972.鍵シリーズ
「えー、とまぁそういう訳で、これが俺の見つけたやつっす」
キマリスさんが気絶したので放置して、俺たちは俺の見つけたアイテムを見ることにした。
と言ってもほとんど皆と一緒で何もなかったけどね。
変わってるのはガラガラと黄色い鍵、ペンダント、儀式用短剣だな。
「一番多く手に入れてるじゃないかヒロキさん」
「いやぁ、まさか最多だとは思わんかった。大したもん見つからなかったと思ってたからな」
「ガラガラって、赤ちゃん用のよね?」
「多分だけどアトランティス人の子供がいたんだろうな。これだけ残ってた」
よほど急いで脱出したのか、これだけ残ってたってことはこれを取り落としたことに気付かなかったか、気付いても拾い直す余裕なく逃げたか、だろうね。
「儀式用の短剣か。もしかして神殿の魔法陣に作用したりは……しないか、さすがに」
テインさんが少し期待したような顔してたけど、これは本当にただのお飾り短剣っぽいね。
「あたた……酷いよ少年君!」
何の話? キマリスさんが勝手に自爆してただけだよね?
「ありゃ。また変わったアイテム見っけたね。これ結界生成のペンダントだよ」
「結界生成?」
「瘴気だらけの場所とか深海とかさぁ、普段行けない場所に移動する時に使う結界を発生させる奴だね」
ほほぅ。つまりこれ見つけた場所の人はそういう場所に行ってたのか、あるいはここに来るために使ったってことか。
「どう使うの?」
「多分魔力切れだね。魔力補充してあげれば点くんでない?」
「じゃ、キマリスさん頼んだ! 魔力豊富っしょ魔法陛下」
「まぁ魔王だから確かに魔力はあるけどさー……魔法陛下!? 魔王じゃないの!?」
ちょっと間違えただけじゃん。揚げ足とんなよぅ。
「一番気になるのはこの黄色い鍵だよね」
「あれ? 少年君、確か他にも鍵持ってなかったっけ?」
「ん? あー、貴重品枠のアレか?」
言われて思い出したので、アイテムボックスから赤い鍵を取り出す。
お、おお? なんか二つの鍵が反応してるぞ!
おお、合体した!?
赤と黄色で、オレンジ色に融合した鍵が出来た。
二つの鍵融合しちゃったんですが?
これ仕様なのか?
となると、他の鍵シリーズも見つけたらこいつと融合させるほうがいい、のかも。
どんなカギになるのか今から楽しみだね。
赤と黄色、次は青かな? あるいは緑?
信号機色じゃないなら別の色の可能性もあるよな。
「最終的に銀色になるんじゃないか?」
「それはそれでありがたみがないなぁ」
「とりあえず今回の拾得王はヒロキさんね」
「そんな称号要らないんだけどなぁ」
まぁ貰えるものは貰っておこう。いらなきゃ捨てればいいんだし。
「それで、どうする? だぬはいないが、神殿の魔法陣は次の機会でいいのか?」
「まぁそれがよさそうかな」
気にはなるけど今回は探索しないようにしておこう。
他に探索したい場所はもうないからなぁ。
「そういえばエルエさん用のアイテム的なの、全然見つかってないな」
「言われてみれば。アインシュタイゼン博士から頼まれた道具は一切見つかってないな」
「市民街、神殿、他施設、くまなく探しテ、何もない、です」
んじゃ、あの魔法陣とやらの先にそれがあるのかな?
さすがにだぬさん抜きで向こういってイベント起こして逃げ帰ることになったりすると、マジでだぬさん残すことになりそうだからな、今回は自重して神殿の奥にはいかないことにしよう。
「そういえば、他施設とかいうの、何があったんだ?」
「シャー」
「ええと、闘技場と集会場?」
「ああ。その他に浴場のような場所もあったな。さすがに古代すぎるからか湯船などではなく泉を溜めて体を拭くような施設みたいだがな」
「あー、あれか、打たせ湯みたいな施設もあったな。後、砂風呂?」
「海の中でもそんなことするのね」
「いや、リテアさん、アトランティスは海の中にあるけど、前は地上だったかもですからね」
「あ、そっか。地殻変動とかで沈んだ町なんだっけ?」
「そうそう。古代文明だから謎が多くてよくわかってないけど、海に沈む前に皆脱出したのかも? それが神殿にある魔法陣の先、とかね」
「ありそうだな。となると、魔法陣の先には古代人が待ってるのか」
ありそうだな。
「エルエさん用のアイテムとかもそっちで見つかるかもね」
「今日行けないのがなんとも辛いくらいだな。逸る気持ちをなんとか静めてだぬさん待つか」
今日のところは一旦解散だ。
皆それぞれ散っていく。
んじゃ、あと一時間程この場で過ごしたら皆もう一度集合。ボタン一つで家に戻るからなー。戻って来なかったら置いてくぞ。三日くらい誰もいないからなーっ特にキマリスさん。




