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981.上がダメならやるっきゃない

「よく来たな夢見人共」


 恰幅のいいおっさんが椅子にもたれるように座っていた。

 いや、もう斜めに寝てると言っても過言ではない。

 恰幅がいいというより良すぎるな。200キロくらい体重あるんじゃねぇか?


「ふん、さっそく何かやらかしたのか」


「あんたんところの警備長とかいうのがいきなり手錠掛けてきたんだが? こっちは何もしてないのに随分と酷い仕打ちだな」


「む、そうなのか? まぁどうせ犯罪者みたいな部類だろう。交渉などする気もない。さっさと貴様らの持っている飛行する船を出せ。あのように珍しいものは私のように恵まれた上位存在にこそふさわしいのだ」


 なに、言っちゃってんのこいつ?


―― なかなか面白い奴だな。ヒロキよ、地球の猫共も天王星の猫もいつでも行けるそうだが? ――


 行くってどこにだよ?


「ふーん。船ねぇ。俺らが持ってるというのはどっから情報なんですかね? 別人捕縛して連れて来たのかもしれないっしょ」


「チッ、儂を前にしてかしこまりもせんのか、俗物はこれだから……いいか、儂はこの国の長だ。この国で一番偉いのだよ。その儂に来ぬ情報などないのだ。貴様等夢見人が島の内より来たことは明白。さらにその少し前に空飛ぶ船が島の中へと降り立つのを見ている。貴様ら以外誰が居る」


「またまたぁ、地下世界通ってきたかもしれないじゃないすか、たまたま俺らが来た時がその空飛ぶ船に乗った誰かが地下世界に向かった時期だったかもですぜダンナ」


「ふん、どれほど言葉を弄したところで貴様らが持っていることは分かっている。儂は別にいいのだぞ? 貴様らを殺して他の奴らを捉えて吐かせればよいのだからな」


「ふむ、つまり、あんたら俺と敵対するってことで、いいんだな?」


「おい、貴様! 無礼だろ!」


「もう一度聞くぞ、否定以外はすべて肯定と捉える。俺と、敵対するってことで、いいんだなデブ」


「……殺せ!!」


「全員、戦闘開始! 灰燼を許可する!」


 こめかみに血管を浮き出させた貴族だか御出不様だか知らないが、俺と敵対宣言した時点で、もうこっちは潰す気満々だ。俺の許可を得たコトリさんとティリティさんとキマリスさんが動き出す。

 こちらに向かって来ようとした警備隊が次々に闇の弾丸に打ち抜かれ、コトリさんの背後から不思議な手の群れが現れ警備隊を拉致していく。

 キマリスさんは縮地からの格闘術で次々に警備隊を撃破していく。


「な、なな……」


「き、貴様等ぁぁぁ! ぽぁ?」


 警備隊長が俺に向かって突撃して来たのでアイテムボックスに手錠を突っ込み、代わりにレーザー銃を取り出し眉間に一撃。


「ところで御出不様よ。あんたの警備ってこいつらだけなん?」


 まさに五秒とかからず鎮圧された警備隊に、御出不様は何も言えなくなってぶひぶひと荒い息を吐きだしていた。


「た、大変です国主様! 町中の猫がここに集まってきています! 国主様が猫たちの不評を買ったのではと国民が……こ、これはいったい!?」


「あ。お、こ、ころ……」


 国主のおっさんが何かを言おうとするが、あまりにも酷い光景に言葉が詰まったようで上手く口にできない。

 そのうちに、空に浮かんだテインさんとクトゥグアさんが窓を全て粉砕して部屋へと侵入してくる。


「ヒロキ、遅いぞ」


「すでに全員集合済みだ。さっさと来い」


「な、は? ば、蕃神? てぃ、てぃてぃてぃ、ティンダロス……あ。あぼーんっ」


 あー、正気度足りなかったか。

 国主さんは外なる神の出現に理解不能となって弾けたようだ。

 虚空を見つめながら楽しそうにあぼーんっあぼーんっと叫び始めた。


「なんだこいつは?」


「あー、どうでもいいから帰ろうぜ。あ、そこの警備兵さん」


「ひぃ!?」


「俺ら帰るけど問題は?」


「ああああ、ありませんっ! ど、どうぞお帰りくださいっ」


「んじゃ帰るわ。あ、それとな。俺らのことを犯罪者みたいに指名手配してくるようなら、ウチの知り合いの外の神と猫たちがこの国に抗議しに来るから、よろしく」


「は、ははは、はいっ! 絶対に致しませんっ!!」


 なぜか姿勢正して気を付け姿勢で告げる警備兵。彼と壊れた国主だけを残し、俺たちは合流地点へと向かうのだった。

 うーん、国主さんもうちょっとザマぁしてやりたかったけど、本人の精神死んじゃったからあれ以上は無理だな。

 仕方ないから……


 屋敷を出た俺は、フェノメノンマスクから貰っておいたもしものための薬品を取り出し、屋敷へと投擲。

 そのまま踵を返して敷地から出る、直前だった。

 国主の屋敷が爆発、大炎上した。


「いいのかヒロキ?」


「敵に容赦はしないようにしてるんだ。あと、ちゃんと指名手配はしませんって言質取ったし」


「生ぬるいくらいですテインさん。なんでしたら町中にコトリバコ設置してきましょうか?」


「止めて差し上げろ。国民に罪はあるまい」


 クトゥグアさんがさすがに止めた。コトリさん、今回俺がけなされまくってたからか国主を殺したそうな顔で睨んでんだよなぁ。ストレス溜まってるのかも。

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