表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

964/1102

960.港町バハルナ

「んで、ここどこだ?」


「さすがにバハルナに直で降りると騒ぎになる。ちょっと離れた広場に降ろさせて貰った」


 テインさん指示で降りたからどこかはわからんのよな。

 とりあえず全員降りたのと、戦艦の電源切ったのを確認してアイテムボックスにしまう。

 ここからは歩きである。


「北側に向かえばバハルナだ。すぐに見えて来るだろ」


「なんか変な生物いるけど……」


「基本放置。迫ってきた奴だけ潰そう」


「いきなりなんか迫って来てるんですがっ!?」


 りんりんさんの言葉に皆が武器を構える。

 が、ニャルさんが相手を見て構えを解いた。

 なに、敵じゃねぇの?


 向こうから疾走してくる生物は、どう見ても凶悪な生物だ。

 頭が旋回してるし、多脚をわっしゃわっしゃしながら駆け抜けてくる。

 なんて形容すりゃいい生物だこれ?


 体が二つに分かれてるというか節で区切られてるっていうのか?

 襟巻みたいに毛の塊が逆立ってる。


「ありゃ走る者だね」


 走る者? あれが? 確かナスの谷に生息してると事前知識仕入れたんだけど。

 この辺りナスの谷じゃねぇよな?


「ナスの谷は主食になるドールがいるからよくいるだけだ。ドリームランド中そこら辺を走り回ってるぞ?」


「マジか」


 というか、そうか、こいつドール食うのか。

 テイム、できねぇかな?


「犬くらいの知恵はあるから友好的に接しておけば攻撃はしてこないはずだ」


「ほーぅ。確か歌とか歌ったら喉を鳴らしてくるんだっけ?」


「気に入られればな」


 残念ながらこのメンツで歌うまとか、いないよなぁ。

 レイレイさんたちアイドルやってみてるはずだけど、その辺りの話一切聞かないし、あんまし歌は上手くないのかもしれない。

 あえて聞かない方がよさそうだ。


 とりあえず、今は放置が一番そうだ。

 後で好みの食材か何か買いそろえて餌付けしてみるのもいいな。

 ドール好きならドールを倒して餌として与えるのもありか?


 今回は手持ちがなさそうなのでお見送りだ。

 手だけ振っておくか。がんばれー。何をかはわからんが。

 一瞬だけこっちを振り向く走る者。そのまま俺たちを通り過ぎてどこへともなく走り去っていった。


 ほぼ一瞬だったな。おそらくあの方向はナスの谷だろう。

 ドール食べに行く途中だったのかもしれん。

 下手に足止めしてお腹減ってんだよ俺はっ、みたいに苛つくことになってたかもだから今回は見送って正解っぽいな。


 走る者を見送った俺たちはそのまま北を目指す。

 ってか結構離れた場所に降りてね? だいぶ歩くぞこれ。

 島国だからすぐだと思ったけど結構高低差があるから昇ったり下ったりで……

 ああ、見えた見えた。


 ングラネク山を背後にして歩けばいいだけだからバハルナの町はすぐに見つかったな。

 北を目指してるつもりが変な方向に向かってて辿り着けないよりはいいか。

 それにしても、バハルナって結構デカい都市じゃね?


 湖の方にも都市あるし、ヤス湖だっけ。あれの南側に集落もあるけど、確かあっちの集落は既に引き払われてるんだっけ。

 奇妙な生物が闊歩し始めたからバハルナに移住した、みたいな話があったはずだ。

 

 それで、闊歩してる奇妙な生物はこの辺りからは見えないけど……

 まぁいいか、今はその辺りは放置で。

 今はバハルナだな。


 バハルナは海に面した港から市内の一番高い場所まで斑岩で出来た都市だ。

 四つの地区に分かれていて波止場付近は交易商たちの行き交う商業区、二つ目と三つ目の区は役所やお偉いさんの地区で、丘から湖近くまでの一番古い地区がもともとングラネク山麓で暮らしてた住民が移住してきた地区である。

 こっちからだとこの一番古い地区からの入場になるかな。


「この町は権力者が牛耳ってるから、あまりそちらと関わらないようにしたまえ」


「なに、猫と知り合いである以上下手に関わっては来ないさ。ウルタールの話はここでも有名だからな」


「何を自慢気に、当事者でもない猫が」


 はいはい、険悪にならない。

 ほら行くぞ猫共。

 って、なんで皆俺に従う様に一歩後ろを歩くんだよ?

 まるで三体の猫従えてるみたいじゃん。


「ふむ。むしろその方が危険人物感があっていいかもしれんな。三星の猫を従える人間、向こうも警戒して接触してこないかもしれんな」


「そもそもこのメンツに話しかけようとする物好きがいるとも思えないけどなぁ」


 未知なるモノさんの言葉通りだな。

 番神だらけだし、下手に関わると命が危うい。時の権力者だからこそ君子危うきに近寄らずの精神で接触してこないだろうとは思う。


 町の門には一応門番もいるようだけど、滅多にこっちから人が来ることはないのだろうな、俺たちを見てなんでそっちから!? と凄く驚いていた。

 ただ、怪しまれることがなかったのは、猫たちのおかげだろう。

 この町でも猫たちに関しては関わるべきではないみたいな風潮らしく、彼らが認めてるならいいか、とほとんど怪しまれることなく都市に入ることが許されたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
走る者にドナドナ聴かせたら遠くを見つめて涙したりしないかな?
やばいものが何人もいる時点で門番も権力者も関わらないと思います。 (猫とか外なる神々とか未知なるモノさんとか) ヒロキン死すべしっ!!!!!!!!!! メリーさんと芽里さんに栄光あれっ!!!!!…
スルーされた! ヒロキ「職務怠慢だなー」 未知「外道の噂が広まってるようだな…」 ヒロキ「未知さんが言うのか…」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