#06
(お、女の子・・・?)
俺はユウ君の裸を見て固まった。俺にあるモノがない。なんてこった。
小さい子だし、ぼさぼさの髪に泥だらけの顔で、男の子か女の子かなんてわからなかったんだよ。
決して、知っていて裸にしたわけじゃないんだ。
と、とりあえず動揺していないように取り繕うと、お風呂場に移動した。ユウ君も黙ってついてくる。実に気まずい。
ちなみに、お風呂とトイレは別だ。これはこだわりだ。
なお、ここは東京ではないので決してぜいたくではない。
「ここに座って。」
俺はお風呂場のいすに座らせると、シャワーを手に取った。頭を洗うから目をつぶるように言うと、ユウ君は驚いた顔で俺を見上げ、黙ってその通りにした。
わしゃわしゃと頭を洗う。汚れがすごく、全然泡立たない。一度洗い流して、再びシャンプーをつける。これは洗い応えがある。
「体は自分で洗えるよね」
しばらく夢中で髪を洗い終えると、そう言ってボディソープをつけたスポンジを渡した。まさか女の子の体を直接、洗うわけにもいくまい。親子でもないのに一緒にお風呂の時点でアウトであるが。
俺は見ないように洗い終わるのを待った。ユウ君が洗い終わると、シャワーのお湯を出して手渡す。先に上がった俺は、着替えてタオルとシャツを用意する。
そして、だぶだぶのシャツを着たユウ君の誕生だ。
気まずくなった俺は、いくつかのハンドタオルを渡して言う。
「ご飯を買ってくるから、そのタオルであの子も拭いてあげて。お湯の出し方はさっき教えた通りだから」
「あっ・・・、あの・・・」
何か言いたそうな女の子を残して、財布を手に取った俺は外に出た。
まだ雪が降っていないとはいえ、11月に風呂上がりでコートも着ずに家を出たことには大変、後悔しました。