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第1章 第17話  失敗は最初が肝心です

さすがの猛者の皆さんも顔色が悪いけど、一かたまりになって剣をその手にお互いをフォローしながら、その目を据わらせてうちの子たちに取り囲まれていた。


あちゃーと思って、私が近づくと、より緊迫した気配をみなぎらせてくる。


ごめんねぇ、忘れてた、ペコペコ頭を下げて、私が善良な日本人仕様でよっていくと、そのうちのローブをまとう人が私をきつくみすえて何か詠唱をはじめた。


リーダーさんがそれを止めようとしたけど、もう神経がいっぱいいっぱいみたい。


さっき円の中心にいた時は、優しく私の頭を撫でてくれたのに・・・・。


いいですよ~だっ!私はこの世界では心広く生きるのだ。


だって、全然その態度を何とも思わないんだもん、傷つきもしない。


うん、異邦人の私はどうやら健在らしい。


ネオライオン君のハートの一族の子達が取り囲んで、じゃれていたんだけど、ちょちょいと、尻尾とかでからかって遊んでいたみたいで。


・・・ごめんなさい、皆さんの鎧、すごい腐食させられてたり、爪でボロボロで、もうそれ脱いだ方がいいんじゃね?のレベルですよね、もうほんと悪気はないので許して下さいませんか?


もうよりいっそうペコペコする私。


けれど、このジェスチャーは通じないみたい、確かアメリカでも通じないって聞いたな。


「窮鼠猫を噛む」っていうけど、やめた方がいいよ、絶対。


あのローブのお方が私をその視界にしっかりとらえる。


私にはっきりと詠唱が向けられた途端、それまで、ただじゃれていた子猫バージョンの彼らが一気に妖獣モード全開になった。


ほら、いわんこっちゃない、生き物としてのレベル違うんだからさあ、止めればいいのに。


悪いのは私の下手なジェスチャーなのか・・・。


でもね、ジェスチャーなんて、誰も勉強しないと思うし、表現力は壊滅的なの、前の世界でも、ごめんねぇ。


ハート一族の本気モードの殺気にあてられて気を失っていくものもいる。


それでも破れかぶれに私に詠唱を放とうとした人は、あの時、私の頭を優しく撫でてくれたその人は、その瞬間、離れていたはずのジョーカーにやられた。


ベチリ、と変な音をその場に響かせて。


離れていた距離を一瞬で移動し、その前足の一つでアリをつぶすみたいにやられた。


ジョーカーは、そのまま体を大きく元に戻していく。


リーダーさん達は、皆がそれぞれお互いをサポートし、一気にその場から転げるように逃げた。


うん、良かった、避けられたね。


しかし「ベチリ」はないよね、「べチリ」は。


ロマン?みたいな?それって大事だと思うんだよ、女子高生的には。


私は史上最悪最強に違いないジョーカーがみるみるその体をでかくして、それビルの何階?みたく大きくなって、私を見て一度誇らしげに咆哮をあげるのを見た。


隊長さんたちは、もう「白く」燃えつきたみたいにヘナヘナになっている、ないよね、確かに。


うちの子たちは反対に、


「なんて素敵なんだ!」みたいな光線を発して、ジョーカーにうるうるしてる。


私は腰に手をあて、ジョーカーを見上げた。


うん、膜をまいているけど・・・・服なんてないけど無視する方向で。


あのお風呂あがりにゴキュゴキュ牛乳を飲むポーズをばっちし決めてジョーカーの足元までいく。


足元までいくとジョーカーの、足の甲にヨジヨジ両手を使って登る。


何とか乙女の絶対領域を人目にさらさぬように頑張って足の上に登ると、こちらを見ながら、甘くやさしい目で「どうした?」と問うジョーカーにニコリとほほ笑んだ。


そうして私は何をしたかというと、足首の部分を思いっ切り蹴ってやった。


「あんたおバカ!潰すってどうなの?潰すって!まさかあんた、この足の下の物体Aちゃんと食べるんでしょうねぇ。」


えっ?無理?潰しすぎて最早無理、ですって?


私はちょいちょいと指を動かして、ジョーカーの首を私に向けさせた。


そして、思い切り怒ってやった。


「食べ物は粗末にしちゃいけないって、日本国憲法にはあるの、あるはずなの!だって日本人なら皆子供の頃から言われてんだからねっ!」


「プチンってしたら食べられるものも食べられないでしょうが!当たり前!このおバカ!」


どうよ!これからここで生きていくんだから最初が肝心だよね、ジョーカーも甘やかしちゃダメだ。


私に叱られるとジョーカーは、しゅんとうなだれ、みるみるその体を小さくしていく。


あっ、いいとこで体の大きさ止めなさいよ!その「プチン」としたの私見たくないからね!


そう言いつつ、私はついでとばかりみんなにも説教した。


ちゃんとみんなで、この物体Aをペロペロして、きちんと始末しなさいって。


ほんとにもう、世話がやけるんだから。







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