表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

プロローグ

●登場人物●

ニシ:23歳 (最高位)の魔導士。常盤興業の契約社員。天賦は召喚魔導。付術(エンチャント)や魔導陣を駆使した魔導が得意。もっぱら近接戦闘マニア。魔導の発動キーは『高速詠唱』孤児5人と一緒に暮らしている。出身は浜松。両親は健在だが不仲。


カナ:24歳 ニシより年上だが学年は同じ。(最高位)の魔導士。常盤興業の社員。旧東京支部 技術部主任。休日は魔導工学専攻の大学院生。天賦は光の魔導。もっぱら遠距離戦闘マニア。大分出身。神社の養子。


リン:元陸自の常盤興業の社員。詳細な経歴は不明。旧東京支部 保安部 隊長。強化外骨格(APS)を用いた戦闘のエキスパート。見た目は中学生だが2■歳。メインアームはMk.IV(マークフォー)ライフル。親しい人の死にトラウマがあるようで……。


リンの部下:ケン(元陸自)、ジュン(元SAT)、テツ(元某国外人部隊)、ハシ(元陸自)、ヒロ(元県警)、なお全員筋肉体型。


カグツチ:ニシが召喚する高次元思念体。自称・神。見た目は身長2mの湘南男。


サナ:記憶喪失の少女。たぶん中学生。高度な魔導の素質があるが訳あって隠すことになる。魔導の行使方法すら忘れてしまっている。


モモ:小学6年生。家族の中では最年長のお母さん役。5年前の潰瘍発生の際、ニシに助けられた。好きなアニメは『Magical★Girl』


ニシの預かっている孤児:ハナ(8歳)、カズキ(8歳)、ユメ(9歳)、ヨシコ(10歳)。5年前の魔導災害で家族を失う。全員、魔導士の素質がある。


新山刑事:所轄の刑事。魔導関連の犯罪や事件を扱う。


カリナ:ネットメディア『マジシャンズ.com』の記者。ニシに興味があるようで……。


●用語●

マナ:実体物と対になるエネルギー。一般的には反物質と認知されている。古代と比較しその総量は少なくなってきたと言われている。


魔導:マナを使った神秘の技。ごく限られた者だけが扱えるが、近代までにほとんど衰退してしまっている。魔導士はマナへの感応力ごとに、緑ー青ー黄ー橙ー白と分けられ住基ネットに登録される。特に(最高位)は犯罪防止のためGPSデバイスの着用が義務付けられている。


常磐興業:冷戦終結直前にできたエネルギー系ベンチャー企業。電力を無尽蔵に取り出せる「魔導セル」や機械的にマナを取り出せる「魔導機関」が主力商品。冷戦終結後、エネルギー革命をもたらした。WW3後は魔導を駆使した放射能除去や都市建設、怪異掃討ための私設部隊も保有する年商5000兆円のコングロマリットに成長した。


潰瘍(かいよう ):5年前発生した原因不明の魔導災害。半径数km~100kmの不可侵領域。その中では魂が溶け出してしまう。さらに危険な怪異も徘徊している。陸上、海上あわせて10箇所で発生。現在は拡大していない模様。


魔導災害:潰瘍発生と、同時に出没するようになった怪異による被害の総称。5年間で1億人以上が犠牲になった。


強化外骨格(APS)兵士の身体能力を補うパワードスーツ。魔導セルにより飛躍的な進歩を遂げた。WW3直前では試験評価段階だったが、怪異との戦闘では基本的な装備となる。


川崎市:常盤興業の関連施設が立ち並ぶことで発展した大都市。新東京に次ぐ3000万人都市。

挿絵(By みてみん)


「番号札を取ってお待ち下さい」

 入店早々、接客ロボットのカメレオンじみた目がこちらを向いて、中性的な的な声がスピーカーから流れた。

 ニシは接客ロボットの言う通り、よく注意書きを読んで「1」=新規契約のボタンを押した。土曜日の昼下がり、家から近くの携帯電話ショップは思ったより人が多かった。携帯会社は新規顧客を獲得するため高齢者をターゲットに=週末のショップはいつも大混乱。

