白騎士① 最強の守護者
「おかえりなさーい」
――――私は白騎士をつれて帰宅した。
『貴方何者…って騎士か』
『私は時空の歪みから参りました“藍罷”ともうします』
『アイヒェンさん、ねぇ…(何語だろ)
何しにこの国へ?』
『王国・明銀白狄に仇なす仇敵
…帝国・暗金黒津の筆頭騎士である“羅霜”を討ち取りに参りました』
『そうなんだ。あ、私は夏季透菜』
『……この国の衣服は我々のものとは違いますね』
『そんなことより、一方的に負けて…
一人で勝てる相手じゃないでしょ、仲間は連れてきていないの?』
『…仲間はいませんよ。
皆、黒騎士に滅ぼされました』
『…ごめん』
『いいえ』
『これからどうする。貴方このままだとまずいよね…警察とか職務質問とか』
『しょく…?』
『…というか私、あいつにまた会ったら命を狙われる?』
『ええ、恐らくやつは貴女も殺戮対象にしている…と思われます』
『どうしよう…やっぱ帰ってればよかったかも』
『恩人・透菜…』
『…なに?』
『私は必ず貴女を護ります』
『あ、ありがと(さすが本物の騎士…超サマになってる…)
しかたないから家にくる?』
『よろしいのですか?』
『それにまた貴方が黒騎士と戦うためには
ちゃんと怪我治さないとだし』
『はい』
ということで。
「あらあら~トウナちゃんにこんなかっこいいお友達がいたなんて~」
うちの母が天然でよかった。
「ふぁ……おはよう」
「おはようございます」
透奈より早く起きていたアイヒェンは欠伸を噛み殺す彼女とは対照的にしゃっきりとした顔で挨拶を返す。
今日は土曜日で、遅く起きたのは寝坊ではないと開き直った。
「お二方なら仕事にでかけられました」
「とりあえず暇だし食事買いにいこうか」
身支度を済ませ、コンビニへ向かった。
「ちょっとちょっと!」
「なに?」
クラスメイトで誰にでも馴れ馴れしく話し掛ける系の女子が絡んできた。
「その人彼氏!?チョーかっこいいんですけどぉ」
その友人のギャルにまで関わられた。
「私は彼女の彼氏ではありません。運命の相手です」
まあマジで運命っぽい出会いだったしイケメンだから否定はしない役得。
「朝っぱらからのろけちゃって~」
さんざんひやかしたのち、二人は飽きて去る。
「ひどい目にあった」
「……いい忘れていましたが、しもべでもあります」
「それは言わなくていい」
「はなしてくださいよ!」
「ここで会ったが百年目なんだ。はなさねーぞ!」
なにやら緑髪眼鏡でいかにもキャラが薄くて二次元ならユーザー人気ない系の男と紫髪のツンデレっぽい男がもめている。
「あれ、アイヒェンさん?」
「アニキ!!?」
彼等はこちらをみるやいなや、駆け寄ってきた。
「お前たち、生きていたのか……!?」
「アニキこそ!!」
「もう二度とあえないかと思っていました!!」
どうやら二人はアイヒェンの仲間のようだ。
「で、こちらのお嬢さんは?」
「まさかアニキの恋人か?」
「彼女は負傷した私を救助しただけでなく住まいをくれた恩人だ」
「へえ……」
「アイヒェンさんを救っていただきありがとうございました!!」
「あ、うん。ところで二人の名前は?」
「俺は紫騎士のレノイ」
「僕は緑騎士ルウフェンです」
やはり騎士に色があるんだなあ。
「で、二人はこれから何するんだ?」
「買い物。ミガンパクキの人が食べるものがわからないから。というか二人は食べ物大丈夫?」
服も普通のだし、アイヒェンみたいに誰かに救われたんだろうか。
「俺はなんでも食うけど、こいつ苦い野菜嫌いなんだぜ。ガキみたいだよなー」
「大人が苦い野菜を食べられるのは味覚が落ちるからなんですよ!」
二人はおいておき、コンビニに入った。
「いらっしゃいませー」
爽やかに挨拶した黒髪の男。
「ねえアイヒェンさん」
「なんですか」
「あの人どこかで会ったことない?」
「知りません。取り合えず何か買いましょう」
お互いの為、私達は何も知らない事にして買い物をすませる。
「あ、また会いましたね」
「うん」
さっきの二人が私達の後にコンビニに入ってすぐに出た。
「いやーマジやばいわ」
「何がですか?」
「だってさあ、黒……!?」
「どうしたんですか?」
「なんか殺気が……」
余程言われたくないらしい。