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異世界から○○が迷い込んできたわけだが  作者: かむあ
第1章 「異世界から幼女が迷い込んできたわけだが」
4/12

#03

(リナ視点)


 私は路地を走っていた。


 このパンをルナに持っていかなければならない。幼い妹はもう2日もご飯を食べていない。


 人様のものを盗るなんてお母様はきっとお怒りになるだろう。けれどルナは昨日から高熱も出している。水を飲むのだって辛そうだ。そんなルナを見ているだけなんて私にはできない。


 路地裏を抜けて、草が生い茂った丘を登る。丘の中腹には使われていないボロボロの馬小屋があって、そこでルナが待っている。一昨日に見つけた場所だ。雨がしのげる素敵な場所だ。


 後ろを振り返るが店主のおじさんは追ってきていないようだ。途中であきらめたのかもしれない。


 「ごめんなさい、ありがとう・・・」


 私はホッとして、そう呟いた。

 そして小屋の扉を開けてハッとした。


 小屋の中には2人の男がいて、ルナを抱えていた。革の鎧を着た、冒険者風の男たちだ。奴隷商館で見たことがある。あの悪魔みたいな笑い方をする男の護衛だ。


 「やめてっ!放して!」


 私はルナを抱える男の手に飛びついた。不意を突かれた男がルナから手を離す。私はルナを抱きしめると、その勢いのまま小屋の奥の壁にぶつかった。

 すると、腐って割れていた壁が崩れて、私たちの体が勢いそのままに小屋の外に飛び出す。私はギュッとルナを抱きしめた。丘を転げ落ちる。丘の裏は川だ。追手からは逃げられるかもしれないけれど、助からないかもしれない。とくに体力を失っているルナは・・・。


 ルナを抱きしめながら坂を転げ落ちる私は、体を打ちつける痛みで意識が飛びそうになる。


 「お母さん・・・助けて・・・」


 そう強く願った時、紐で首にかけていた指輪が強く光った気がした。




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 それからどれくらいの時間が経っただろう。


 「ルナ!」


 私は焦って上半身をおこす。とたん、痛みが走った。


 あたりは暗い。だけど、ところどころ宝石みたいに小さく奇麗に光るものがあって、完全な暗闇というわけではない。すぐに周りが見渡せるようになった。


 「ここは・・・どこ・・・?ルナ・・・?いたっ」


 私は立ち上がったけれど、体に痛みがはしってふらつき、テーブルに手をついた。その時、目の前の四角い枠がパッと眩しいくらい明るくなった。




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