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942.科学の暴走の果てに……やりやがった

「もう一つあるんじゃー」


 と、別の場所へと連れていかれた俺とアイネさんが見せられたのは、まさかのもびる……いや、なんだこのパチモン臭漂う人型機械?

 なんだこのモノアイ機械は?


「アインシュタイゼン式人型機械、アインシュタイゼンスーツ、略してASじゃ」


 ほんとパチモン臭しかしねぇな。

 これ一応動くのか?


「ふっふっふこれがこのASの操作説明書じゃ。エルエ君の機構を儂なりに読解して作り上げた逸品じゃぞ。エルエ君でも十分動かせるじゃろうが、人が乗ってこそ真価を発揮するんじゃ」


「ふーん。ま、使えってなら、アイテムボックスに回収して適当な場所で使うか」


「あー、起動するとこ儂も見たかったのに!?」


 回収したら怒られた。

 

「おー、いたいた、ヒロキー。今どんな感じだ」


「あれ? キョウヤじゃん」


 ASドッグにASをお返ししたところで人身御供がやってきた。

 ヒツギとラズナはまだスコップにこだわってるらしく、飽きたキョウヤがなんか面白いことを探して俺に合流してきたようだ。


「ちょうどいいや。これ、ASっていう乗り物なんだけどさ。これ操作説明書。初乗り、やってみるか?」


「人型ロボじゃん! 乗れんの! マジ、やる!」


 俺から操作説明書をひったくったキョウヤ。

 そのままASへと乗り込んでいく。


「あ、これ操作説明書の予備じゃ。原本は儂が保管しとるから無くしても安心じゃよ」


「そりゃどうも。ところでアレ、人が乗って安全かどうかの確認出来てんの?」


 ふと、一応聞いとくか、と尋ねてみた。

 返事は返ってこなかった。

 ブゥゥンっとモノアイに光が灯る。

 あの触覚っぽい額の奴ってなんなのアインシュタイゼン博士? え、ただのフォルム。カッコイイじゃろ? いらんだろ。

 というか口元どうにかならなかったのか? なんかプ○デターとか捕食者系の口元になってんだけど。


 ブシュ―っと胸元に付いてるフィルター? なにあれ? 排気設備?

 あー、重心安定用の空気掃き出し口なのか。

 お、飛べるの!? すっげー、空に飛んでった! めっちゃ空中機動出来るじゃん!


「そうじゃろうそうじゃろう!」


「キョウヤの奴張り切ってんな。サーベルはビーム系、じゃねぇな。あれはレーザーか? レーザーソードとかどこまで広範囲切れるんだ?」


「途中で減衰するしのぅ。まぁあの出力なら数百キロくらいじゃの」


「えげつねぇ距離だな」


「まだ試作機じゃからな。基本のレーザーソードと超電磁ライフルしか装備がないんじゃ」


 おい、またヤバいライフル装備してんじゃん。あ、打ちやがった!?

 おい、なんか遠くの山が爆散したぞ!? あれ大丈夫か!?


「あー、あの辺りはマップ端の先じゃし、爆散しても問題ないわい」


 急にメタるじゃん。ゲーム可動範囲外なら確かに爆散しても被害はないけどさ。

 散々遊んで満足したのだろう。

 ドッグ前へと戻って来るASが地面に降りてくる。

 ガション、と地面に着地し、蟹股状態になった瞬間だった。

 そのまま、ASが動かなくなった。


「うん? キョウヤどうした?」


「んー? あ、しもうた」


 すると、アインシュタイゼン博士が自分の額を掌でぱちんっと叩く。


「落下の衝撃、操縦席にダイレクトに伝わるんじゃった」


 衝撃逃がすように出来てねぇのかよ!? キョウヤ、まさか着地の衝撃で死んだ!?

 おーい、キョウヤー? こっからだとコクピットまで行けないな。

 アイネさん、ちょっと様子見てくれる?


 アイネさんがぱたぱたと飛んでいき、コクピットへと向かう。

 胸元にあるコクピットを手動で開けると……俺を見て首を横に振った。


「とりあえず、拝むか。南無ー」


 俺が拝むとアインシュタイゼン博士もまた、拝む。


「成功には犠牲は付き物、おまいさんの犠牲、無駄にはせんぞい」


 ちょっとは罪悪感持とうかマッドサイエンティストめ。


「手直しが必要じゃのぅ。納品はもうちょっと待っとくれ」


「それはいいんだけど、あのコクピットには乗りたくないぞ。人一人死んでるし」


「総取り換えじゃのう。仕方ない。今回のコクピットは量産化の時にしれっと混ぜるか」


 せっかく作ってばらすのもったいないからって有効活用すんじゃねぇよ!?


「さて、まぁこれは他の奴に任せて、次のものを紹介しようかの。アイネ君お待ちかねじゃ」


「ワタシ用?」


「うむうむ。複眼持ち用の補助眼鏡と槍を作ってあるんじゃ。ちょうどいいから実験……うおっほん。まぁちょっとお試しで使用してみてくれ」


「おい、今実験とかいったよな? アイネさんまで死亡確率高い実験に参加させんじゃないよ!?」


「ま、待て待て、死亡率は高くないわい。さっきのはうっかりミスじゃ」


「なお悪いわ!」


 うっかりミスで人死なせておいて、じゃ、次行こう、はさすがにダメだろ!?


「科学の進歩に犠牲は付き物なんじゃ。次に生かす。そのために儂らは振り返らず進むしかないんじゃ!」


 なんかいいこと言ってるふうにして強引に進みだした!?

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― 新着の感想 ―
さらばキョウヤ… ヒロキ「まあ死に戻っただけだが…」 博士「テストパイロットにプレイヤーを 雇用すれば開発が捗る!!」
人類にはまだ早い機体じゃったか
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