971.取得王はだぁれ?
「全員揃ったか? 私は神殿を調べてきたが、魔法陣と思しきものが一つ、神殿中央にあったくらいでもぬけの殻だったぞ」
テインさんは取得物選手権には参加せず、神殿の方調べて来てくれたようだ。
まぁテインさんこういうのあんまり好きじゃなさそうだもんな。
見学はしてるみたいだから、皆が楽しんでるのを見るのが好きなのかもしれん。
まずはだぬさん。なんかそろそろ時間だから早めに放出するんだって。
えーっと手に入れたアイテムは……古代人の衣類、かな?
「これしかなかったんだ。とりあえずそろそろ時間だからよ、俺ぁ一足先にログアウトさせて貰うぜ」
「了解っす」
「そこの建物二階が無事なので、ログアウト場所にしちゃいましょう」
一番この広場に近いし、確かにわかりやすいな。
じゃあそれで。
早速だぬさんがログアウトしに向かって行った。
というか、わざわざここでログアウトしなくとも一旦自室に帰ればいいのに。
「シャー」
お、次はツチノコさんか。
えーっと、なんだそれ?
卵? 卵型の化石? あるいはただのつるつるした石?
「わー、きれーな流線形」
「なんでショウ?」
鑑定してみるか。えーっと……
謎の卵:今鑑定して名前分かったら萎えるっしょ、ほら、温めて孵すんだよヒロキ!
おい鑑定!? なんか普通に俺に話しかけて来てない!?
ねぇ鑑定だよね? 分からないモノを調べて正式名称と名前教えてくれるスキルだよね!?
これ、絶対卵温めろよって期待に満ちた瞳で言って来てるよな。
どこのAIだ、ハナコさんなら知ってるかもしれんからあとで突きとめてやる。
「きゅい」
お次はレムさん。
ってかレムさん、それ瓦礫で作ったゴーレムっしょ。
動くの? 無理? ゴーレムじゃなく像かよ!?
暇だから作った? 何もないから途中で飽きた?
そっすか。
「レムさんの放置シた施設内に残ったアイテムは皆無デある、と告げておきマす」
エルエさんがフォローしてくれてたのか。ありがと。
んで、エルエさんの集めたモノは……古代の衣類だけか。
やっぱ残ってる方が珍しいみたいだな。
「それじゃ次、私でいい? と言っても貝塚発見したくらいでアイテムなかったんだけど」
スキュラさんはここの住民が食べた貝を捨ててる場所を発見したようだ。
おー、シャコガイとかでっかい貝を食ってたらしい。
ってかたまに貝殻部分にも歯形があるんだが、食ってたのか?
アトランティス人、人じゃなくてなんかヤバい系のクリーチャーだったのでは?
「じゃ、次は俺だ。俺は銛を見つけたぞ、あとなんかの仮面」
その仮面は儀式用みたいだ。
なんでも銛持って踊る舞踊用の仮面なのだとか。
鑑定さん、なんでこっちはそんな詳細説明してくれるの? 卵の方説明してくれよ?
「よし、それじゃ私とポチの出番ね!」
おお、なんかいくつかアイテム出て来たぞ。
「二階への階段が崩れてるところがあってね。ポチが取って来てくれたの」
俺んところみたいな場所があったのか。
えーっと手に入れたのは古代の服と、細長い三角錐の何か。
それと銛、あと水着かな? 隠すべき場所をメダルみたいな形状の金色金属で作ったブラと股間部を大きめのメダルで隠した下着。エロコスチュームかな?
しいて言うならメダルビキニ? 危ない水着とかそんな感じの奴だろう。
というか、そっちの三角錐の奴、とある部族のち……んんっ、股間ケースですよリテアさん。
持ったり中覗いたりしない方がいいと思うな、用途知らされたら多分投げ捨てる奴だから。
俺から告げるのは……黙ってよう。理解してはならないアイテムって言うのもあるもんだ。
「次はボクだね! まぁ任せなよ少年君、ボクの発掘したすっごいアイテムに土下座してははーっと言いたくなるから!」
と、並べて見せたアイテムは……
まず安定の古代服。
銛も結構な家に残ってるようだ。
お、儀式用の短剣も見つけたのか。
「さらに、これだぜぃ!」
「そ、それは!」
それは……なんだそれ?
それはとても黒く、細長い何かだった。
「どうよ! なんか凄く貴重そうな感じしない?」
「えー、キマリスさん。それの鑑定結果出たんだが……」
むんずっと掴んだキマリスさんが期待に満ちた瞳でなんだい? と告げてくる。
俺は少し逡巡し、言うかどうか迷った末に、このまま放置しとく方が酷だと思って、告げる。
「それな、ディープワンの、糞なんだ」
「……ぱーどん?」
「ディープワンの、う〇この化石なんだ」
「にぎゃあぁぁぁぁ!? ぽぅっ!」
キマリスさんは地面に化石を叩きつけた。
跳ね返って股間に直撃。
化石の反撃は、キマリスさんを「ぽぅっ」と謎の声を吐き出させて撃沈させた。
泡吹いて気絶したキマリスさん。俺は成仏しろよ、と両手を合わせて冥福を祈るのだった。




