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お喋り系男子×棒読み系男子×穴系男子×男子猫系男子!!〜愛と死のラプソディー〜

作者: オーナー

※この小説はフィクションであり、実在する人物、実在する団体、ましてわたくしの友人などには毛程関係ございません。

※問題等ございましたらすぐにお申し出ください(主にモデルにされちゃった可哀想な皆さん)

※誤字脱字教えて下さい



「………崎原」


「どうした中村」


 暗い顔を伏した中村は、崎原絢斗の前の席に座ると、


「フラれたぁぁぁああああああ!!」


 叫び、机に突っ伏した。


「うえええええええん、B田さんにフラれたよ〜〜〜」


「うんうん、かわいそーになー(棒読み)


 泣き真似をしている中村の頭をポンポコ叩きながら、崎原はものすごくどーでも良いという態度で慰めた。

 中村。通称白メガ。彼をそう呼ばないのは、数人の友だけで、崎原もその一人だ。


「でもさー。きっと運命の人じゃなかったんだよな!きっと」


「うんうん、きっとそうだよなー(棒読み)」


 白メガの回復能力は恐ろしく高い。物の数分前まで騒いでいたが、すでに廊下をいつも通りのマシンガントークと共に歩いている。

 会話の標的にされた(いつも)崎原は、棒読みで相づちを打っていく。まるで死んだ魚のような目だ。


「やっぱさ、運命の人に出会うには、俺はまだ若すぎたの!そう、俺の人生は黄河より広い」


「はぁ……そう、だよなー(棒読み)」


「ああ、黄河ってあの黄河な黄色の」


「ああ」


「でもさー、いきなりあんなに嘆かれて、崎原も迷惑だったよなー。全くあはは」


「そー………………」


「ま、きっと俺にはまだまだたくさんの出会いがあるってことだよな!!まだモテ期は来てねーし!!」


(お前にモテ期は来ねーんじゃあねえか?)


「………」


 崎原急に黙るので、中村は疑るような不安そうな目をして、しばし黙る。


「…………こ、これからモテ期は、く、来るんだ、よな…?」


「さぁ〜〜?」


「えええ!!」


 さすがに鈍感な中村でも、ようやく崎原の興味のなさと投げやり具合に気づき、会話の語尾が疑問系になる。崎原が肯定も否定もしないと、中村が大げさなアクションで驚いた。そして少し横にずれたところに足をついたら、


ズボッ


 落ちた。

 誰も声すら上げられない。否、崎原は無関心なので気づいていない。


「あ、かかった?」


「橋本」


 つなぎ姿で箒とスコップを担いでいる橋本陸は、学校の廊下に落とし穴を作成した張本人。


「かかったらしいな。誰かは知らんが」


「えっ(汗)中村とさっきまで一緒に歩いてたんじゃ?」


「ああ!(さして驚かず)中村だったのか……。あいつ、寝癖ひどかったしな」


「(主に関係ねぇよ!!)まぁいいや、あ、ちょっとこのスコップみといてくんね?」


「いい加減に絡めや!!!」


 二人が話していると、深さ推定3mはある落とし穴から中村がはいだしてきた。


「お前ら落ちてんの誰だがわかってんなら絡めや!!上がりずらいわ!!つーか橋本は廊下に落とし穴掘ってんじゃねえよ!!いっ、いたずらに無駄なりょう力(労力)つかってんじゃにぇえ!」


