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1.

 濁黒だくこくした皮膚を光らせ、暴食の狂王は牙を向く。

 悪顎アギトから滴るよだれが雪上に落ちるとシュウッという音を立てて純白の絨毯を溶かす。

(何が正義だ……)

 暴食の狂王の噛みつきを転がって回避しながら思う。

 フィレイナ・ビーグルンに気合い掛けしたのだが、正直俺も恐い。げんに今も足が軽く震えてしまっている。

 俺は暴食の狂王の側頭部に向けて剣を振り下ろす。しかし俺の斬撃が入ることはなく、暴食の狂王による重々しい蹴りによって大きく飛ばされてしまう。

 ニメト近くも転がったがすぐに体勢を立て直す。

「こっち!!」

 顔を上げるとそこに立っていたのは短いブロンド髪で毛皮のフーデッドコートを羽織りツリ目気味の双眸が特徴的な少女――フィレイナ・ビーグルンが得物である弓を構えて暴食の狂王を睨みつけていた。

 フィレイナは漆黒の凶竜めがけて矢を射った。矢は風を切って突き進み、暴食の狂王の腹部の側面に突き刺さる。

 暴食の狂王はその悪辣あくらつな視線をフィレイナへと向ける。

「私が相手になる。私の街は傷つけさせない!!」

 暴食の狂王は重たい足取りでしかしその表情に喰らうことへの喜びを感じさせながらフィレイナへと突進を開始した。フィレイナは矢を数発放つが暴食の狂王はものともせずに突進の速度を緩めない。

 俺は剣を握る感覚を再度確認し、駆け出した。


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