944.エルエさんの秘密のアレ
とりあえず、最後の最後でしょーもない発明を見せられた俺はアインシュタイゼン博士と共にエルエさんの研究している場所へと向かうことにした。
最後の発明はアインシュタイゼン博士の名誉を地の底に沈めかねなかったので、残念ながら紹介すらも端折ることになった。
うん、あんなものこの世界に生み出してはならないんだよ。
アインシュタイゼン博士に断って粉々に破壊させていただいた。
全く、何が儂の知能の結晶だよ。あんなエロスしかない物体破壊するしかなかったわっ。
なんであんなもん考えついたし!
正直見た瞬間に破壊しなかった俺を褒めてほしいくらいだ。
ダイルンバー君までで止めとくべきだったと凄く後悔したよ。
「はぁ、儂の最高傑作……」
「アレはこの世に出すべきじゃない奴だったな。俺も動画からは削除しておく。生まれるべきではなかった最高傑作だったよ、アレは」
「そうかのぅ、時代を先取りしたと思うんじゃが」
「先取りしすぎていて現代では受け入れられる許容値を越えてたんだ」
「ふむ、それでは仕方ないのぅ」
聞き分けが良くてよかったよ。
あんなもん俺以外に紹介された日には大量のアカウント爆発が起こりかねない。
エルエさんのいる研究施設へとやってくると、エルエさんはカプセル内部に入れられており、周囲の機械がものすごい速度でいろいろなデータを下から上へと書き続けている。
あ、いや違う、上から下に書き続けてるから昇ってるように見えるだけか。
素人目には謎の文字列が移動してるようにしか見えない。
たまに同じような文章があると停止しているようにも見えるし。
「西園寺君、どうじゃな?」
「素晴らしいですアインシュタイゼン博士! 新しいプログラムのおかげで快調です。さすが博士、予想以上に素晴らしいプログラムです」
「うむ、そうじゃろうそうじゃろう。実はなヒロキ君、あのプログラム別のプログラム打ち込んどったらできたんじゃ。エルエ君の解析に役立ちそうじゃから導入してみたんじゃが、随分と解析が進んだらしい」
「で、今はどのような状況かの?」
「エルエさんの起動式から自爆式までの記述はほぼ全て解読できました。量産型であれば現行の素材で再現可能ですね。ただ、やはりブラックボックスとなっている感情関連や記憶関連、それと素材取り込み術式は未解読ですね。どうもこのプログラムを含め現代のプログラムでは解析不可能だと思われます」
「つまり、その三つは別のアプローチを行わねば解析すらできないわけだ」
「はい、さすがに現状では見当もつきませんのでわからないもの、として結果を表示しております」
「うむ。ならば今はそれで満足しようかの。エルエ君の秘密は未だに秘密という訳じゃ」
エルエさんの秘密のアレは暴かれなかった、と。
「それとエルエさんの装甲なのですが」
「うむ、素材はなんじゃ?」
「現状見つかっている素材の中で、一番近いのはヒヒイロカネと思われます。ただ、通常のヒヒイロカネと比べ異常に硬い上に再生能力まである素材なので、別の金属と掛け合わせた合金ではないかと」
「その金属はわからんか?」
「金属かどうかもわかりませんね。推測ですが、古代技術には金属外の何かと掛け合わせている技術があったのではないかと」
「例えば?」
「ゲーム知識ですが、再生能力持ち、トロールなどの皮膚とか? オリハルコンやアダマンタイトも入っているかもしれませんし、魔力も扱えることからミスリスも若干混ざっているかもしれません。ただ、混ざり方が複雑すぎて、現状では分析すらできない状態です」
「成分分析が出来んか、難儀じゃのう」
とりあえずエルエさんを新しく作るのはまだまだ難しいってことだな。
「サンプルが欲しいのぅ」
「サンプル?」
「うむ、古代の武器でも道具でも兵器でもなんでもいいんじゃ。なんかこう古代っぽい何かが欲しいのぅ。複数のサンプルがあればエルエ君の後継機を儂らで作ることができるはずなんじゃ」
現代によみがえる古代技術か。
んー、古代、古代なぁ。
「俺の把握してるところで古代っていや、アトランティスか夢の島か」
「ほぅ! アトランティスじゃと! 確かにロマンがあるのぅ」
確か地図に載ってたはずだし行こうと思えば行けるはずだ。幸いにも足は手に入った訳だし。
「是非に古代の道具を持ち帰ってくれたまえ。さまざまなモノがあればそれだけ解析力が高まるはずじゃ」
「ま、期待はしないでくれ。行くだけは行ってみるつもりだし」
ドール討伐迄の時間は……
まぁ何とかなりそうか?
そろそろヤバいっちゃヤバいんだけどなぁ。
ただ、運営の方からいつからイベントやります、みたいな話がまだ一切出て来てないんだよな。
となると、調整に戸惑ってるのか、あるいは機を見てちょうどいい時期を狙っているのか。
俺の準備が一段落するの待ってくれてるならちょっとゆっくりしたくはあるんだが……




