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957.俺たちの船出

 UFOへと帰ってきた俺たちは、一度解散して自分の部屋へ。

 コトリさんは自室で向かうそうなので、本日は一人きりで就寝である。

 ゲーム世界で寝るのはどうなんだと思うけど。まぁドリームランド行くには寝ないとダメだからな。


 眠った後、ドリームランドの宿屋で目覚める。

 なんだろうなこれ? 眠る場所と起きる場所が別なのは新感覚だと思うんだ。

 部屋を出てカウンター横に併設されている酒場に向かい、朝食を頼む。

 え、今昼食? まぁどっちでもいいよ。


 それにしても、酒場にいる奴、変なのが数人いるな。

 あそこにいるのはダニ人間とかいう奴らだっけ?

 舌の代わりにストロー上の臓器を口から出して肉を啜っていらっしゃる。


 正直キモいけどドリームランドの住民らしいのでこの食事風景も普通なのだろう。

 他にも、フードを目深に被った人たちもいる。

 たまに見える腕が鱗付いてたりするので普通の人間じゃないんだろう。


 あと、二足歩行の鰐がいる。

 鳥の丸焼きを頼んで豪快に丸のみしていらっしゃった。

 

「おお、ヒロキよ、随分と早く来たようだな」


 外から天王星の猫がやって来る。

 まさか一番最初に合流してくるのがお前だとは思わなかった。

 ドリームランドの住民で他の奴らどうしてんの?


「夢の守護者は地球の猫と外に出ている。土星の猫は月棲獣たちとコンタクトを取っているようだ。どうする? 敵に回るかもしれんぞ」


「んー、さすがにそれはないだろ。あの猫、俺らと一緒にいるのが目的みたいだし、わざわざ敵対するよりは怪しい猫枠として一緒に付いてくると思うけどな」


 って、お前の背後に土星の猫いるじゃん。どういうこった。


「その通りだヒロキ。我が思いをよくわかっている、天王星の、こちらの勝ちだな」


「むぅ、せっかくのメザシだったのに」


 お前ら俺の態度で賭けすんじゃねぇよ。


「おー、ヒロキが猫と遊んでる」


 しばらく猫どもと会話していると、ニャルさんたちがやってきた。


「ニャルさんとクトゥグアさんはなんで一緒に来てんの? 仲いいの?」


「「良いわけないだろ!?」」


 仲、いいと思うんだけどなぁ。

 それからしばし、お昼の食事を皆で楽しむ。

 ちなみに俺はサンドイッチセットを頼んでいたんだが、なぜか一人一つづつ取っていくので俺の食い扶持が大幅に減った。


 まず天王星の猫、土星の猫、ニャルさん、クトゥグアさんが来て、しばらくしてからティリティさんとギーァ、マイノグーラさん、テインさん、スパウさん、くねくねさんが同時にやって来る。

 そして地球の猫と夢の守護者さんが揃い、未知なるモノさん、案内人君が合流。

 食事が終わりそうになった頃にレイレイさん、りんりんさん、なのさんがやってきた。


 そして、宿を後にしようとしたところで、宿にやって来るコトリさんとキマリスさんが現れた。

 うん、なんでキマリスここにいんの?


「オイっスー。皆のアイドルキマリスさんだぜぇ。ピスピス」


「二人で受けて受かりました。私だけだと無理そうだったので」


 なるほど、キマリスさんを引き込んだわけか。

 そういや最近キマリスさん放置状態だったから、暇だったんだね。


「なんだよ少年君、まるでボクがぼーっとすることしかできない暇な人みたいな顔して! いいかね、僕は悪魔キマリスなんだよ! 悪魔っていうのは堕落させるのが仕事なの、つまり見てたら一緒にだらだらしたくなるようにだらけるのも仕事なんだよ!」


 そんな仕事はねぇ。


「まぁいいや、キマリスさんもドリームランド来れたなら一緒にナスの谷行くんだろ」


「ナスさんの谷? ナスさん連れてきた方がいいんでない?」


「彼女とは関係ないだろ、多分」


「それよりヒロキ、船どうするか決まったか?」


「今日停泊してる船の中であの島行けるの、いい船ありますかね?」


「案内人君。船の用意は既に出来てるんだ。とりあえず町の外行こうぜ」


 外? と皆小首をかしげる。

 せっかく来たのにまた外ぉ? とキマリスさんが文句言ってるけど、気にせず俺は歩き出す。

 いや、いきなり進水式はさすがに怖いというか、そもそもこの船海に浮かべる必要ないというか。


 郊外にやってくると、平らな場所を探して手ごろな場所を見つける。

 皆が巻き込まれないように距離を取り、俺はソレをアイテムボックスから取り出した。


「はぁぁぁ!?」


 ソレは、船と言えば船だった。

 しかし海に浮かぶような船とは似ても似つかぬバトルシップ。

 地面に接する場所は平であり、地面に設置されることを想定した船底となっていた。


 特殊金属で作られた船の後方には、パドルの代わりにロケットエンジンの群れ。

 戦艦大和と彷彿とさせる甲板。無数の銃器がそこかしこに取り付けられ、まさに戦うための船である。

 ただ、コレが浮かぶは海でなく、空。あるいは、宇宙。


「アインシュタイゼン研究所開発、地球産UFO。宇宙戦艦【千年帝国ミレニアムエンパイア】」


「何開発してんだあの研究所!?」


「この船なら俺たちで動かせるぜ!」


「それは良いけどヒロキ。これ、動かせるのか?」


「そこはほら、丁度キマリスさん来たから、ほら、これ取説。指示出しよろ」


「ちょぉい!? いきなりボクの仕事キツくない? ねぇ、キツくない?」


 まぁとりあえず動かそうぜ!

 オラ、ワクワクすっぞ!

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― 新着の感想 ―
堕落へ誘うキマリスさんをきりきり働かせるヒロキの悪魔っぷりに感服しましたぜ
しかし改めて思うことは通常プレイ(ただの学生)してるヒトどれだけ居るんだろ〈UFOとか神魔が居るゲームで
地球の舟(UFO)出港 キマリス「わーこの舟、自爆装置あるな…」 ヒロキ「使ったら研究所にキマリスさんを売るから」
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