第1章 第29話 なんつーか・・・・。
お気に入りありがとうございます。
ちょっとびびりつつ更新です。
今度来た人達の数は凄かった。
はるか彼方からの砂塵が朝もやに見えるくらいだものね。
この天幕群が小さな町規模になったのと、その同じくらいの規模の人が大挙してやってきた。
大きな馬車みたいなのも初めて見た。
それが幾つもだよ、凄いよね。
それと、ここにいるオバサマ以外、初めて若いお姉さん方もたくさん見ました。
エライ人達のお世話係りみたい。
うん、私、迎えに出たはいいけれど、ジョーカーの目を通して、あと数キロくらいになった、その団体さんの光景を見て、うひゃぁ、ってなっちゃって、すごすご自分の天幕まで戻ってきちゃいました。
忘れちゃいけないよね、私ってば、地球にいた時、夢は「引きこもり」だったんだもの。
それがいきなり、若い女の子とか、女の子とか!絶対無理、いやだ!。
どうしようかなぁ、と思ってるうちにも、お偉いさん一行のご到着みたい。
じっとジョーカーに抱きついていても、外の喧噪が伝わってくる。
しばらくすると、エンちゃんとロウゼとシリ―がやってきた。
これにうるうる君ことゼルとアルが私のお気に入り。
この私の天幕に入ってこれるのは、この人達だけ。
どうやらおエライ人達とのピクニックをお昼にして、その後、訓練ごっこをしたいけど、いいか?
と言っている。
う~、う~、私は唸ってた、チラとエンちゃんを見ると、いつもの私じゃない様子に心配してくれたみたい。
私の前髪をかきあげながら、私の顔をあげさせて、私の様子を観察してる。
それが心からとわかるので、私は大丈夫とアピールした。
案の定、あいさつに来てほしいと頼まれた。
聞いてすぐ断ったよ。
関係ないじゃん。
でも嫌だと言ったとたん、困った様子で天幕を仰ぐんだもの。
大きな図体で、こうもへたれられたら、もうダメ、降参。
へたれ大好き、それを自分で認めた瞬間だった。
アルさんも後からやってきて、おみやげを持ってきてくれた。
お菓子にお菓子に、あれ?食べ物ばかりな気がする。
どんだけお菓子好きだと認識されてるんだ?
で、その認識はどこから?
まぁ、いいか、洋服もそれなりに新しく貰ったもん。
いわゆる「おつきあい」も一度くらい仕方ない、私は空気を読める子。
私は新しい綺麗な水色の服に着替えて、天幕を、お偉いさんがきてから初めて出た。
ジョーカーにはチビチビモードになってもらい、ロウゼ達と一緒に歩く。
そこに遊びにきたまま、この近辺にいた子らも寄ってきて、まるで大道芸人のように、練り歩く。
お偉いさんと一緒にきた人達の、ざわめきが大きなうねりになって私達を包む。
あ~あ、と私の心はそれを嫌がるのだけど、先ほど貰ったお菓子の数々を思い浮かべ、終わったら楽しいティータイム、それを繰り返し自分に言い聞かせながら、私を心配そうに見つめるアルさんに、本日はじめてニコッと笑いかけ、0円の笑顔をプレゼントした。
私が連れてこられたのは、あの木造の建物の一つだった。
なるほど、お偉いさんの為の建物だったのか、納得しつつ、その中に入っていった。
そして、レアル?とかいう若そうな男の人に紹介された。
白いローブに頭にはゴージャスな輪っか、何となく私でもわかった。
いわゆる王子様、ってやつね。
その取り巻きがたくさんいるとこで、ロウゼが私の事をなんか言って、エンちゃんが同じようになんか言ってた。
なんかひざまづいて話していたけど、私はちゃんと立ってたよ。
だってあんな事やったら、膝が痛いじゃない、そんなの絶対いや。
なんか取り巻きの人が、えらそうに私に何か言ってるけど、どうせ態度を何とかしろって言ってるんだろうけど、何で私がそんな態度しなきゃいけないわけ、意味不明。
それとも私ってば、この世界で税金とか払ってないから、やっぱ低姿勢で出なきゃいけなかった?
でもさ、元々、私らって押しかけてこの世界にきたわけだし、今さらだよね、そんなの。
ふてぶてしいと言われる、今時の若い日本人めざしてここは開き直りでしょ。
ちょっと嫌な空気になりかけた時、レアル王子?が、よきにはからえって感じに、周りをおさえて、そのままそれで、なぁなぁな感じで流れていったから、良かった。
ロウゼが私に日本語で気をつかってくれているし、私はこの世界の言葉の、「こんにちは」を一言だけ言って、一応一番エラそうなレアル王子に、おあいそをしときました、頑張ったよね。
昼食を例の草原で数百人規模で行うため、うんとこさそのため準備に時間かかって、私なんかジョーカーとつながってるから、本当の意味で空腹なんてないからいいけど、軍人さん達はお腹すいてるにちがいないよ、かわいそうにね。
だってさあ、もうすでにおやつの時間だよ。
今回私は昼食に参加しなかった。
だってさ、レアル王子とかと一緒なんて絶対やだもん。
あの取り巻き連中私キライ。
情けないエンちゃんやアルの為、ここはため息つきながらも、おつきあい、おつきあい、だけどさ。
それで、やっとこさ、訓練の時間になって、これで終わる、と私がはりきったのはわかるというもんでしょ。
ジョーカーに大きくなっていいよ、って言って、皆にも声をかけた。
ついてきている子たちも、戦闘バージョンになっていく。
空を駆ける子を呼び、地を駆ける子を呼び、地に潜る子を呼ぶ。
初めて訓練した時よりも、より高度な動きを見せる皆。
そうして、新しく来たお偉いさん達が、一番驚愕の声をあげたのがこれ。
なんと仲良し軍人さんとの合同訓練。
エンちゃんの指示を私が伝え、軍人さん達とうちの子たちが、息を揃えて綺麗に動く。
凄いのよ、確かにこれ、私も鼻いきが荒くなるってもんよ。
それぞれの背にコンビの軍人さんを乗せ、華麗に動くさまは、きゃーっ、かっこいいって感じ。
空をかける子に乗れるのは、アルさんを筆頭に数十人しかいないけど、綺麗に統率されて剣が太陽をはじいてキラリと反射する姿は、写メをとりたいくらい。
大歓声のうちに訓練は終わった。




