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95.幽霊嫌いを克服したい3

「はぁ、幽霊ですか」


 若いお坊さんに本日来た理由を告げると、ちょっと困惑した表情で考え込む。


「いえ、お墓に行って頂くのは別に問題ないのですが、幽霊は霊感か霊視を持ってないと見えないのですよ、皆さんスキルはお持ちですか?」


「ああ、俺は手に入れたぞ」


「あーしも昨日ようやく」


「わ、私だって手に入れたわ!」


 え、ヒバリさん手に入れたの!? アレって意識を持って幽霊見ようとしながら幽霊見つめ続けないと手に入らないはずなんだけど。もしくは幽霊感じようと思って感じないと手に入らないはず。

 つまり、本気で幽霊克服しようと努力してたってことか。なんか、悪い気がするなぁ。

 一人勝手にいろんなとこ行ってたし。


「こちらが墓場になります。あちらの奥は無縁仏になりますのでできるだけ近づかないようにお願いします、さすがに怨霊の呪いを解くのは大変ですから」


「なるほど、奥に行くほど危険な幽霊が居るってことか」


 とりあえず、ヒバリさんの克服には手前の幽霊さんたちで充分だろ。

 なんかその幽霊たちが誰かの墓の上をテーブル代わりにして談笑してるんだけど?

 留吉さんがーとかお梅さんがーとかご近所の御老人集会かな? と思えるくらいになんか楽しそうだ。


「ひ、ひぃぃ、ゆ、幽霊がいるっ」


「いや、そりゃいるだろうけどもよ」


「つーかあいつら井戸端会議中じゃね?」


 んー? なんか変だな。


「もしかしてだけど、全員幽霊の見え方違ってる?」


「あ?」


「それってあーしが見えてるジジイやババァがヨシキとヒバリには見えてないってことか?」


「え、お爺さんにお婆さん? あ、あの靄、人の形してるの!?」


「俺にゃなんか靄っぽいのが揺らめいてるようにしか見えねぇぞ?」


「マナーとしてあまり聞いちゃダメなんだけど、全員今のスキルレベルは?」


「俺の霊感はLv3だな」


「わ、私は昨日取ったばっかりだから1なのよ」


「あーしは霊視でLv2だぞ?」


「スキルの違いだな。霊視スキルは霊の形を見るスキルだから相手の姿が見えるんだ。逆に霊感スキルは霊が何処に居るか分かるスキルだから相手の容姿がはっきり見えるまでの必要レベルが霊視より高いんだよ」


「はぁ? じゃあ霊視の方がいいじゃねーか」


「いや、霊視は見た場所に存在する霊が見えるってだけだから戦闘するなら霊感の方がいいよ。霊が周囲のどこかに存在してる、となんとなく近くに居るって分かるようになるから」


「あー、霊視と霊感の違いってそういうことかよ」


「霊の姿が見たいだけなら霊視の方がいいけどね。取り方は確か幽霊が何処に居るか感じようと思うんじゃなくて、霊体が居る場所を見ながらソイツの姿を見たい、と思いながら見続ける事、だったかな?」


『なるほどねー、ヒロキはハナコさんが居る場所を感じたいではなく、ハナコさんの姿をしっかりと見たい、と思ったから最初に霊視スキルを手に入れた訳ねー』


『ちょ、ちょっとテケテケ。……もぅ、なんか恥ずかしいじゃない』


 そりゃもうハナコさんが居るのが分かるだけより見て直接対話出来た方がいいし。おかげでテイムまでできたんだから霊視様々である。とりあえず拝んどこう。


「成る程なー。よし、だったら話が早ぇ、ヨシキもヒバリも目の前の靄が人型に見えるようになるまで見続けて霊視取れよ。そしたらハナコさんたちと挨拶だ。幽霊だけど話ができて相手の容姿が分かればかなり恐怖は軽減されると思うぜ。なぁ?」


 と、ユウがハナコさんに視線を向ける。

 ハナコさんはそれに笑顔でそうね、と答えた。

 そういえばハナコさんの声ってこいつ等に聞こえてないみたいだけど、なんで?


『チャンネル開いてないからよ。私達幽霊は会話したい人間にチャンネルを開かせて語りかけるの。これってそのまま呪いを掛ける術にもなるから、テイムされた幽霊でもない限り話を聞くことは難しいわよ。敵対状態で会話するのは呪われる寸前と思った方がいいわ』


 そ、そうだったのか!? 

 ま、まぁハナコさんになら俺は呪われても……


『呪わないわよ?』


 ですよねー。


「あー、なんかだんだん見えて来たような?」


「そろそろスキル欄に霊視でてねぇか? 入れ変えたら多分見えるようになるぞ?」


「おー、ほんとだ。サンキューユウ。お、マジで見えた! なんだありゃ、もやっとしてる時は幽霊ってヤベェと思ったが、ただの老人会じゃねーか!? ビビッて損したぜ」


 ビビッてたのかヨシキ……


「ヒバリはどうだ?」


「え、ええ。まだ手に入っては無いみたい。うぅ……」


 本当に見たいと思ってればそろそろ手に入ると思うんだけど、見たくないって思いが相殺してたりしないだろうか?


「あ、あったわ! 霊視スキル。これで……え? 何アレ?」


 霊視に着け変え墓の上に座って談笑しているじいちゃんばあちゃんを見て、ヒバリは呆れた声を出す。


「あ、そりゃヒバリが恐い恐いっつってた幽霊じゃねーか」


「ただのお爺さんとお婆さんにしか見えないんだけど?」


「無害な幽霊だからね。基本ノンアクティブだから恐くもないよ」


 ハナコさん達がいなかったら襲って来てたかもだけどね。ソレは言わないでおこう。 

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