「おう、大分噛んだな。りょう力(笑)」


「あっ!崎原助け」


 まくし立てた所為で中村が噛んだのを嘲笑する崎原。隣に友人がいたことを思いだし(わすれてた)嘲笑されたことなど目にも留めず助けを求める中村。


サッサッサッ


「ゲホッゲホゴエッ!?橋本砂かけんなぁぁ!!」


「チッ…うるせぇなぁ、さっき掘ったがれきを片づけるときに床が汚れたんだよ。掃除ナウだぞコラ」


「舌打ちすんな!お前のいたずらの後始末なんか知った事じゃ」


「眼鏡の片方だけにジェッソで塗るぞ」


「ぎょええ!!やめて!!」


 橋本に落とし穴の中に砂を掃き込まれながらも、中村はじたばたとよじ登り、汚れた制服をはたいた。


「ったくよー。制服汚れたじゃんかー」


「(3m落ちたのに、なんでこいつ無傷なんだよ!)そこではたくなよ。掃除ナウだぞコラ」


「ああ、ごめん」


 回復力のみならず忘却力も高い中村は、ベランダではたこー、とすでに機嫌を直して、教室に入っていく。


「(今度作るときは剣山でも仕込もう)崎原サンキュ!スコップとこれしまってくるわ」


「おう、これって、美術部の何かか?」


「ああ、今度のオブジェに使おうかと思ってさ。ま、中村が落ちそうなところに掘ったんだけど」


 ドテドテ

 不細工な足音が二人の所に舞い戻ってきた。


「崎原ぁ〜。女子に汚いから失せろって言われたよぉ〜」

「ああ、そう(棒読み)」


 二人の所に中村が舞いもどっってきた所で、予鈴がなった。





「……中村は?」


「委員会じゃね?」


「橋本はいいのか?」


「何も聞いてねえし」


 お昼。崎原が、珍しく中村が居ないことを橋本に尋ねた。


「大変だなー…」


「(珍しく心配してるのか?!)あいつ、あんなんだけど副部長も兼ねてるしな」


「橋本も副委員長と部長兼ねてるけどな」


「ま、このおしゃれ番長にかかりゃ、おしゃれと両立出来ねえもんはねえのさ!」


 そういって胸を張る橋本は、先ほどのつなぎから制服に着替え、ブレスレットにネックレス、シャレオツな腕時計に加えてピンとワックスで髪型までばっちり決まってる。


「橋本はセンスがあるからな」


「えっへん!(……でも)」


「あのぉ〜崎原くん……?」


 弁当を広げた直後、崎原のことを見つけた女子がわらわらと寄ってくる。


「この子がちょっと話しがあるらしいんだけどぉ」


「なに?」


「こ、ここじゃ何だからさ、ちょっと」


「どこ行くの?」


 数人の女子に廊下に連れ出される崎原。

 橋本は橋を握りしめ、昼飯をかみしめる。


(崎原の方が圧倒的にモテるんだよぉぉぉ)


「ただいま〜。あれ?崎原は?」


「いつものだよ。中村」


 委員会で外していた中村が戻ってきて、橋本の正面に座る。いつもの事だし、比べものにならないぐらいモテない中村は崎原のモテっぷりにほとんど興味を示さない。


「そんなことより!隣のクラスのC川さん、ちょーかわいくね?!」


「また惚れたのかよ。今度は何が原因だよ」


 こちらもいつものことだが、中村の超速の惚れ話が始まり、橋本の気分はどんどん落ち込んでいく。


「ちょっとお二人さ〜ん。ここいいかしらん」


 声をかけられ、二人が目をやると、男だけの悲しい食卓に一輪の巨乳が咲いた。


「ボンカレーちゃん!」


「どーぞ、あとで崎原が戻ってくるよ」


 学園のアイドル兼生徒会長を務める通称ボンカレーちゃん。

 本名・久保院かれいちゃんは、気さくな性格に加えて、誰に対しても分け隔て無く接する人柄で、しかもかわいいし、Eカップという男子悶絶のナイスバディの彼女は、学園のアイドル支持率No.1。


「全く崎原君はホントモテるわよねー」


「ボンカレーちゃんほどじゃないよ。君の魅力に、男子はみんなメロメロさ」


「ガハハハ!橋本君のお世辞は大げさよー」


 中村だったら、歯に浮いて到底言えない台詞を橋本にいわれ、ボンカレーちゃんは豪快かつワイルドに笑い飛ばす。


(ガハハって笑う学園のアイドルって、ありなのか……?)


