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第2章 第6話 王都へ

えー、お久しぶりです。

ふて腐れている内に家族がネットプロバイダーを解約し、新たに契約し直さなきゃいけないのに面倒くさいと放置してます。携帯で初めて連載の更新にチャレンジ。

お待たせしました。

王都への移動は楽しかった。私たち一行が泊まる先々にエンちゃんとこの何人かが先に乗り込んでいろいろ準備万端にして待っていてくれるんで、私と友達たちは遊びの延長のように王都に向かって旅を続けていた。

見るもの聞くもの皆はじめての事ばかりと目を輝かせる一人一人の表情に私も嬉しくなって、その嬉しさが伝播するのかジョーカーもエンちゃん達を乗せて飛ぶハートの子達も心なしか機嫌がいい。


夜は天幕の時も宿に泊まる時もエンちゃんがせっかく用意してくれた一人用の天幕や部屋に私を入れて十数人で雑魚寝しては、その時々用意されてるクッキーや軽食を持ち込んで話しに花を咲かせていつのまにか寝てる、みたいな感じで朝を迎えるのが定番になっていた。



みないろいろな話しをするのをおやつを食べながらワイワイ聞く楽しさったらない。


相変わらずヒョロッと痩せたままの子たちが多いが、私に言わせれば、昔私がいた世界で見た大人達の誰よりも、その瞳はしっかりと自分の立つ場所を知っている、そんな瞳をしている子達ばかりだ、本当に大好きだ。



もう数日で王都に着くというその夜は、今までで一番大きな町ウェスティンという宿場町に泊まった。


この当たりにまでくるまで一週間以上かけて、ゆっくりと旅をしてきた。


なんでこんなにゆっくり旅をするのかはわからないけど、まだまだ楽しくてしょうがない私や友達には嬉しい日程だった。




そうして旅を続ける内に私達一行を迎える人々が気のせいなんかじゃなく多くなってきた。


この町ウェスティンなんかは交易の拠点でもあるというだけあって空から町に入る時に先行で入っていたロアル達の出迎えだけじゃなく町の着飾った大勢の人まで私達の降りる場所近くに待ち構えていて、その後ろには普通の町の人達が大勢押し寄せていて驚いた。

まあ私もジョーカーもうちの子らも全然気にしないし、食べちゃダメ、遊ぶのもやめと話しをしているせいか一切関心さえむけないけど。


だけどね空ばかり見て地面をみないからクローバーの子達がほら、いたずらしてそこらじゅうを大袈裟に動いたもんだから、あっちにコテン、そっちにコテンと綺麗に着飾ったのに、とても残念な事になって、私もついいたずら心がおきてジョーカーに少しばかり吠えて貰ったから、あ〜ら不思議、蜘蛛の子散らすみたいにいなくなっちゃった。


町の入口部分うねうねしたけどいいよね。


私ケバい女嫌いだもの。


もちろんクローバーの子らには町では深く潜って貰ってるよ。

エンちゃんたっての願いであまり遊ばないでとの事で、おやつのリクエストで手を打ちましたけど何か。


でもね、わからなきゃいいよ、みたいな雰囲気を目で語ってるんだけど?


エンちゃんといいアルといいキャラが変わったと思うんだ、黒い方に。


で、その夜もその町一番という宿屋の私の部屋には友人達がいつものように集まり、女の子がおしゃべりをし、それに男の子がツッコミを入れるいつものパターンになってぎゃあぎゃあ騒いでいたんだけど、あと少しで遠足の目的地に着くのもあって誰かがぽつんと漏らしたんだ。


「まさか王都にいける日がくるとは思わなかった」って。


「父ちゃんがいつか王都みたいなでかい町に連れていってやる、そう母ちゃんに言っていつも鼻で笑われてた」そう言って小さく笑う子もいた。

「俺んとこも同じような事言って、あそこにきた」

誰かがそう答え少しの間静かになった。



前に聞いた彼らの家族の最期はあの砦の連中の遊びの弓の的になったり、少しでも若い女はそれこそ十をすぎた子供から夫や子供までいる女まで砦に連れていかれ戻ったものはいなくて殆どの友達の母親はそうしていなくなったと聞いた。

そういう使い道のない人間はただ飢え死にさせる為に生かされた。

新しい土地での希望に満ちたやり直しのチャンスに家族揃ってあんなに神様に、御領主様に感謝して泣いたのが、それまでいた場所以上にひどいもんだった。


「悪いなぁ、ごめんなぁ」

そう言って少しでも幼い自分らに食べ物を取らせ死んでいった周囲の大人達。彼らもまたその子供達が生きる事はないと知りつつ死んでいった。


私はそういう事はあまりわからないから聞いてもフ〜ンだけど、友達もただ他の子の話しをただ聞くだけで誰も泣いたり強い言葉を出したりしない。


言ってる本人も淡々としゃべってる。


たまたまそんな話しを一緒に聞いちゃったアル達なんか何故か泣きそうで、男泣きする奴もいたけど、それにドン引きした私達の暗黙の了解で大人達がいる所では面倒なので家族の話しはしない事にした。



私の友人達は飾りも何も入る隙もない「現実」っていうのを知ってる、そして自分が生きるという事をきちんとわかってる格好いい男前ばかりだ。


友人達の代わりに私がえばってやる。


そのおかげで私もこうしていられる、あまりにお馬鹿なので常識を教えてくれるらしい。


ちょっと一人一人何かを思っていたようだけど、もちろん私の友人達は枕を投げるという私の攻撃にすかさず参戦してきて、いつも通りのはっちゃけ騒ぎがはじまったのは言うまでもない。


ちなみにジョーカー達は屋根の上に雀みたいに体を小さくして押し合いへし合い止まってる。


パジャマパーティーには保護者は参加できないのさ。


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