表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

954/1104

950.デスエさんのお料理教室

「たのもーっ」


 どばんっとキョウカとダイスケにより蹴り開けられたドアから室内へと入る。

 そこはキッチンがいくつも存在するお料理教室だった。

 ただし、人は一人しかいない。


「あら? 随分と乱暴な新規さんね」


 お皿を拭いていたのは、どう考えてもヤバいオーラしか出ていない長髪の黒髪女。

 井戸から這い出てくるようにしか見えない足元まである長い髪。

 そしてなぜか赤黒い飛沫が飛んでいる白いボロボロのワンピース。

 線の細い白い四肢は病的で、どっからどう見ても幽霊いや、悪霊にしか思えない女性である。


 こういう容姿の女性、このゲーム結構多いよね。

 運営の誰かが好きなのかもしれん。

 長い前髪の隙間からギロリと片目が覗く。


「ここは私、デスエさんのお料理教室。お料理を習いに来た新規加入者、には思えないけれど、何か御用?」


 他の人が相対してくれるかな、と思ったので俺は室内を把握する方に回る。

 しまったなユウキさん連れてくればよかった。

 デスエさんイベントには関係ないと思って連れてこなかったけど、サユキさん関連だしいた方が良かったのかも?


「ここに料理を習いに来た二人がいたはずなんだけど、まだ帰って来てないのよ」


「誰なのかしら? 結構な人数習いに来ているから、もしかしたらまだ中にいるのかもしれないわ」


 中? ああ、デスエさんの背後に扉が一つあるな。

 壁と同じ色合いの扉だったから気付かなかった。

 ふむ。料理教室内部は本当に料理をするだけの施設だな。


 しかしデスエさんの使っているキッチン以外は使用形跡すら見当たらない。

 デスエさんにしても、皿を洗ってるだけで他の食器は見当たらないしな。

 まるで俺たちが来るまで暇潰ししていた気配すらする取ってつけたような皿だ。


「そちらの部屋。見せていただいても?」


 マイネさんが話をしてくれるようなのでお任せしよう。

 気になることがあれば都度割り込ませて貰うかな。


「あら、ダメよ。ここを潜っていいのは新規加入者だけだもの。料理教室に加入してくださらないと」


「じゃあ加入するわ。それでいいかしら?」


「入会金一万円で月謝が三千円です」


「金取るの!?」


「あいあい、俺が出しますよー」


 金は余ってるので全員分出せるよ。


「あら、いいの? じゃあお言葉に甘えるわ」


「んじゃデスエさんコレ月謝と入会金っす」


 人数分・・・のお金を支払う。


「はい、まいどありー。ではこちらの料理教室について説明いたしますね」


 おー、早速今から開始なのか。

 あ、コトリさんとティリティさんはこっちに。


「ん? ダーリン?」


「旦那様、なぜ皆様と離れた場所に?」


 両隣に二人を侍らせ、俺は腕を組んでキッチンの一つに背もたれる。

 まぁまぁとりあえずここで聞いとこう。


「この教室では料理の仕方を体験しながら学んでいただきます。まずは皆さんあちらの扉から内部にお入りください。その後、私が指示いたしますのでその通りにお願いしますね」


 っし、行くぞー。と気合十分のダイスケたち。

 タツキ君はちょっと訝しんでいたけど、マイネさんがさっさと潜ってしまったの慌てて後を追う。

 そして、この部屋にはデスエさんと俺、コトリさん、ティリティさんだけが残った。

 行かなくていいのか、とドアと俺を交互に見るティリティさん。

 その眼の前で、重そうな扉が音を立てて閉まった。


「貴方達三人はいいの?」


「まぁ料理教室体験を見学しようかな。と思ってね。んでさ。あんたあいつら殺すつもりか?」


「まぁ怖い。なぜそんなことを思うのです?」


「言う必要あるか? 俺が怪しんでる、そのことが重要だと思うが?」


 当然、カマかけである。

 もしかしたら、という可能性の段階でしかないが、もしもそうだったら面倒すぎる、という考えは一応あるんだ。

 何しろデスエさんとか死に関連性がある名前とか、なぁ。


「……はぁ。さすがはヒロキさん」


 おい、なんで名前呼び出来るんだよ!?


「いやぁ、お見事。御見それしました。まさか私が、デスゲーム委員会の生存者だと見抜くとは」


 ……はい?


「デスゲーム委員会自体は滅んでしまいましたが、各地でデスゲームを開催していたメンバーはまだ生きてるんですよ。当然、自分たちのやれる範囲でやりますよね、デスゲーム!」


 恍惚とした顔で告げるデスエさん。

 ヤベェ、想定していた斜め上に突き抜けてヤバい奴だった。

 せいぜい運営のことだから妖怪とか魔族とか人を殺して何かしらメリットを持つ奴だとばっかり思ってただけに、そこに至るとか想定外すぎる。


「や、やはりデスゲーム委員会の生存者か」


「ここは私の殺しの巣! 何も知らない阿呆共を私が料理するお料理教室! ふふふ、貴方の仲間たちが切り刻まれ美味しく料理される姿を見るがいいわ!」


 お、おー、スクリーン放映か。わざわざ上に上がっていたスクリーンを引っ張り落とし、どこかの映像を投影する。

 お、タツキ君たち。と別の画面に蛇々利さんとサユキさんが映ってる。一応二人ともまだ生存中のようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
な、なんだってー!?(゜ロ゜;)
デスゲ委員会残党!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