 中村がそんな疑問を不意に思いついた時、彼は委員会の用事があることを思い出し、急いでお弁当をかき込んだ。

「橋本、俺川口探してくる!」


「ん?委員会がらみか?だったら俺もいくよ」


 立ち上がる中村を橋本も追っかける。川口はどの教室にも居らず、二人は彼がいつもまどろんでいる屋上に向かった。


「川口ー居るか〜〜?」


 扉を開けながら呼びかけて、中村は驚いて目を見開いた。


「おおおおおおおおおおい!!!なにッなにッなにッや、や、やってんだ!!」


「中村、立ち止まるな」


 橋本も中村を押して屋上に上がったが、彼も思わず驚いて息を飲んだ。

 屋上のフェンスを越えた端の所に、見知らぬ男子生徒が立ってる。さすがに橋本も狼狽した。


「じ、自s」


「なにやってんだよ!やめろ!!早まるな!!死んじゃだめだ!!」


 フェンスの前に揃えられた靴とその下にある遺書らしき紙。中村は必死で説得しようと、手足をじたばたさせている。


「こんな所で死んでいいのか?!人生まだ始まったばかりじゃないか!!これから、楽しいこともうれしいことも、いっぱいあるんだぞ!お前がここで死んだら、残された俺たちはどうなるんだ!!お前を大切に思う連中は、どうなるんだ!!死んじゃだめだ!!」


(すげえ、ただドジでおっちょこちょいで惚れっぽくてうざいぐらいのおしゃべりで字が汚い上に鈍感な足フェチ野郎かと思っていたが、こういう、ちょっと使えそうな所もあったんだな)


「あ〜れ〜、ふたりともどうしたの〜〜?」


 緊迫した状況で、不意に橋本の隣からのんきな声が聞こえた。


「川口、やっぱりここにいたのか」


「あ〜れ〜、ね〜え〜、橋本くん。中村くんは、なに騒いでるの〜〜?」


「実はかくかくしかじかで、中村が今説得しようとしてるんだ」


「へ〜え〜、じゃあ先生呼ばないとね〜〜」


「そうだな。じゃあ、屋上で自殺しようとしてるって」


 橋本は先生を呼びに行こうとするが、その前に中村に振り返って尋ねる。


「おい中村!!自殺しようとしてるのは誰なん」


「知らん!!」


「「えっ?!!?」」


 一度は橋本に見直された中村が、実はやっぱりとんでもないアホだと知って、橋本と川口詩織はあっけにとられる。


「…お前ら、出入り口でなに騒いでんだよ(棒読み)」


「あ〜、崎原くん」


 そのとき丁度一斗缶とマッチを持った崎原が屋上に上がってきた。


「燃えるゴミ(貰いすぎたラブレター)を燃やしにきたんだが………」


 言いかけて、橋本と川口の上(高い身長を生かして)から揃えられた靴を見た崎原は、一斗缶を下に置き、


パンパンッ


(すでに死んだことにされた!?)


「こら崎原!柏手打ってんじゃねええ!!」


 安らかに眠れ、とかつぶやきながら柏手を打った崎原は、橋本の心の中の叫びはもちろん、振り返って叫んだ中村の事も無視して、どこかに電話をかけながらそのまま屋上を後にした。


(と、とにかく、川口が先生を呼びに行っている間時間を稼がなければ!!)


