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962.トラブル発生の気配

 皆と別れた俺たち四人は、お金持ちの多い区画へと向かうことにした。

 かなり厳重な区画ごとの検閲所みたいな場所があったけど、マネーイズパワーで楽々でした。

 やはり金、金は全てを解決する。


「実際は門番にはした金握らせて通っただけだけどねぇ」


「旦那様らしく立派にございました」


「あくどくとも堂々としてるとなんか魅力的だよね。ダーリンだからかなぁ」


 あれ? 俺モテモテじゃね?

 現実の女性一切いないけど、モテモテじゃね?


「んじゃま、とりあえずあの辺り入るか」


「宿じゃなく酒場じゃん少年君」


「お酒は二十歳からですよ旦那様?」


「ドリームランドにそんなルールないゾ? それにダーリンの目的は情報収集だろ」


 まぁそうなんだけど。

 ぎぃっと扉を開いて中に入ると、厳つい男たちがこちらを振り向く、ということもなく、すぐ前にやってきたウエイターさんかな、ようこそいらっしゃいました。と紳士的に案内を始めて来た。

 うーん、さすが金持ちだらけの地区。全然アウトローな気配がしねぇ。


 酒場なのに出入りするのは着飾った男女。

 会話も少なく緩やかな空気が流れている。

 いや、たまに小声で何か喋ってるけど、さすがに聞き取れないな。


「んー。あまり歓迎されてないみたいだねぇ。ボクの姿異様かなぁ?」


「そりゃピエロみたいな服装じゃなぁ。あ、すいませんここってドレスコードあります?」


「いえ、ないですがその……」


「まぁ奇抜だもんね。んー。どこか着替えられる場所あります?」


「でしたら、こちらに」


「んじゃキマリスさん、その服からこっちに着替えて」


「えー、これはボクのアイデンティティなんですけどー。魔王だぞボクはー」


 とかいいながらしぶしぶ渡した服を着ることにしたキマリスさん。

 その間に俺たちは席に案内される。

 他の二人も奇抜な服だけどいいの?


「は、はい、さすがにショゴス・ロード様と呪神様にドレスコードなど恐れ多く……」


 えぇ、魔王はダメでこの二人はいいんだ。というかよくわかったな種族。


「当然ながらこのお二方をテイムなされている貴方様も問題ありません」


 そりゃどうも。

 んじゃ適当に頼もうぜ皆。キマリスさん待ってる間に注文しちゃおう。

 ここは酒場というより高級レストランみたいだな。

 ワインも年代物とか高級品が多い。


「おすすめは?」


「シャルトルーズワインですね。今はもう手に入らないサルルブ産でございます。値段は……」


 むっちゃ高けぇ。


「じゃ、それで。あとワインに合うものを。俺はブドウジュースで。ああそうだ。俺たち宿を探していてね。よかったらいい宿を紹介してくれないかい?」


「よい宿でございますね。ではここから少し奥へ向かった場所にあるヌトセの安らぎ亭が良いでしょう。戦女神ヌトセ様の祝福があるかもしれませんよ」


「ほーぅ、行ってみるとしよう」


 んで、ヌトセ神って誰よ? 俺その知識は持ってないぞ。

 さすがにここで聞いてしまうとヤバそうなので、知ったかぶりでそうなのか。とだけ答えておく。


「うへぇ、すーすーするぅ」


 お、キマリスさん出て来た。


「ちょっと少年君、なんでメイド服なのさぁ」


「それが一番違和感ないんだよ。そもそも呪神と蕃神と比べると魔王なんてメイドさんみたいなもんだろ。似合ってて可愛いぞ」


「え、やだ、可愛いなんてもう、少年君のえっち。ときめいちゃうじゃんかぁ、トゥンクしておっきしちゃうぞ」


「オイ待て、エロ生物。最後のはさすがに看過できんぞ」

 

「いやー、普段言われない言葉だからテンション上がっちゃったい。んで、何そのワインと美味しそうなの。ボクにもちょーだい」


 あ、許可出す前に食べやがった。


「うっは、丁度いいチーズ感。さらにこのワイン。やっば、うっま。お」


 お黙り。

 慌ててティリティさんがおしゃべりの口を閉じる。


「ふんん?」


「ここは静かに食事を楽しむ紳士の酒場らしいんでね。美味しいなども言わない方がよさそうだキマリスさん」


「ぷは。あー、そっち系の酒場なのか」


 そういうこと、ウエイターさんもちょっと追い出そうか、みたいな雰囲気だしてるからもう喋らないように。


「ああ、すいません、せっかくなのでこちらも頼んでいいですか?」


 仕方ないのでお金を落とすことで許して貰おう。

 デザートを人数分頼んでお怒りを鎮めることにした。

 上流階級の酒場だと情報収集は難しいな。


 軽食を終えて、俺たちはヌトセの安らぎ亭を目指す。

 酒場を出ると、ティリティさんがうーむ、と唸りだす。

 どったの?


「いや、情報自体は収集できたのだが、どうも我ら関連のようだゾ」


「え、収集できたの!?」


「一応ショゴスだからな、吾輩耳は良いのだ」


「なるほど」


「んで、最近の話題は町の上を船のような巨大物が通過していった、という噂が一番。それを手に入れたり調査するためにこの都市を牛耳ってる金持ちが動き出してるって噂」


 マジかー。普通に俺らのせいじゃん。いらないイベント発生してるのかよ。

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