988.作戦開始
「っと、いう訳で、帰ってきました」
RCS事務所へと帰ってきた俺は、集まっていた皆に見てきたことを伝えさせて貰った。
いやー、いろいろあったけど一番大変だったのが帰り道だったんだよね。
なかなか通路から人が居なくならねぇの。
ヤバい場面は段ボールで回避したけど、正直段ボール持ってなかったら詰んでた場面が六回くらいあった。
キマリスさんは普段やらかしてばっかだけど、今回段ボール持ってきたのは素直に褒めるべきだな。
仕方ないのでキマリスさんが欲しがってた供物のターキーでもあげるとしよう。
「ふーん。なるほどねぇ、あのアイドル事務所かぁ」
『アイドル事務所……あの社長か……うん、殺すの賛成』
おっと祝さんが意外と乗り気だ。
というか、知ってるのか祝さん!
『知ってるも何も、私被害者よ。まぁ襲われる前に舌嚙み切って死んでやったけど。あの社長の失脚は私の悲願でもあるわ』
んー、もしかして、あの殺されたマネージャーのアイドルって……
『あ、それは多分違う奴。私抱かれたりしてないし』
ですよねー。
『ほんっと、アイドルとして花開こう、って瞬間を狙った悪徳社長とか死ね!』
「でもヒロキさん、具体的にはどーするの?」
くねくねさんがどうするべきか聞いて来るけど、どうしような?
「いや、力技でぶっ壊すなら俺とマイネさんが居れば出来るんだけどな」
最悪マイネさんにヤバそうな箇所の爆破は任せてしまえば指名手配されるのはマイネさんだけになるだろうし。
「社会的に潰すには証拠がいる。でも相手は尻尾を掴ませない。なるほど、面倒ねぇ」
散紅さんが腕を組んで唸る。
「あら、相手は悪人なんだし、正義の名の元に鉄槌しましょ」
「ステイマイネさん。んで、誰かいい案ないかなぁ、と戻ってきた訳です」
「私としては出来るだけ、囮捜査はしない方がいいと思います」
「ま、囮する場合はキマリスさん使えばいいかな。万一でも襲われる前に男だと思われるだろうし」
「ははは、少年君が女装するのもありだと思うなぁボクは!」
ほぉぅ。俺がそんなことすると思うか? 趣味でもないしやりたくもないわ!
「ディーネさんたちは何かない?」
「えー、そーだなぁ……コトリのリンフォンに入れちゃえば?」
「えげつないこと言いやがった! でも今回コトリさん連れて来てないしなぁ」
「とりあえず、囮作戦が一番じゃないか? オガムさんだと逃げられないけど、ディーネさんやハナコさんなら人間相手なら逃げれるだろ。いや、俺を睨むなよヒロキ」
勇者ブレイド君、キミ、今ハナコさんを囮にするって言ったよな?
『あら、でもいい案だと思うわよ。下手にアイドルを囮に使って傷物にされるよりは私やディーネなら逃げれるし、罠に嵌められるまでを録画できれば相手を潰すのにも役立つでしょ?』
「私はダメよ。向こうの社長に顔割れてるから」
「あー、だったら私やろうか囮」
え、キミが!?
「私だったら大丈夫だと思うんだよね、どうかな?」
いやでも……君の場合は肉体あるでしょ?
とはいえ、確かに彼女ならば……
「私は良いと思うわよ。それに、丁度詐欺をしないといけないはずよね。いい機会だからここでやってみようかしら」
散紅さんがニタリと笑う。
あのー、詐欺は犯罪ですよね? いや、確かにスキル獲得に必要らしいけどさ。
「大丈夫よ、詐欺は詐欺でも相手にとって詐欺られたと思われるだけでこちらは正当なことをするだけだもの。ふふ、そうと決まれば連絡しなきゃ。社長、ちょっと忙しくなるわよ」
「おお、ついに動かれますか!」
「ええ。彼らへの連絡を始めましょう。組織のブラッシュアップを始めるわ」
「仰せのままにマイフェアレディ」
やうやうしく紳士的な礼をしてるけど、それ確か高級住宅に住む下級市民の貴婦人とかそんな感じの脾肉用語じゃなかったっけ?
「ヒロキさん、一応、今の言葉は私の美人、という意味もあるらしいですよ」
知らないよそんなん。案内人君は博識だねぇ。
どうでもいいからとりあえず詳細詰めてこうぜ。
「レム、ちょっと手伝いなさい」
「きゅい!?」
「良いから手伝いなさいな。裏ルートで面白いもの見つけたのよ。買ってあげるから手伝いなさい。いいわね?」
「きゅい!」
レムさんを買収した!? 何させる気だ散紅さん!?
「あとは、案内人さんにお願いしようかしら?」
俺たちを見回した散紅さんは案内人君を御指名だ。
「あと、実行部隊としてヒロキとマイネさん、りんりんさん、レイレイさん、なのさん、勇者ブレイドさんは待機。後でしっかり暴れて貰うわよ」
俺はともかくマイネさん暴れさせたら大変なことになるのでは?
「あと、キカンダーさんたち正義に味方たちもちょっと借りるわ。ヒロキ、貴方も正義の味方テイムしていたでしょ、アレも呼び出して」
それはプリピュアたちか?
まぁ呼び出してみるけど来るかなぁ?




