夏に桜が散る頃には

そこは、大きな木が年中無休で桜を咲かせる島、春花島。その桜の木には、古くから伝わる言い伝えがあった。
この島で死んだ者は、大きな桜の木を目印に天へと登っていく……と。
……だが、それにはもう一つ、言い伝えがあったんだ。それは……ーー

ーーー死者に願いを叶えるーーー

……という、言い伝えがーー

とある現実から逃げるために島を離れて進学した高校二年生「添崎椿（そえさきつばき）」は、二年ぶりに、永遠に桜の花を咲かせる万華桜がある、春花島に夏休みの間だけ帰ってきたのだが、そこには信じられない夏休みの日々が始まろうとしていた。