963.ほのぼのな発進
「知ってる天井だ……」
ドリームランドで高級ホテルにお泊りした俺は、目覚めるとUFOの自室だった。
そのままログアウトして実際に眠って、と現実世界のやることをいろいろやり終えたあと、軽く運動だけして再びゲームにログインを行う。
そして目覚めた場所で、俺は呟いた。
いや、うん。そりゃ見知った天井だけども。
UFOの自室だもんよ。
起き上がって皆のいるブリーフィングルーム兼居間へとやってくる。
「おはー」
『ヒロキおはよう。今日はどうするの?』
「はぅ!? 朝からハナコさんの笑顔だと。俺の心臓が止まってしまうっ。これはもう、今日は良いことありそうな予感しかしねぇな!」
「船手に入ったし、アトランティス行ってみようかと」
「へー、アトランティス。確か海に沈んでるんじゃなかった?」
「地図自体はあるんだよテケテケさん。だから目的地まで行った後で潜航しちゃえば辿り着けるかなって」
「どのみちタツタさんとの料理番組で行けませんねお姉様」
『そだね。頑張って来てねヒロキ』
がーん。ハナコさんと一緒に行けない、とか今日は厄日か!?
って、タツタさん!?
「ん? どうしたのヒロキ?」
「い、いや」
どういうことだ? タツタさんっていえばイベントの教室だよな。
なんでアイドル業行ってるハナコさんたちと接点があるんだ?
どういうイベントなんだ?
「で、誰々連れてくの?」
「船動かすためにキマリスさんとエルエさん、レムさんは必須かな。ドリームランド組は、まぁ今回はお休みで良いだろ。あ。でも確かテインさんのイベントもアトランティスにあったな」
レムさんいるし、ついでにゴミの島にもよってくか。
確か勾玉もそこに一つ落ちてたはずだしな。
「海洋だしスキュラさんにも来てもらおう。あと一枠は……」
「しゃー!」
お、ツチノコさん1号、行くのかい! 2号は? あれ? 2号は来ないの?
まぁいっか。
じゃあ今回のメンバーはキマリスさん、エルエさん、レムさん、テインさん、スキュラさん、ツチノコ1号さんだね。
このメンバーで動かせるだろうか?
「アインシュタイゼン博士の船でシたら私トの互換性があるカと」
エルエさんにお任せするしかないか。レムさんは遊ばないようにね。
UFOを出て今回集合しているプレイヤーの元へ向かう。
えーっと。
本日のメンバーはっと。
リテアさんとフェノメノンマスクだ。
だぬさんもおひさー。
「ああ、久しぶりだな。最近いろいろと忙しくてな」
「今日はどこ行くの?」
「調薬したモノを早速試したい。戦闘に行くだろう?」
「今日の目的地点はアトランティス、それと夢の島です」
「また凄いとこ行くな」
「アトランティスかぁー。確かに私も一度行きたかったし、同行に問題ないわ」
「海の中に行くのか、せっかくの調薬、使えるだろうか?」
まぁ空気はあるだろうから使えるんじゃね? さすがに人体に影響あるのはやめてくれよ?
「そんじゃま、まずは広場に行こうか」
「ねー、またぁ。ボクドリームランドでも船操縦してたんだけどぉー」
「操縦していたのはお前ではなく私だろう。キマリスは指示出ししていただけではないか」
ちゃんとテインさんっていう証人が居るんだから俺を悪者みたいに言うんじゃないよ、全くこの小悪魔は。
町の郊外に足を延ばして、荒れ地にででんっと船を出す。
うん。ドリームランドでもゲーム内世界でも自由に出せるな。
ほら、あっけにとられた顔してないで乗った乗った。
ブリッジに辿り着くと、早速エルエさんが船との同期を始める。
あ、こらレムさん、いたずらしようとしない。
リテアさん、レムさん確保お願い。レムさん、今日は悪戯ダメだからな。やったら一時間位タヂさんに抱きしめて貰うからな。
俺の宣言にレムさん青い顔してふるふると首を横に振る。
やはりレムさんでもガチムチのおっさんに抱きしめられ続けるのは苦痛か。
あの人力加減も苦手そうだからなぁ。下手したらレムさん締め上げられるかも。
「よし、んじゃ、発進!」
早速艦長用の椅子に座ってエルエさんに指示を出す。
どうやらエルエさんが同期してしまえばこの宇宙船、エルエさんが自在に動かせるらしい。
「おや? マスター、艦内装備の弾薬、備蓄が少ナい、です」
あー、それな。
「補充するにしても必要弾薬の種類と数、計算してくれ」
後で購買で買って来よう。
そういえばドリームランドでどっかの誰かさんが無駄遣いしてたんだった。
まったく、トリガーハッピー患者はこれだから。
ま、ともかく今はアトランティス向けて移動しようぜ。
エルエさん任せた。
テインさんたちもエルエさん任せでいいと分かってリラックスモードだ。
さーって、何事もなくアトランティスに辿りつけりゃいいなぁ。




