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第1章 第13話  さて、どうしよう

必死に駆け抜けていく集団の、特にこのリーダーさんには悪いとは思うけど、その必死さを笑うようにチラッとみた背後の影は、どんどん大きくなっていくのを、私は「どっしよーかなぁ」と思いながら見ていた。


私と言う荷物を、それもこんな怪しい恰好をしてる私をおいていく事もできるのに、全然その気配がいまだない。


不審人物の私をどうやら一緒に助けようとしてくれている。


自分は本来人とかかわるのが苦手なはずなのに、この世界で初めて会った彼らにそれを全然感じない。


こんなに引っ付くなんてありえない、以前なら。


それが全然平気だ。


この世界にきて、と、いうかジョーカーとつながることで感覚が変わったんだろうか?


私って、こんな呑気だったっけ?


この世界の人達を、自分と同じ生きている存在と実感できないのが原因かもしれないけど。


まだこの人達に会って少しの時間しかたってないけれど、以前、家族や周囲に感じていたようなものが全くと言っていいほどおこらない。


ああ、私はきちんと異邦人なんだ、と、その感覚に納得する。


やっとここが自分の生きてきた場所じゃないんだと理解できた。





さて、自分の過去の寝起き、それも自分の意に反しておこされた時の状況を思い浮かべ、ジョーカーはどうだろう?、と思ってみる。


ほら、いつも私が寝ていて、ジョーカーはおきていたから、いかんせんジョーカーのそれはわからない。


私はこの集団を見れる範囲だけこっそりと見渡した。


皆、真剣に一糸乱れず隊形を変えることなく駆け続けている。


良く訓練されているんだな、と素人の私でもわかる。


だけど、ね、怒ってるんだよね、追いかけてくるあの子たち。


どうしようかな、また軽く思案する。


軽くだけど、ほらこの人達悪い人じゃなさそうだし・・・実際のとこわかんないけど。


日本人なら一宿一飯の恩義ってやつ、ようは、後で返してね!っての大事な気がする。





ジョーカーの声がまた頭の中に聞こえてきた。


「もうすぐだ、すぐいく」と。


それにはやはり私を連れて行こうとするもの達への怒りの感情があった。


あのコケはよくて、この人達がいけない理由は何なんだろう?


私的には、どちらも違いはないんだけど、彼らのこだわるその違いについてこれからの参考に聞いてみなくては。


そう考えていたら、私をその大きな体に包むように走るリーダーらしき男の竜に似た生き物が、突然はねるようにして体を上にそらせて止まった。


その衝撃で落ちそうになった私を、リーダーの男は上手に受け止めて、また自分の胸元にかかえこんでくれた。


う~、ガクンって、ガクンとして痛かったけど、今はグェってなったせいで苦しくて声は出ないけど、きちんとありがとう、とお礼を言わなければ。


あのままズサッって落ちてたら、ほらパンツ1枚の私の、乙女としての何かが、今まで大切に16年守り続けた何かが、奪われていたに違いないもの。


遠い目になりつつ私は、その衝撃のきた瞬間、ジョーカーの私でさえ初めて聞いた、本当の怒りの咆哮というのを聞いて驚いてもいた。



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