第2章 第11話 王都編 町の遊び
今日から四か月ぶりの休み。
出かける前にちょいと更新。
休みは更新、これ大事。
エンちゃんからポイッと放り出されて、ただいま王都の町の中のすごい賑わいのある商業地区に隣接する明るく開放的な広場がある王都の憩いの場所である「ガンダル地区」と呼ばれる所まで皆できた。
この広場で夕方まで自由に遊んでいていいらしい。
もちろん、お小遣いもばっちりだ。
護衛?それ何?の世界だから。
「今日は一日フリー、ただ大人しく遊んでいてくれ」とエンちゃんから切にお願いされた。
私は赤ずきんならぬ黒ずきんちゃん仕様だけれど、万が一ばれないようにってね、だけどみんなは普段通りの恰好でここまできた。
城の中で用意され否応なく着させられていたピラピラドレスやかっちょ良いズボンなんかじゃなく普通の恰好でいる。
もちろんすんごく仕立ての良いものらしく、みんなはそれを驚いていたけど、それより「これならおしゃれ着として戻っても着れる」と喜んでいた。
グッジョブです、誰かわかんないけど、みんなが喜べば私も嬉しい。
ここまで案内してくれたアルの部下さん二人はそれとなく傍にはいるらしいけど、護衛じゃなく報告係りみたいなもんで、「エンちゃんたら心配しすぎなんじゃない?」とみんなに言ったら、「うちらを心配してんじゃなく、うちらの周りにいる人たちを心配してんじゃないか、お前隊長大変なんだかんな!暴れんな!」だと一斉にそんな事をワラワラと言われた。
すんごい失礼なんですけど、君ら、私をどんな人間だと思ってるわけ?
しかしエンちゃんたら男の子組みにも女の子組みにも人気があるんだよね、何でだ?理解できん。
みんなキラッキラした目でエンちゃん見つめるんだよね。
「あのへタレたおじさん」なんてついポロッと言った日には、考えただけでわかる恐ろしい結末が予想でき、それだけは言っちゃだめだ、自重しなきゃと、めったに反省などしない自分も肝に命じておこうと思うくらい人気もの、ほんと、子供には、友人限定だけども私は負けるから、口にはチャックだ。
けれど私は思わず手をすちゃっと挙げて一言だけは言わせてもらいましたとも。
「私のせいじゃない!私は悪くない!」と。
そうしてすかさず友人たちに、はっきりきっぱり自己主張した自分に思わずニマ二マしてしまった。
なんか、今思い出してもすんごい遠い世界の感覚になっちゃっているけど、自分の生まれたあの場所じゃ何一つ主張するどころか、周囲の全てが怖くて恐くて全てを拒絶して身を丸めていた自分をつい思い出してしまったから。
瞬間、地面の下にいるクローバの子達や高い空に控えているハートの子ら、勿論私のマントの中で抱かれているジョーカーからも私に暖かい気遣いの思考が届きましたけれどね。
う~、癒される~、ありがとうと心から返しておいた。
我が友人たちも何か感じたのか、それを、昔をそれ以上思う暇なく「いくぞ!」「あそこまでかけっこね」と広場の中心にある泉までよーいどん!になった。
わ~っ!と歓声を上げて一斉に駆け出す皆を追いかける私は、地面の下のクローバーの子らにも笑いかけ、空のはるか上を飛ぶハートの子らにも手を振り、胸に抱かれるジョーカーもちょいちょいと撫でて、思いっきり笑顔で広場の中心に向かってみんなの後を追いかけた。
空は抜けるように青く本当に「世は事もなく」という始まりの一日だった。
・・・・・そのはずだった。




