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あかね色  作者: みー太
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告白

恋愛小説のようなものは苦手なので、ちゃんと書けているか自信はないです。

あえて細かい設定は作りませんでした。

男の子目線での展開となります。


「好きです!」


放課後。

もう紅葉の季節も終わりに差し掛かり、枯葉が風で舞っている。

だんだんと肌寒くなってきた最近。


ワイシャツにセーターだけじゃ寒いだろう。


でも、今の草太には、寒さを感じている余裕がなかった。



産まれて初めて、告白したところだ。



告白したのはいいが、その後に言葉も続かず、ただ相手を見つめているだけである。


足が震えてきた。


真っ直ぐ立っているのがツライ。


告白した相手は、きょとんとした顔をしている。


それもそのはず、彼女は草太のことなど、これっぽっちも知らない。

会ったのさえ、今この瞬間が初めてである。


クラスも違えば、部活が一緒なわけでもない、学年すら違うのだ。

彼女は、草太より2つ年上だった。


しかし、草太は彼女のことを知っていた。


半年前のことだ。

入学したばかりの草太は、新入生歓迎の一環である部活動紹介に参加していた。

体育館にそれぞれの部活動の代表が集り、活動内容を披露するというものだ。



そのなかで、一際目立っていたのが、彼女であった。

彼女は、女子陸上部の代表として出ており、簡単な準備運動をやって見せたり、走る際に気をつけることなどを新入生に説明していた。


一目ぼれだった。


今まで、一目ぼれなどあるわけがないと、バカにしていた草太だった。

だが、自分でもわかったのだ。

一目見ただけで、この人を好きになったのだと。


それからは、放課後に陸上のトラックで走っている彼女を見るたびにドキドキしたし、眠れなくなったときもあった。


暇さえあれば、彼女のことを考えていた。



告白しようと思ったことは何度もあった。

でも、どうすればいいかわからなかった。

せめて、学年が同じならばどうにかなったのだが、彼女は先輩である。部活が一緒でない限り、先輩との接点などない。

自分も陸上をやろうかと考えた、草太だが、そんな才能はなかった。


成績も運動神経も平凡な草太には、サッカー部の補欠にも入れない、その他大勢というポジションが精一杯だった。


せめて、なにか他の人よりも優れている所があれば・・・

何度も願ったが、叶うはずもなく、半年が過ぎていったのだった。



そんなある日、担任が朝礼で話をしていた。

3年生は受験が控えているから、部活は引退し、受験勉強に入る季節になった、と。

お世話になった先輩達が受験に専念できるよう、出来ることをやるように、と。


ということは、彼女はもう放課後に校庭で練習しないのか・・・。


草太にとっては、放課後しか彼女を見る機会がなかった。


それに、3年生は卒業してしまうのだ。

名前も知らない彼女には、卒業したらもう2度と会えないだろう。


落ち込んだ。


どうしようもない。


せめて少しでも話が出来ればよかった。


一気に暗い気持ちになってしまい、気が付いたら授業は終わり放課後になっていた。


気持ちが晴れないまま、帰り支度をし、校庭に出た。


すると、校庭に彼女がいた。


1人で校庭の整備をしている。

丁寧に陸上のトラックを整備していた。まるで、しばらくそこには戻れないかのように。


そう。

おそらく引退の日だったのだろう。

最後の練習を終えて、1人残って今まで毎日のように走ってきたトラックに別れをつげているのだろう。



今しか、なかった。



このときを逃せば、もう話しかけるタイミングは無い、と草太は思った。



整備を終え、用具を体育館倉庫に片付けに行った彼女を追いかけた。



草太が彼女に追いついた時には、もう片づけを終えて倉庫から外に出てきたところだった。



「あら、キミも倉庫使うの?」



初めて、話しかけられた。



それだけで、心臓が暴れだし、バクバクという鼓動が聞こえたようだった。


頭が、真っ白になった。



そして・・・






「好きです!」





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