970.遺跡での拾得物
滅びた都市を探索する。
本来は部隊分けすべきじゃないんだけど、探査スキルとか使っても敵性生物の存在がなかったので皆手分けして都市探索することにしたのである。
都市内部はレンガと思しき石畳で出来ていて、ところどころ剥がれたり砕けたりしている。
町中の建物も崩壊している場所もあれば無傷の場所もあり、崩れて道を塞いでいる家屋もあるようだ。
ただ、人は居ない。
こうやって空気があって生活空間があるんだから骸骨の一つくらいあってもおかしくないんだけどなぁ。
家屋の一つに入ってみる。
スクウェア型の家屋は基本二階建てであり、一階が生活空間、二階は寝るための部屋になっているらしい。
大体は二人から四人を想定した民家が多いようだが、最初に入った家屋は四人用住居。
かなり崩壊していて階段半ばで二階まで行けなかった。
当然、スキルを駆使して二階に上がったけど。
昔の生活空間、といったところで、二階は本当に寝る場所でしかないな。
いや、一応大事なモノは二階にあるようだ。
棚発見。
ではお宝なにかなー。
……空かいっ。
ちょっと期待しただけに切なさが半端ない。
ええい、一階に戻って探索じゃ。
その後一階をくまなく探索したものの、キッチンと思しき場所があったくらいで大したものは残ってなかった。
悪態付きつつ二件目。
ここは二人暮らしのようで、二階は二人分の寝床。
当然のように残ってるアイテムは無し。
期待はせずに三件目。
ここは三人用か? 寝床一つが小さいので子供用かな?
えーっと、あ、なんか見つけ! えーっとこれは……ガラガラ、かな?
振ってみるとがらがらと音のする子供をあやす用の物体だった。
一応、これも入手品、か……
これ報告すんの? 絶対笑われるじゃん。
他の、他のアイテムはないのか!?
なんとかもう一つ、と三つ目の家を調べる、何もない。どこにもない。一切ない。
クソッタレ!
もはや期待など捨てて四件目。
ここも四人部屋のようだ。
二階をまずは探索。
ほんと何もないな。
棚はあるけど引き出し調べても何も出てこない。
なんならもう、この棚を戦利品として持ってくか?
一階へ降りて探索。
土鍋もなければ調味料もない。
腐った料理でも残ってればまだダークマターですとか持ってけるのに。
その後もいくつか家を見て回ったモノの、俺の列は外れらしい。
この列の家は全部中身なんもなかった。
これって、もしかするとだけど住民死んだんじゃなくどっかに移住した、とかだろうか?
そんなことを考えながら最後の家へと辿り着く。
ここも他と一緒で外観は変わらず。
いや、かなり崩壊してるので探索が面倒くさそうだ。
一階に入る。
二階への階段は完全崩壊していた。
ま、俺のレベルならジャンプで十分二階まで届くんだけどな。
ほいっと。
ヘリに掴まって懸垂の要領で二階へと上がる。
現実ならできなくともゲーム世界なら十分可能なのがいいね。
「あれ?」
今までと、違う?
ああ、そっか。ここ二階崩壊してるから来れなかったのかも。
棚以外に衣類やらなにやらが転がっていた。
かなり昔のモノなので痛んではいるものの、かろうじで衣類だとは分かる。
これは年代調べるのに役立つだろ。古代人の衣類、みたいな感じで。
お、他にもなんか発見。
これは護身用の短剣かな? 結構装飾凝ってるな。
それと……棚の中に残っていたのは三角錐を二つ上下にくっつけたようなペンダントだった。
いや、ペンダントというか、タリスマンのほうになるのか?
とりあえずこれはアイテムボックスに入れて皆に見せれるな。
あとは……黄色い鍵? 無駄にでっかい片手くらいの鍵が出て来た。
これも入手アイテムでいいか。
あとは……お、銛発見。だいぶ朽ちてるけど、おそらく魚介取るための銛だろう。
一応これも持っていこう。
どうやらここの住人は二階に戻る前に階段崩落で逃げざるを得なかったようだ。
一応一階も探してみたが、こっちは空ぶり。
崩壊した階段の辺りになにかないかと調べてもみたが、何もなかった。
一応、アインシュタイゼン博士が喜ぶかもしれないので崩壊した階段のかけらをいくつか回収しておく。
さって、朝の内で行けるのはこのくらいかな。
皆も戻ってるだろうから集合地点に向かおうか。
探索場所も全部探索終わったし。
基本何もないようなので他のメンバーも大したものは回収出来てなかっただろう。
俺が一番回収物多かったりして。
最後の最後でそれなりの収穫があったので鼻歌交じりに合流地点へと戻る。
道中、家と家の間から鼻歌交じりに戻っているキマリスさんを見つけた。
なんか、同じ行動してるのが無性に腹立たしいというか、イラっと来た。
鼻歌は禁止で戻ろう。なんか負けた気がするし。




