936.騒動終わりて
解放された八人組はそれぞれ自分の家へと戻っていった。
時間が経過しすぎているのでちゃんとあるかどうかわからんけど。もしも家がなくなってるようだったら一度ここに戻ってくるようにとは言ってあるから路頭に迷って勝手に死んでた、とかは多分ないと思う。
それにしてもあのクソガキだよ。
まさか成仏で逃げるとは思わなかった。
これだけのメンバーを巻き込んどいてヤバくなったら逃げるとか。
「サユキさん」
「何ヒロキ君?」
「サユキさんにはしばらくゲーム禁止令を言い渡す! さすがに二度あった以上、次のゲームで呪いのゲーム引く可能性高そうだ。二度あることは三度あるからな。つーわけでドール討伐が終るまでゲーム禁止!」
「そ、そんな!? ウチからゲーム取り上げたらなんもないで!?」
「もうちょっとなんかあるやろ姉貴……」
「ユウキさんもユウキさんだ。お姉さんの目付け役になったはずなのになんで一緒に呪われてんだよ!」
俺の言葉にユウキさんはなんともバツの悪そうな顔をする。
「いや、だってよぉ、姉貴が格ゲーしようぜって言ってきたから、まぁ久々やってやるかーって起動した瞬間呪われて」
「つまり今回もサユキさんが原因なのな?」
「ちょ。ユウキ! 裏切ったなぁ!?」
「待てや姉貴、今のは揚げ足取られただけやん!?」
ふっ、姉妹喧嘩とは醜い。
「ともかく、サユキさんはゲーム禁止です。テレビの電源抜いとくからドール討伐まで入れないように」
「酷い!?」
「俺な。皆と七不思議攻略行くつもりだったんだ」
「あ、いや、その、それはごめんて」
「タツキ君たちとさ、モヒカンズとかさ、ヒツギ君たちとかさ、方々に今日行けなくなりましたって電話かけてさ」
「あ……ぅ……」
「謝って謝って攻略諦めてさぁ。ようやく呪いのゲームから助け出した相手がさぁ、次の日また別の呪いのゲームしてんだよ。七不思議攻略もとん挫だよ。なぁ? まだ、ゲームするか?」
「すいませんでしたっ」
いやね、俺も土下座しろとはいわないけどさ。そんな土下座しなくてもいいからさ。
とりあえず準備万端でドール討伐望みたいんだよ。なのに毎回サユキさんが呪われてゲーム攻略必要ですってなったらさ、この遅れどうすればいいわけ?
「あ、そ、そうだサユキさん。私料理教室始めることにしたんだけどさ。サユキさんも一緒しない? 知り合い連れて行ってもおっけーって言われたし、サユキさんそろそろ料理スキル上げた方がいいと思うし」
珍しく蛇々利さんが助け舟を出す。
料理教室ねぇ。
「ちなみにその料理教室ってどこの教室?」
「えーっとね、たしかデスエさんって人が開いてる料理教室なのよ。テレビで何度か放送もされてるらしいから詐欺とか危険な場所ではないと思うけど……」
デスエさんってなんかどっかで聞いたな?
えーっと、ありゃ、これ蛇々利さんとサユキさん用のイベントじゃん。
なんか変な感じに繋がったな。
「なんか二人はその料理教室でスキル覚えるっぽいな。蛇々利さん、他にタツタさんの料理教室とかあるようならサユキさんとユウキさんでそっちも登録してくれるか?」
「ええ。そのくらいはかまわないわ。じゃあ明日はサユキさんと二人で行ってくるね、だぁりん」
きゃぴっと可愛らしく言う蛇々利さんだけど、髪が長いのと表情が暗いのでどう見てもニチャァっと微笑んだようにしか見えない。
「はー、しゃーない。しばらくゲーム禁止やし、ちょっとその教室顔だそかぁ」
「姉貴は運動しないし、たまには外歩いた方がいいんだよ。その間ウチもサッカーできるし」
女子サッカーでも目指すのかユウキさんは?
「ギーア」
ん? 今回の功労に何か欲しいって?
まぁギーアのおかげなのは確かだしな。
なんかほしいのあるのか?
え? クリスタライザー欲しい!? 無茶言うな。
いや、でも夢の守護者さんに聞いてみようぜ。どうせこの後会うだろ?
「主、ドリームランド行くのか?」
「ああ、これから行くつもりだけど?」
「では今回からこの肉も同行願う」
「そりゃ構わんけども、コトリさんみたいにテスト受けないといけないんじゃないか?」
「不要、この肉は自由に行き来できる。許可貰えば勝手に向かう」
「じゃあ許可出すよ。俺らダイラス・リーンにいるからそこで合流するか」
「ん。了解」
スパウさんもドリームランドに入場したいらしい。
一応外の神系列だし自由に出入りも出来るようだ。
俺らはテストいるのに、羨ましい限りである。
というか、そっか。
よくよく考えるとコトリさんは今回テスト受けないといけないのか。
テスト勉強してる? え、してない!?
じゃあとりあえず寝るまでヤマカン勉強しとこう。少しでも当たりそうな回答ができるようにしないと合格できないからさ。




