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第1章 第8話  再びの目覚め

聖子は顔にあたる眩しさに、覚えのある暖かさに目を覚ました。


「明るい?・・・なに?光?」


うっすらと目を開けると、ちょうど陽の光が自分の顔近くに当たっているのが感じられた。


すると、喜びの混じった声が頭の中に響いた。


「おきたか?」と。


え?私誰と会話してんの?


思い至って不思議に思うのと同時に、一瞬で走馬灯のように、これまでの出来事を思い出した。


自分が包まれている柔らかいフニャフニャのものから抜け出せば、またまた大きくなっているジョーカーがいた。


私はどうやら大きな木の洞の中に、無圧布団も真っ青なとても寝心地の良いそれに包まれて寝ていたらしい。


なんか、最近寝てばかりな気がする、自分・・・・。


そのままうつぶせに、大きく伸びをして、顔を上にあげてジョーカーに声をかける。


「おはよう。」


その黒いまがまがしい姿を、はじめて陽光の元で見て、確かめるようにもう一度じっくり見て頷くと、私はあの子蛇ちゃんモードの尾が好きなので、ジョーカーに小さくなってもらった。


私の元までトテトテ歩み寄る姿は愛らしくて、嬉しさのあまりよだれをたらすせいで、足元の草がじゅっと煙を上げて消えてるけど、うん、カワイイ・・・はず。


そばにきたジョーカーを抱きしめながら、思いっきり空気を吸い込むと、「空気がおいしい」ということを実感した。


すごい体によさそうなとこにいるみたい。


さっそくジョーカーに聞いた。


「ここはどこ?みんなはどこ?それより何で、あんた話せるようになったわけ?」


立て続けの質問に、相変わらず嬉しそうに、よだれをたらしながら、・・・(もうそれやめてよね)


頭の中に答えがかえってくる。


ここは地球でいえば中世あたりの文化圏の世界、しかも魔法あり、ドワーフや妖精やらもいる世界だと言う。


ほほーう、私の目がキランとしたのは仕方がないと思う。


ジョーカーから生まれた、カードの名前のものたちを残して、皆それぞれこの世界に散っていったと聞いて、自分がまさかの過保護気質だと思わなかったが、心配する私に、彼らが繁殖して、その子らの一部が、この世界の人間にやられはしても、まだ共に渡ったものに深い傷を負ったものはいないとジョーカーから聞いた。


さすがジョーカー、体の大きさも自由自在なら、自ら生んだあの子たちとは、ちゃんと何らかのつながりがあるらしい。


まあ、けれど私達が思うような、ほのぼのとしたものはなく、弱肉強食当たり前が前提ではあるが。


ジョーカーは私が目覚めるのを待ちながら、コミュニケーションの必要性から、会話できるようにしたらしい。


この子の規格外には、もう驚きません。


・・・よだれで台無しだけれども。


あちこちから、キラキラ光る木漏れ日の中、かわいい子たちの、喜びの声、咆哮とも呼ぶけど、それが聞こえ、私をチラとみて、ジョーカーも叫んでいいかと聞いてくるので、いいよぉ、と答えた。


その凄まじいほどの、喜びの声をジョーカーもあげた。





この日、大陸では妖獣の咆哮が、あちらこちらから風に乗って聞こえ、神殿にはお祈りをするものや、かけこむものがたえなかった。


エンブスもまた、騒ぎ出す動物たちや、狂ったように暴れる騎竜をおさえつけながら、まるであの日の再現のようだと、雲一つない青空に目をやりながら、何事もなければよいがと思った。



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