番外編 ④初めての旅
主人公です。
番外編④に直しました。
エンちゃん達もおもしろそうだと旅についてきたっぽい。
訓練とかはいいのかとロウゼに聞いても、ニコニコして大丈夫だと言ってるし、まあいいかくらいで特に邪魔にならなきゃって感じで一緒に旅してる。
露天風呂を求めての旅なので、自然がたっぷり残ってるっていうか、ガチ秘境めざして飛んでいる。
もうふた月近くこんな感じ。
お風呂見つかったのはないけど・・・。
ジョーカーたちに探してもらうのは簡単だと思うけど、私はのんびり自分がやってきたこの世界を見て回りたい。
だって初めてお遊びに出かけて遭遇した綺麗なピカピカ光る草からこっち、これこそ本当の初めてのお出かけになるんだもの。
ゆっくりこの世界をみてみたいよね。
そいでもって自分で大好きな露天風呂が発見できたらもう最高じゃない。
今はこうして順調に旅を続けているけど、最初の一週間を過ぎたあたりから、エンちゃん達の元気がなくなっちゃって、あれ?とか思った時があったの。
騎獣に乗っても、もうふらふらって感じ。
何でかわかんないけど元気がないし倒れそうだし、じゃあここいらでバイバイしようと思ったんだ。
だけどもう倒れる寸前なのは素人の私が見てもわかるのに、目ばかりギラギラさせて必死についてくるそぶりを見せるのエンちゃんたち。
え~、引くよね、何これ何フラグ?
そう思ったらね、クローバーの子らが、何やら生き物を仕留めてきて、ハートの子らがそれを焼いて彼らに与えたの。
果物もたくさんね。
それで私もやっと気がついた。
あ~、そういえば最初にエンちゃんたちがワンサカ持ってきた荷物4日目ぐらいにカレンダーの子がいたずらして、ダメにしちゃったっけ。
私って基本食べなくても平気だし、うちの子らも週に一度くらいの食事で全然平気だ。
エンちゃんたちが何かを食べてるのそういえばそれから見てないや。
だってエンちゃんは必ず私にも自分たちと同じものを持ってきてくれるから、いつからそれがないが思い返してみる。
何日くらいたつ?
あは、忘れてた、食べたり飲んだりしないと基本人間だめだよね。
それからごめんなさいの意味も込めて2日ばかりそこで休憩をした。
私は一人旅のつもりでいた、ジョーカーたちは別にして。
だから本当はそこにおいていっても良かったんだけどもね、クローバーの子らが言うんだよ。
「できそこない」
「めんどーみる」
そう口々に。
どうやらあのジョーカーの「尻尾の子蛇ちゃんからまり事件」の時に、クローバーの子が治療したんだけど、その時に治療をいつもの仲間たちと同じようなレベルでやったみたい。
えっへんってえばってドヤ顔して言うには、それで少し混じったらしいの、エンちゃんたちに。
もともとみんなジョーカーから生まれた最初の子。
最初の子らはこの世界で産まれた子を「しっぽ」と呼んでからかっている。
どうやらジョーカーのあの子蛇ちゃんズにちなんで命名したらしい。
ジョーカーとつなぐものがない別の生き物の総称。
うん、確かにあの子蛇ちゃんズは情けないもんね。
話はずれたけど、どういうことかと言うと、ここで産まれた子にはジョーカーのものは混じらないんだって。
だけどエンちゃん達の治療を、あのびびり具合がおもしろくて、より時間をかけて治療したら、うっかり本気モードで治療しちゃったらしい。
まさかそれで混じるとは思ってもみなかったが、徐々にエンちゃん達からの気配に微量だけどそれが現れるし、わずかだけど思っている事が通じるようにもなったらしい。
何それ?だよね。
それでクローバーの子らは自分たちで、エンちゃんたちを「できそこない」と呼んでこの際面倒をみてあげることにしたんだって。
本来弱肉強食当たり前!な彼らだけど、エンちゃんたちのあまりのできそこないぶりに、しゃーないかってなったらしい。
いやいや、その話しに私はもう2度と本気モードで他の生きものを治療しちゃいけません!と約束させて、私はそっと食事をするエンちゃんたちを見た。
そうなったのはもともと私のせいか?絶対違うとは思うけどしょうがない。
めったに何かに対して遊ぶ以外の感情なんて持たない彼らに、その感情をもたらせたエンちゃん達の情けなさに私も1票だ。
一生懸命食べる彼らのうちらでの呼び名はこうして「できそこない」に決定した。
それからはちゃんとエンちゃん達に狩りの時間をあげている。
これがあの訓練より回数を重ねるごとに凄い事になってる。
クローバーの子らは本気で面倒を見る気でついていってるし、ハート組みはおもしろきゃいい。
ついでに集団でする狩りの楽しみを覚え、そのエンちゃん達と一体になってやる狩りの迫力は、エモノの皆さんごめんなさいだ。
それに加え、何かエンちゃんたち野生化したっていうか、以前より迫力半端ない。
ジョーカーはそんな彼らに全然関心はなく今日も私が彼らの狩りの合い間に積んだ花の冠を頭に乗せてやると、落としちゃダメ!と言ってあるので、そのままピクリとも動かず硬直している所だ。
子蛇ちゃんズにも小さいの作って乗せてあげたんだけど、これがもうダメ!
お互いのよだれでジュッって溶けたり変色しちゃった。
私がまったくおバカなんだから!と怒って彼らを見ると、一生懸命動かないでいようと硬直しているのはいいけど、それぞれの目だけは私を見ないようしらじらしく逸らされている。
ジョーカーも私があきれているのを知って器用に同じように目を逸らす。
そこにエンちゃんたちが帰ってきた。
私が立ち上がったので、ジョーカーもやっと強制金縛りから解除だ。
もしかしてジョーカーがエンちゃんたちに対して何も言わないのは、私のイタズラからこうして解放されるから?
う~ん、どうなの?そう思いジョーカーをチラッと見ると、その頭にかろうじて引っかかってる花の一本が目の前に垂れ下がっていた。
目をぱちぱちさせてすごく邪魔っぽいけど、私があげたものだからそのままでいる。
私は笑いながらジョーカ―をかがませてそれを取ってやった。
何はともあれ、こうして旅が続いていた。




