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979.タツタさんのお料理教室

「はーい、カメラ回すよー、3・2……」


 なんだ、これ?


「タツタさんと」


『ハナコさんの』


「『お料理教室ーっ』」


 撮影が始まっていた。オガムさんたちアイドル組と俺たち夜間部隊が鉢合わせしたタツタさんのお料理教室では、ウチのアイドルグループたちとタツタさんによるお料理教室が撮影されている最中だった。

 俺たち新人組は撮影終わるまで一旦待機。

 撮影終了後に今話題沸騰のアイドルたちと一緒にお料理作ろう、というのが今回の料理教室の内容である。


 撮影が始まってからは笑顔の華が咲き乱れる。

 クッソ羨ましい。ハナコさんと一緒に料理だと!?

 俺も、俺もハナコさんと料理作りたい!


「ハナコさん、霊障使って料理作れるん便利やね」


「意外と良妻になりそうね。強力なライバルだわ」


 サユキさんはどうせダークマターしか作れないから諦めるとして、蛇々利はなんでまたハナコさんを目の敵にするんだい。キミがハナコさんに勝てる訳ないだろー。

 ハナコさんは別格だよ、俺の中で殿堂入りしてるんだから逆立ちしたって勝てるわけないじゃないか。


 それにしても、タツタさんのお料理教室。

 デスエさんみたいな感じかと思ったけど、危険な気配が一切ないな。

 しばし警戒してみるが、突然デスゲームっ。みたいなノリは一切ないようだ。

 そのまま和気藹々とした撮影が終了する。


「はい、カット! いやー、タツタさんいつもありがとうございます」


「いえいえ、こちらこそ、撮影のおかげで毎日多くの人が教室に通いたいって来てくれてますからね。ふふ、おばちゃんの教室にも需要があるって嬉しい限りねぇ」


 人のよさそうなおばさんであるタツタさん。やだよこの子はぁ。みたいな感じで手を振りながらディレクターさんと楽し気におしゃべりしている。


「そういやハナコさん。アイツどんな感じ?」


『あいつって、あのアイドル事務所にいるマネージャーモドキ? 結構足引っ張られてるかな。皆で対処してるから今のところは大丈夫だけど、祝さんは激おこかしら。ヒロキの介入、そろそろあった方がいいかも?』


「そっか。了解」


 明日はアイドル関連進めていくか。

 あいつ裏切るみたいだし、徹底的に潰しておかないとね。

 俺はともかくハナコさん裏切るとか、万死に値する。


「さぁ、皆さんお待たせしました。ここからは撮影なしのお料理教室です。今日は肉じゃがを作っていきましょう!」


 撮影が始まり、本格的なお料理教室が始まる。

 うん、全然普通だな。

 タツタさんも教える上手いみたいだし、皆真剣に取り組んでいるようだ。


 サユキさんは出来上がり直前まではちゃんと作るので指導対象からは完全に外れている。

 まぁどうでもいいや。どうせ出来上がりはダークマターだし。

 え、俺も作るの?


『ヒロキも作るの? じゃあ一緒に作る?』


「いいんすか!?」


 う、うおぉぉぉ! ハナコさんと一緒に肉じゃが作りだとぉ!?

 タツタさんあんたは神か!?


「あらあらまぁまぁ。突然私を祈りだしてどうしたのかしら?」


「気にしなくていいわよ、マネージャーさんたまにおかしいから」


 ディーネさんが酷いことを言う。

 しかし、ほんと普通の料理教室だな。

 ちょっと警戒してたけどハナコさんとの料理楽しくていつの間にか警戒感ゼロになってたくらいである。

 そんな無防備状態で肉じゃが完成! ハナコさんの肉じゃが、俺食べたいです! 


『意外と上手く出来たかも? 教え方がいいのねきっと』


 アイドル組もタツタさんのおかげで料理が上達。

 ただし、一人だけ一切上達しないイレギュラー。

 うん、サユキさんである。


「あ、あらあらまぁまぁ……」


 出来てしまった呪物級の食事にさすがのタツタさんも困惑顔、というか恐怖に怯えが見える。

 そりゃこんな危険物出来たら処理に困るよね。

 ティリティさんが食べれるから俺がアイテムボックスに入れとくよ。


「そ、それ、どうするのかしら? ど、毒殺?」


「いえ、ウチの身内にこれ、食べれるのがいるんで。処理して貰います」


「そ、そう? 無理させちゃダメよ?」


 凄い心配してくるタツタさん、良い人過ぎる。

 疑っていた俺が悪いみたいだ。

 というか、このイベントって俺の数少ないほのぼのイベントの一つか?

 うっわ、あまりにも少なすぎて疑ってたわ。

 そっか、ほのぼのなイベントもあるんだよなこの世界。

 むしろこっちの方がメイン産業だよな?


 あー、日常がバトルモードとか暗躍モードになってるせいでイベントは基本疑う自分がなんか嫌になる。無垢な瞳でハナコさんとお料理しながら楽しみたかった。

 タツタさんとは握手をして今回はお暇させていただくことにした。


 サユキさんはともかく蛇々利さんやユウキさんは何度か通って料理の腕をあげるらしい。

 ユウキさん、君元男だったよね?

 いや、別にいいんだ。料理好きでもいいんだ。姉の代わりに料理上手になってくれ。

 サユキさん、やっぱ無理だって諦めたみたいで明日からは通わないって言いだしたから連れて帰るよ。

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― 新着の感想 ―
裏切るあいつにサユキさんの手料理を目隠しで「あーん」してあげたら幸せで昇天しそうよね まあ、あいつが誰か知らんけど
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