第1章 第9話 はじめてのおでかけ
次回からは毎日でなく、更新が二日に一度の時もあります。
ちょっと他のも書きたいので。
ここの渓谷は、自然がいっぱいで、食べ物にも困らないが、ジョーカーが少しずつ少しずつ私と自分とのつながりを強固にしたらしく、本当の意味でお腹がすくという感覚が私にはなくなっていた。
けれど私は、ジョーカーと出会うまで、普通に食事をしてきたものだから、やっぱり口に食べ物を入れなきゃ何か落ち着かないし物足りない。
そこでおいしい果物とかを1日きちんと3回食べることにしている。
うん、毒にみえそうなものとか、どう見ても毒だろ、これ!とか、まったく気にもせずに口にする。
深くは考えず丈夫な胃腸よ、ありがとう!という事にして、そこはかすかに漂う人外の気配は見て見ぬふりをする。
そして一番大事なことは、なんと、天然温泉が渓谷沿いには幾らでもあることだ。
基本、自分にも無頓着な私だけど、お風呂だけは別だった。
少ないお小遣いをためて、ときたまスーパー銭湯や湯処に通ったあの日々を思いおこす。
今の私には貸切露天風呂が幾つも私の為だけにある状態だ、何、このウホウホ、それもタダ。
初めて露天風呂を見つけ風呂につかった日はジョーカーに抱きついて、あのネオライオンのハートのクイーンちゃんが嫌がるのもかまわず一緒に風呂に引きずり込んで、情けない悲鳴?をあげさせたものだ。
どうもジョーカーたちは何やら学んだらしく、この風呂に入ると言う至福の時間には私のそばに決して近寄らず逃げているふしがある。
時折、どう見てもそれは何?何の肉?の切れ端を口元にひっかけてるあんた達を見るのと同じくらい、お風呂にビビるこの子らは情けないものがある。
私はいつものように温泉に入り、ずるずると洋服変わりの、あの変な膜をひきずり、お気に入りの開けた小さな草原のような場所にくると、くるりと横になり、日向ぼっこをする。
制服なんて、あほな子のよだれのせいで、すでにあとかたもなくなってしまった。
乙女的にはこのすっぽんぽん状態は心もとなかったけど慣れれば凄い開放感。
基本、この子たちはジョーカー以外てんでばらばらに暮らしており、ジョーカーも少し先の洞窟のような場所で現在進行形で睡眠をとっている。
ジョーカーは睡眠をとりながら、自分とこの世界をつなげているらしい。
どうゆう原理かわからないが、そうやってより適応していくのだという。
この場所に私の危険になるものなどなく、私もまたまったりと時間をすごしていく。
本を読めないのがたまにきずだが、ジョーカーが睡眠に入って3度めの陽が昇った。
まだしばらくは目覚めない。
ジョーカーは私の安全を確認しその睡眠に見えるこの世界に同調をしてる。
確かあちらの谷沿いは甘えん坊のスペードのエース君のテリトリーだ。
ちょいと昼寝から起きたら誰かの背に乗せてもらい遊びにいくことにしよう。
そう自然に思う私は、あれほど他者が苦手だったのにこの子らだけは別らしいと、小さく笑ってしまった。
この世界で私が目覚めてから地球の感覚でいえば2か月くらいはたったその日、私は数キロ離れた別の場所に初めてのおでかけをする。