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第2章 第17話 はじまった式典

 やっとやっと即位式典が3日に渡りはじまった。


 朝もはよから、祝福の鐘がなり響き王都の通りを神殿関係の僧侶達やその見習いが聖水を振りまき、同じく聖別された色とりどりの花びらを街頭に撒き散らすという行事からはじまった。


 この王宮の一室まで、民衆の歓声や興奮が伝わってくる。


 私が思わず外に視線を向けると、ただそれだけなのに、私にひっついたままのアルがすぐさま大きな窓辺まであっというまに移動して、私の窓辺に向けた視線さえダメですよ、って感じで遮断してきた。


 や、あのねアル、私だってエンちゃんとさ、ちゃんと約束したんだから「ちゃんと今日は言う事をききます」ってさ、そのまるで信用ならぬって、そういう態度ってどうなのよ、旅の仲間としてどうなのよ、と私は問いたい。


 私が大人しくパーティーに出る代わりに、私の分もお友達がみなお小遣いゲットの上あまり目立たない護衛さん数人を案内にこのお祭りをエンジョイするというお約束をしたんだもの、この私だってお友達の楽しみのためには涙をのむってもんよ。


 もちろんおみやげはバッチリ頼んである。




「お前はすこうしばかり反省っつうのしろな。あの家族は助かったっていってもお前、赤ん坊は何もわかんなくても親はちゃんと自分らがパクリとされたの覚えてんだ。あいつらが子供を轢いちまったのはひでえけどよ、俺にはだから簡単にパクリと食っちまえばいいとか思えねえんだわ。そこいらではすぐに簡単に人は死んじまうからな。俺たちもいっぱい考えるからお前はもっと考えろ。まぁ、アンナなんかはちょびっといい気味だったと言ってたけどな」


「お前はいち度何かする前に十は数えろ。よく死んだ母ちゃんに頭ぶったかれて俺も言われたもんだ。そんでなくてもお前シャレになんねえ力持ってんだからさ。まあお前は大人しくすんごいらしいパーティー出てりゃいい。代わりといっちゃあ何だが俺たち町の祭りめいっぱい楽しませてもらうからな、みやげ楽しみにしてろ」


 そう言ってニシシと笑って我らがリーダーはみんなと朝早くからお祝いに浮かれる町に飛び出していった。


 だからそりゃじっと我慢して、我慢して、約束だもの守んなきゃね・・・約束だし・・‥。


 私は窓に向かって超ダッシュした。 


 私の心と体はよく聞く「悩める十代」らしくちぐはぐなの、やっちゃいけないってわかってるのに、体が勝手に動いちゃってね。  

 だからちょっとぐらい外を覗いたっていいじゃん、外に出るわけじゃないんだから、たぶんきっと。




 アルのバーカ、バーカ、私の今にも窓から飛び出そうとする足に何とか必死につかまり「だからダメですって~」と情けなく叫ぶその姿に何げに私をキャッチしにきてくれたハートの子が「なりそこないかわいそう」とホバリングしたまま私を見るので,結果勢いでしようとした逃亡は結局挫折した。




 で、現在髪の先に小さな金色の鈴を沢山つりさげて、幾重にも重なったシルクみたいな衣装を身につけ、私と反対に沢山の煌びやかな人達に囲まれてかしづかれて、あのバカ王孑、いや、もう王様か、そいつとお揃いの格好で大きなドアの外に待機中ナウ。


 ニコニコして私に話しかけてくるんだけど、腕の中にいるジョーカーの小蛇~ズけしかけていいですか? 


 すぐそばにいるエンちゃん達の顔をチラっとみてやめた。


 何かもうすんごい死にそうな顔してんだもん。


 これからも私らといるみたいで、何か最後のご奉公?みたいでさ、私もお友達にも言われてるしさ、前払いでお小遣いまでもらってんだもん、大丈夫大丈夫、安心しなって心を込めてニコって微笑んであげたんだ。


 「胡散臭い微笑」の王様と違って「清らかな微笑」をエンちゃん達に送ってあげたのに、より一層死にそうな顔になるってどうよ。


 納得いかなくて腕の中のジョーカーをふてくされてみれば小蛇~ズも何気にこちらを見てて、目があったのが嬉しいのかパカッとロを開けて笑おうとした。


 口あけちゃダメ、絶対!よだれ垂れるから!私は急いでガッと小蛇~ズどもを押さえつけた。


 


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