 いつの間にか姿を消した川口が、先生を呼び行ったと思いこんだ橋本は、自分も声をかけ始める。


「誰だが知らないが、死ぬのはよくないぞ!!生きてれば、恋して、女子とキスプリ取って、タピオカカップル飲みして、恋しなくたって、女の子と遊びに行って、最新映画『ふともも刑事〜愛と手錠のラビリンス「私はSMよりも、羞恥プレイが動機だと思うの」〜』を一緒に見に行って…………あ、週末のチケット予約すんの忘れてた。キミコに怒られるちまう!やれやれ、これだからモテる男はつらいね」


「お前まじめに説得しろよ!!あっ!」


 長い茶番につき合わされた自殺志願者Dが、一歩端に踏み出す。中村が止めようと駆ける前に、何かが音速でその横を通り過ぎた。


「にゃあ」


「ジョセフィーヌ!!僕も一緒に!!」


 いつの間にか消えていた川口がフェンスを飛び越え、フェンスの外にいたジョセフィーヌ(猫)を抱き抱えて、少年マンガの主人公ばりのかっこよさで屋上から飛んだ。

 中村はフェンスに上り、川口に届かぬ手を伸ばす…。


「川口ーーー!!」


 バサッ

 フィ〜〜〜〜


「また会おうぜ名探偵…世紀末を告げる鐘g」


「長いし!誰も怪盗○ッドだと気づかねえよーーー!!!!」

 さすがオタクの川口が、あの怪盗キッ○の名ゼリフと共にハンググライダーで飛び立った直後、つっこみの衝撃で中村の体が前に(フェンスの外に)傾いだ。


 ゴチッ!ヒューーーン


 そしてそのまま、フェンスの外に頭をぶつけてから落ちていった。

 丁度、5時間目開始のチャイムが鳴った。





「崎原、他の二人は?」


「部活だって」


 つい2時間ほど前、屋上から落下して、崎原が用意していた安全マットの外の植え込みに落ちた中村は、眼鏡が壊れたので部活を休んで、元々部活がなかった崎原と帰っていた。


「部活がなくてラッキーだったよなー!しかも!自殺志願者のD貝も、屋上から飛び降りたぐらいじゃ人間死なないことに気づいて、あきらめてくれたし!」


「そーだな…(棒読み)」


 一瞬、どうして中村が死ななかったのか崎原は思案したが、興味がなかったので八百屋のサツマイモの方に意識を移した。


「……もう秋だし、焼き芋でもするか」


「おお!!崎原ナイスアイディア!!」


 空き地に移動し、二人は先ほど崎原が燃やし損ねたラブレターの詰まった一斗缶で焼き芋をする。


「よく燃えるな!」


「ラブレターって、良い紙使ってるからな(棒読み)」


「ええっ!!」


 焼き芋は、女子の怨念と失恋の味がした。




end



おまけ



 美術室にて


「今日はデッサンをやりまーす」


「は〜〜い」


 美術部部長の橋本は、早速前もってとがらせておいた鉛筆を取り出す。

 ふと、川口(副部長)の方に目をやると


「……うん、川口、今日はデッサンだぞ」


「うんっ!知ってるよ〜!」


 なぜかコミックが並べられ、萌え萌え系のイラストが並べられている。


「………………川口」


「うん、デッサンでしょ?」


「…デッサンやれや!!激オコプンプン丸だぞコラァァ!!」


「コミケが近いんじゃぁぁあああ!!ムカ着火ファイヤァァァアアア」


 部長と副部長の間で、激オコプンプン丸とムカ着火ファイヤーが燃え上がる。まるで竜と虎の戦いに、部員一同息を飲む。


「ぶ、部長と副部長がバトってる……!」


「男と男の真剣勝負だ……!!」


「激オコプンプン丸とムカ着火ファイヤー、どっちが勝つんだ?!」


 部員たちも息を飲む中、二人の激しい戦いはしばし続き、そして…ついに……!


「陸、トーンとベタを頼む!!」


「任せろ詩織、神の右腕を持つ俺が、不可能を可能にしてやるぜ!!」


 これこそ激オコプンプン丸ムカ着火ファイヤーの威力!!

……二人は無事に、コミケの原稿を終わらせたのだった。




あとがき


 後日、気が向いたら登場人物設定のせます。はい

 モデルのみなさんありがとう、そしてごめんなさい。


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