表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の狩人と悪魔王の少女  作者: 今井亜美
1/12

序章 雨

 雨が降っている。

 目を覚ました時、まずその事に気が付いた。


 寒い。

 濡れた身体はとうの前に冷え切っていたらしい。


 震えながら、薄目を開けて、辺りを見渡す。

 自分の身体を見ると、ずぶ濡れの革のコートにまかれている。


 どうも、自分は誰かに背負われているらしい。

 視点がいつもよりずっと高い。


 自分を背負っている誰かは、汚れた白い鎧を着ている。

 鎧は硬く鎖状で、動くたびに胸に擦れて少し痛い。


 腰には、ランタンがぶら下がっている。

 風に揺れ、揺らめく炎は、この雨の中では、頼りなく、だが他に術もなく、周囲を仄かに照らしている。


 微かに、土砂降りの雨ですっかり増水した田んぼや水びだしになった畑が見える。

 どこからかごうごうと竜の叫び声の様な大量の水の流れる音が、ひっきりなしに聞こえた。


「ねえ」


 誰かに呼びかけると、


「……目を覚ましたか」


 一言言葉を発した。


「ここどこ? みんなは?」


 答えは返ってこない。


「何処に、向かってるの?」

「それは──」


 ゆっくりと、けれどもはっきりとした口調で。

 返事が返ってきた。


「──“竜の剣”だ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