屋根裏の……美少女。
第四回なろうラジオ大賞参加作品第五弾!
俺のクラスに来た転校生が登校八日目で学校を休んだ。
立花愛美という名の、前髪が長く目元がよく見えないけどそれなりに顔は整ってんじゃねぇかと思えるような子で。でもって内向的なヤツで。今回学校を休んだのもそれが原因じゃないかと俺は思う。
そして先生から、家が同じ方向だから様子を見に行ってくれと言われて渋々見に来たけど……。
「ゴメンね。愛美、風邪ひいて今寝てるの」
家に上げてくれた、愛美のお母さん……いやお姉さん?
とにかく愛美を大学生にしたみたいな女性にお茶を勧められ家に上がる。
そしてそのまま、彼女と話す事になると思いきや……なんと俺のさらに後に来客があり、お姉さんはその相手をしに行く事に。
一人残された俺。
さてどうするかと悩んだけど……その時、上から変な音が聞こえてきた。
なんか、こう……TVの、効果音みたいな?
まさか上にTVがあって、愛美が起きててそれ見ているのか。
だったら、愛美本人には会えずとも、ドア越しに声かけてみるかと思い、俺は音が聞こえてきた二階の屋根裏の前へとやってきた。
するとその直後。
俺は首を傾げる事になる。
「な、な…や…? …が…へん!?」
「そ、そ…ぁ!?」
愛美と、聞いた事がない男の声が聞こえた。
ちょっと待て。風邪とか言ってなかったかお姉さん。
なのに、なんで屋根裏から愛美と男が密会しているような声が……まさか、家族ぐるみでいかがわしい事を!?
変な想像しかできなかった俺は、すぐにその、愛美が男と一緒にいると思われる屋根裏への扉を勢いよく開けた。
「おいコラァ!! 心配させたかと思ったら、男と密会とか何考えてんじゃい転校せ……ぃ……?」
するとその直後、俺の目が点になった。
なぜなら目の前に、まるで魔法少女のような服装の謎の少女と、その前方の中空で浮遊するモフモフ謎生物がいたからだ!!
そしてそれ故に。
「い、いやあああ!! 加奈ちゃん見ないでぇええええ!!」
俺は彼女が放った謎の波動を避ける事ができず……気絶した。
※
「ふぇぇぇん。加奈ちゃんに見られちゃったよぉ」
「いやぁまさか敵に『変身が解けなくなる呪い』をかけられるとは……って、この子……二人目のキュティピュアになれるかもしれぬニャッ?」
そして後に、この衝撃の出会いが。
この世界に禍をもたらす悪の組織『マッドー団』と日夜戦い続ける愛の戦士こと魔法少女キュティピュアのこれからの戦いを左右するキッカケになる事を、二人と一匹はまだ知らない。
ハニャニャン「『魔法少女キュティ♡ピュア!』は毎週日曜午前八時半より放送中だニャ!!」
愛美「嘘言わないでハニャニャン!?(涙目」
……には戦闘、が入ります(ぇ