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第1章 第28話  仲良くするって、楽なんだね。

 あれから、うちらの訓練は二回ほど行った。


 あの訓練ごっこを、皆気に入ってくれたみたいで、ほら、基本彼ら自由人?だから、誰かと一緒に動く、なんて考えなんてないし、無防備にナワバリに入るもんなら、ちょっと殺る気かぁ!殺る気なのかぁ!って闘いになっちゃう。


 勿論、一緒にこの世界に渡ってきた子だから、引き際はちゃんとわかってるけど、そんな感じになっちゃう。


 ジョーカーのいう事は聞くし、同じく私のも聞いてくれるけど、ハート組みでも、スペード組みでも、一緒に何かする、って事はない。


 それが、この間の訓練ごっこを面白い遊びと認識したみたいで、軍人さん?でいいんだよね、彼らが訓練しない日は、そらもう、いそいそと、この天幕に集まって、訓練をしたがるわけ。


 んで、ソッコー厭きたのが私。


 

 「やりたがるみんな」「やりたくない私」「とてもとてもやりたがるエンちゃんたち」


 どう?答えは簡単だよね、だから私はみんなに言った。


 エンちゃんやアルさんたちと訓練ごっこしなさい、と。


 その為、エンちゃんたちとの間の意志の疎通の為に単純なジェスチャーを共通のものとしてお互い覚えさせたの。


 手を大きく上に振れば空を飛び、下にすれば地に潜る。


 横にすれば地を駆け、ぐるぐる回せば一斉に動く、とか、ね。


 複雑なのはできなくても、私とジョーカーが指示しなくても、いなくても、それなりに訓練ごっこが続けられていた。


 軍人さんたちも、うちの子らに慣れていって、うちの子らも遊びに命かけてるとこあるから、まぁまぁうまくいっている。


 そのうち、軍人さん達の訓練にも、ひょこひょこ一緒に参加する子もいるようになって、あの最初の訓練ごっこから三月ぐらいなのに、お~お~、カワイイねぇ、あなた達は、って、私も思うくらい、軍人さん達とうちの子らの様子を生暖かくみていたの、私的に。


 いたずらする子もいなくなったしね、新しい遊びは偉大だわ。


 


 それと、ここの天幕群は、あの後も大勢の人間がやってきたせいで、もう一つの村か町、みたいな規模になっちゃって、物資の輸送隊の人なんかもやってくるようになったの。


 なんか急激に大きくなってる。


 最初、私がきた時なんか、出入りも厳しく管理していたみたいなのにね。


 まぁ、いいか、私には関係ないし。


 私はそのおかげで、おいしいおやつまで手に入れられて、ホクホクですから。


 相変わらず、私の天幕は一番奥まったところだし、ちょいとジョーカーとふらりと2、3日出かけても、エンちゃんもなれたのか、うるさく言わなくなった。


 なかなか居心地が良くなってきましたよ、ここ。


 ロウゼ達の仲間の人も一気に増えて、日本語の片言が飛び交うようになったのが、おもしろいってば、おもしろいかな。


 少なくとも複雑な事でなければ、意志の疎通ができるようになったから。


 エンちゃん達もロウゼに日本語習ってるけど、さすがロウゼみたいには覚えられないみたい。


 それには、英語を何年習っても、ちんぷんかんだった過去を思いだし、思わず同志よ!って抱きついちゃったよ。


 それと、木造の建物が作り出されはじめているのも不思議、何するんだろ?





 私がいつものように、お風呂に行く準備をしていると、エンちゃんとロウゼがきて、言った。


 都からエライ人達がくる、と。


 だから遊びにいってもすぐ帰って来て欲しい、と。


 エライ人ねぇ、私は別にふ~ん、って感じで聞いていたけど、エンちゃんもロウゼもとても、きりっとして話していたから、彼らには特別な人達なんだなぁ、と思った。


 私はラジャー、と手をあげて、了解の意を示した。


 彼らも顔の横に手を上げて、「ラジャ」と言った。


 ぷぷぷ・・・、彼らの変な日本語が私のツボだったりする。


 大きい体の強面のエンちゃんや、ほそっこいヒョロ長美形ロウゼの、顔のすぐ横に手をあてて言う「ラジャ」も笑えるよね。


 それとね、語尾に「なり。」をつけるのがマイブーム、別に私しか知らないんだもん、いいよね。


 いかつい人達が、一生懸命、日本語勉強してるんだけど、


 「おいしいなり。」とか飛び交うの、笑えるよね。




 エライ人達は、おみやげもたくさん持ってくるらしい、私の目がキラリン、と光ったのはいうまでもない。

  





 私はジョーカ―に乗って、遠く上がる砂塵を見つめていた。


 あとどのくらいでつきそう?


 ジョーカーが三時間くらい、だ、と教えてくれた。


 私はエンちゃん達と、いそいそと迎えに出ていた。


 



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