「お客様ぁ~こちらが開いておりますのでどうぞ」

 営業スマイル/安いスーツの受付係の男がうやうやしく案内する。年齢層の高い人達がカウンターでガヤガヤとクレームを付けているが、それより順番を優先してくれた。

「今日はお兄様のご契約でしょうか。それとも妹様のご契約で?」

「俺じゃなくて、こっち」

 ニシの指差す先、サナがコクコクとうなずいた。

「そうですかぁ~。中学生ですか。初めてのスマホですかぁ~」

「はい」

「いいですね~」

 こういう対応のマニュアルでもあるのだろうか。イライラしてきた。

 受付の男に言われるがまま、カウンターの椅子に座る。

「お兄様、だってさ。若く見えたのかな」

 年の差は、干支で言えば約一回り。

「兄さんじゃなくて、私が大人びて見えたんです。14歳とかじゃなくて、本当は16歳くらいなんです、きっと」

 記憶喪失の少女=サナ。自分の年齢を思い出せず/しかし常に大きく見せたいお年頃。ニシの呼び方は、他の子たちに倣って「兄さん」と定まった。かれこれ1ヶ月、その呼び方なのでだいぶなじんできた。

「どちらの機種になさいますかぁ~」

 猫なで声の受付。パンフレットを広げ、様々なメーカー/値段/色のスマホを見せる。しかしどれも似たような形=6インチのスクリーン。

「ん――」

 サナの眉間に皺が寄った。かなり真剣に悩んでいる。視線が右へ左へ行ったり来たり。

「友だちはどんなの、持ってるんだ?」

「ルイちゃんはこれ、ツカサちゃんはこれだと思う」

 サナはパンフレットの写真を指差した。どちらもエントリーモデル。

「ちなみに、お兄様はどんな機種がよろしいですかぁ~」

「俺は、ロースペックのスマホ、ミドルスペックのタブレット、ハイエンドPCが欲しい。simは格安ので」

 ニシ=魔導士でありながら、ギークな趣味。

「ははは、そうですか~いいですね」

 営業スマイル=警戒心が満ちる。妙な質問を聞かれないかドキマキしている。とは言えサナの最初のスマホなのだから、サポート満点のキャリアで契約する。

「これ、にする」

 サナの指差す先=ホワイト/RAM3GB/台湾製。

「その色が好きなのか」

「……うん」

 嘘。5人の孤児たちを育てたからわかる。遠慮禁止は、我が家のルールその1。

「モトローラの最新型で」

「え、いや、それは」

「高い? iPhoneより安い。それに友だちと写真をよく撮るだろ? 夏モデルのスマホでいちばん、カメラの性能がいい。それにRAM8GB、CPUも上位モデルだからゲームもサクサク動く。GPSの精度も高くて、ARナビゲーションもできる」

 ニシ=ギークの本領発揮。サナ=ドン引き。受付=苦笑い/仕事を取られた。

「うん、同じ色もあるし、それでいい」

「あはっ、わたくしも賛成です」営業スマイル=たぶん嘘。「ご契約のプランはいかがいたしましょう、お兄様」

 表にずらりと並ぶ金額/通信量/通話時間。

「この5G通信無制限、通話1分10円のプランで」

「月々5980円になります。お支払いのほうは?」

「クレジットで」

「はーい、ではこちらの書類に記入を。わたくしはおスマホをご用意してきますので~」

 そう言って営業スマイルの男は席を立った。

「兄さん、本当に良かったの?」

「値段は、まあ気にしなくていい。遠慮しないって最初に言っただろ?」

 ニシはクレジットカードを取り出した。常磐興業のロゴと、ペリカンをデフォルメしたゆるキャラが描かれている。常磐興業=世界最大のエネルギー会社にして業績数百兆のコングロマリット。最近は金融業界にも手を出した/半強制的に社員も契約をすることに。

「通信費は俺が払うけど、スマホ本体の領収書はオジサン名義にするから」

 サナは首を傾げた。

「大人のルールだよ。大丈夫。オジサンはお金持ちだから」

「じゃあ、さっきファミレスで食べたリョウシューショも?」

「そうそう」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