94.幽霊嫌いを克服したい2
「まぁいい。ンで? ヒロキはどこか行く予定あんのか?」
俺の冒険譚を聞き終え、粗方感想という名のツッコミを終えた彼らは、俺の予定を確認して来た。
恐らく今日はこのまま一緒に行動するつもりなんだろう。
んー、まぁ一応急ぎではないから言うだけ言っとくか。
「予定というかとりあえず行ってみようかって思ってるのは寺かな」
「寺?」
「そういえば移動選択肢にあったわね寺。なんでまたそんなところに? イベント?」
「イベントっちゃイベントだけど、ほら、俺初イベント脅かす側になる訳だし、どうせなら新メンバー増やしてみようって輝に幽霊の出そうな場所聞いたんだ。そしたら寺に行ったらいいと言われてさ」
ああ、あからさまにヒバリの顔が青くなった。
「寺か……まぁ神社の幽霊塗れはまだ無理だろうし、寺なら、いけるんじゃね?」
「そ、そうね。耐性、付けなきゃよね」
「あー、無理はしない方がいいよ?」
「だ、大丈夫よ。これはゲーム、これはゲーム、ゲームの幽霊だから大丈夫、大丈夫、だいじょばない」
これ、ダメじゃないかな?
「しかし、誰も居ないように見えるのに、ヒロキの傍には無数の幽霊が居る訳か」
「ちょっとユウ! 想像させないでっ。ヒロキと普通に話そうとしてるんだからっ」
普通に話すのはいいけどヒバリの容姿はカラスマスクツーブロックの男子小学生だぞ。それが女性口調でしゃべってるからなんかもう凄い違和感しかない。
「一応伝えとくけど、ハナコさんとは今別行動中だからね。テケテケさんはともかく、稲荷さんは神様だし、ツチノコさんは蛇だし、ディーネさんは精霊だから幽霊ではないからね」
「でもまぁヒバリからすりゃソレらも幽霊扱いみたいだな。できれば姿見せないように頼むわ」
「えー、マネージャーさん、挨拶したかったーっ」
「はいはい、ディーネさんステイ」
とりあえず寺に行くのは確定みたいだな。
ハナコさんたちと合流して一緒に行くか。
「丁度ヒバリの訓練に良さそうだしよ、俺らもツレてってくれや」
「問題あるかヒロキ?」
「いや、ヒバリさんが問題なければいいよ」
「ええ、是非お願いするわ」
本当に大丈夫か?
まぁヤバそうならスレイさんに看病お願いするか。
んじゃま、折角だし久々にこの三人と遊びに行くか。
三人にはお寺に直接向って貰い、俺はハナコさん達を迎えに行く。
戦闘員に襲われている、なんてことはなく、普通に暇そうにしていたメンバーを回収し、俺達はお寺へと向うのだった。
さすがにスレイさんとネネコさんは隠れられないから普通に紹介すべきだよなー。ネネコさん、ヒバリさんは大丈夫だろうか?
まぁ、紹介するしかないよなぁ。
お寺へと向う。
ルート選択を行うだけで境内に向う入口まで一気に飛んだ。
階段登った後の状態まで飛ぶのって何気に凄いよな。
「お、遅か……破廉恥大魔王ッ!!?」
「ちょ、なんで全裸なんだその女ッ!?」
「変態だわ、変態が居るわーっ!!」
あー、ネネコさんそういえば全裸のままだった。
出会った時からこのままだったから普通に服着せるの忘れてた。
「ネネコさん、後で服、買おっか」
「ん? おら別にいらねぇだが?」
「全裸で徘徊すると他の人が眼のやり場に困るから。下着だけでもお願いします」
『そういえばネネコさん全裸だったわね。さすがにこのままイベント参加させたら運営からクレーム来そうね』
そんなキャラクター作るなよ? 自分等が作ったキャラじゃん。
まぁ俺的には、ありがとうございますっだけどさ。
「えーっと、最近仲間になったネネコさん、ちょっとインパクト強いけど、河童さんです」
「話には聞いてたが、良いのかその姿で……」
ヨシキがそっぽ向いて告げる。紳士だ……
ガクラン着せようか迷ってるけど小学生の服掛けられてもネネコさんは隠れないぞ。
これは、戦闘員服引っぺがしておけばよかったかな?
「仕方ないわね。後でちゃんと服、買いなさいよヒロキ」
「垢BAN喰らいたくないし、早急に買う事にします」
「それがいい。なんならあーしも手伝ってやるよ、服選び」
いや、ユウって中身男だよな? バ美肉オジサンはお帰り下さい。オジサンかどうかは別として。
「んで、こちらがスレイリーアさん」
「よろしく」
「あら、可愛らしいお嬢さんね」
「少女に白衣って、お前、そんな趣味なのかよ」
「ちょ、スレイさんのは自前だからな。勘違いするなよユウ」
「あー、お前ら、どうでもいいが、あそこのあんちゃん困ってっぞ」
境内の前で竹箒持ったままこちらを困った顔で見ている若いお坊さん。
「あー、すいませんいきなり来て挨拶も無しで」
「いえ、問題はありません。本日は何かご用でも? また弔いですか?」
あ、前回の事ちゃんと覚えててくれたのか。
「あの件はどうも。御蔭で二人生還させられました」
「おや、では残る二人は……」
「教会でゾンビ化したのち、その場で浄化されました」
「おお、なんという……ご冥福をお祈りいたします」
両手を合わせて眼を閉じるお坊さん。様になってる。さすがお坊さんだ。拝んだだけで徳が高そうな気配がする。俺も拝んどこう。




