出会い
高校生が主になる話なので今は過去の話になります。
高校で片思いをしている彼に出会った場面を今回書きました。
あなたを初めて見たときは女の子かと思いました。
顔がすごくきれいだったから。
もちろん今もとてもきれいですよ。
さわやかな笑顔は今と変わりませんね。
その笑顔を大切にしたい…ずっと眺めれたらいいな。
私が入学した中学校は何週間かするとふれあい合宿がある。
主に3つの小学校から生徒が集まるため、知らない顔ももちろんある。だから、中学校の勉強について学ぶ以外に友達作りも目的の1つとされていた。
しおりを貰ってわくわくしながら合宿の準備をした夜はしばらく眠れなかった。
少年自然の家について、プリント学習や、校歌練習、体育祭が近いため行進の練習もやらないといけなかった。
後半はかなり面倒くさくなってやめたいと思うほど疲れていた。
夜になってみんなが体育館に集まると教頭先生が来ていた。
「―――で、―――。」
あんな人が教頭先生だったんだ、などと思いながら話はあまり聞かずぼぅっとしているとゲームを始めることになったらしい。
周りにあわせて、体育座りから起立する。
「これからやるゲームは先生が手をたたくので、叩いた数だけ人と集まってください。集まったら輪になって座ってくださいね。では、始めますよ!多くの友達を作りましょう!」
簡単な説明と共に手の鳴る音が聞こえてきた。
周りが一斉に動き、次々に座っていくため遅れないようにまずは小学校が同じだった仲良しの子と集まった。
数が少なかった手の音がだんだん多くなり、近くにいたこの合宿で知り合った子のグループとも合流して座るようになると、人数が固まるため周りも早く座るようになった。
「結構楽しいね。」
「次は何人かな。」
そんな会話をしながら、半ば胸が躍りながら次の数を待つ。
パンパン…
手の鳴る音が聞こえ始め、数を数えると先ほどと比べ物にならないくらい多かった。
急いで集まり、人数を確認するがそれでも1人足らずみんなで周りをキョロキョロとみる。
「どうしよう、みんな座り始めちゃったよ。」
「誰かいないかな。」
周りが座りはじめ、見まわしやすくなったころ、1人の生徒がうろうろしているのが目に入った。
「ねぇ、あの男の子1人かな?」
「声かけてみる?」
「うん、時間もないし、仲間に入れようか。」
集まっていた女子全員でその子に近づき声をかける。
「もしよかったら、ウチらと座ろうよ。1人たらなくて困ってるんだ。」
「うん。俺は別にいいよ。」
ちょっと声かけるのに緊張したけど、なんとか座ることもできた。
周りをみれば立っていたのは私たちだけらしい。教頭先生の話す声がすぐに聞こえてきた。
「急に声かけてごめんね。女子ばっかで嫌だったかな?」
「ま、ちょっとびっくりしたかな。でも、俺も1人で困ってたしちょうどよかったよ。」
気にして謝った女子にやさしく答え、グループにありがとうとお礼を言った。
とても礼儀正しい男の子なんだな。その時思った印象はそれだった。
「自己紹介しようか。」
1人の女の子の提案で1人1人男の子に名前を言っていく。女子はみんな知り合いだったから知らないのは男の子くらいだった。
「私は岡崎えみ。よろしく。」
私が最後に自己紹介をし、女子は全員終わったので、次は男の子が自己紹介をした。
「俺は甲斐澤宏樹。よろしくな。」
ちょっとハニカんだように言いながら、みんなに挨拶をした。
しばらく、先生の話が続いたけど、私たちはあまり聞かず何人かは甲斐澤君と話していた。
ふれあい合宿ではその時以外話していない。クラスが2つも離れていたため一緒に行動することがなかった。
特に気にもせず、学校にも慣れて来てクラス委員などを決めたとき、私は図書委員になった。
小学校の頃は興味があってもすることができなかったため、ここでやってみたかったからだ。
初の委員会の日、言われたところに同じ委員の男子と向かった。
委員は男女1人ずつの2人でやるため、1年から3年までの各クラスから合計で24人の委員が集まっていた。それに執行部の委員長と副委員長2人の3人をあわせて活動をする。
席が決まっていたため、言われたところに座る。
周りを見渡せば先輩も何人か集まっていて緊張してしまったが、すぐ後ろを見て緊張が解けてしまった。
「あ。」
「どうも。」
甲斐澤君が座っていた。軽く会釈をされ、少し遅れて私も返す。
委員会が終わった後、声をかけてみた。
「図書委員に入ったんだね。」
「うん。」
「本好きなん?」
「まぁね、えっと…岡崎さんも?」
「うん。家でもよく読むよ。」
ちょっと間があったときにチラッと私の名札を見たのが分かった。自己紹介1回で名前覚えるのは大変だよね。あのときは他に何人も女子がいたし。
それから委員会の仕事は学年で別れて行動することが多く。放課後の本の整理もあったため甲斐澤君とはよく顔をあわせるようになった。
たまに話していたから名前は完全に覚えることができた。相手も覚えてくれてるみたいだった。
―――――――甲斐澤君とはよく馬が合うな。
たまにする会話からそんなことを思うことがたまにあった。
ミスしてたりしたら教えてください。