃は外につまみ出されて終わりだよ! 嫌な思いなんか全然してないし!」

 花音は慌てて律の懸念を否定する。

 漏れ聞こえてきた律の事情。ほぼ初対面の花音が踏み込んではいけない領域に思えた。花音が感じたものを言葉にするならば、それは嫌な思いではなく、そこにかすかでも触れてしまったことに対する気まずさだ。

「それより、ここまでつきあってくれる方が驚きだよ。授業をサボってでもやりたいこと、あったんだよね? あたし、邪魔してるんじゃないかな」

「……そんなことない。僕が言い出したことだから」

 だが、そう言って律は足を止めた。花音を振り向く。

「……でも、少しだけ、時間もらっていいかな」

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