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月夜譚 【No.1~No.100】

視線の先 【月夜譚No.94】

作者: 夏月七葉

 可愛い幼馴染みなど、ただの幻想だ。そんなものは漫画や小説、映画なんかの作り話の中にしか存在しない。

 実際の幼馴染みはガサツで容赦がなく、暴力的な面もあって口五月蠅い、ただの腐れ縁のようなものだ。悪友、という言い方もできるかもしれない。

 そもそも、彼女と自分の家は親同士の仲が良く、二人が幼馴染みになったのも、そのついでのようなものだ。一緒に育ち、一緒に過ごした時間が他よりも少しだけ長かっただけなのだ。

 ――それなのに。

 教室の隅の席から彼女の横顔を眺めていた彼は、ふと視線に気づいた彼女が振り返るなり目を逸らした。机の上に乗せた手で拳を握り、眉間に皺を寄せる。

 自分の想いを無視しようとしても、彼女のことを嫌いになろうとしても、余計にその気持ちが膨らむばかりで苦しくなる一方だ。気づけば、彼女の姿ばかりを目で追ってしまっている。

 そんな自分に嫌気が差した。彼女を好きになってはいけないのだ。自分では彼女に釣り合わない。それに、彼女には好きな人だっている。

 彼は胸の痛みを振り払うように、鞄を手に勢い良く立ち上がった。


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― 新着の感想 ―
[一言]  つらい……!  しかし最近の小説なら、彼女が好きなのは彼だという展開が多いのですが……、これは一体どちらなのでしょう……。悲恋か……、すれ違いか……。  とても良い切り抜きでした!
[一言] 自分じゃない。彼女には好きな人がいるという所が胸に突き刺さりました。 そういうの辛いです。 私の幼なじみも別の人と結婚していますし、そういうものかもしれませんね。
2020/06/21 19:51 退会済み
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