表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

939/1103

935.そう来たか

「よし、殺すか」


 情報は聞かせて貰った。

 少年の話は同情の余地もある。

 うん、でも俺の手を煩わせたことと比べりゃ逆恨みみたいなもんだ。

 俺にとっては同情の余地などない。

 捻り潰して良し、の相手である。


 だってさ、こいつゲームばっかしてるの親に怒られて、ゲーセンに家出したんだと。

 ゲーセンの従業員さんに追い出されて途方に暮れてるところにトラック突っ込んできて死んだんだとか。

 そこは同情の余地がある。


 なんでその後ゲーマーを取り込んで呪い始めるのか意味が分からん。

 皆で仲良くゲームがしたかったとか言うけどゲーム内閉じ込めて無理矢理格ゲーやらせるクソ仕様とか呪い以外のなんでもないわ。

 同情の余地、死んでからは不要だろ。さっさと消そうぜ。俺は眉間に打ち込む気満々だ。


 そもそもこいつがサユキさんたちをゲーム世界に拉致ったせいで俺は七不思議攻略に向かう時間を潰されてんだよ。

 しかもサユキさんたちはわざわざラスボスやって邪魔しようとしてくるとかマジふざけんな。ぶっ殺すぞクソが。

 サユキさんたちもサユキさんたちだよ。


 一度ゲーム世界取り込まれてヤバかったのになんでまたやらかすの、次やったらただじゃおかんぞ。

 一度マジでわからせる必要あるか? あぁん?


「で、でもほら、ヒロキさん、ウチもゲームやるから分かるんやけど、死んでもゲームしたい、思うやん」


「だったら自分とそれに共感した奴だけでゲームすりゃいいだろ。なんで罪も何もねぇ一般人取り込んで強制ゲームクリアできなきゃそのまま取り込みますとかやってんだ? そんなもんただの呪物じゃねぇか。俺にとっちゃ敵としか認識できねぇよ」


 どこに共感するポイントがあるのか全く分からん。

 コトリさんみたいに話が通じる相手とかでもなくいきなり攻撃してきて取り込んで自分ルール持ち込んで……あれ? それってユウキさんじゃね?


「へ? う、ウチ?」


 会った時いきなり喧嘩吹っかけてきて自分ルールで潰しにかかって来たよな。

 なんか自分が勝ったら周囲の女貰ってやんぜみたいな?

 それで負けたからサユキさんとユウキさんがテイムされた訳だけど。

 あれ、よく考えたた俺にとってはただの敵だよな?


「ま、待て待てヒロキ、ウチらほら、今まで仲良くやってきたやん?」


「ヒロキさん、さすがに外道でも味方殺しは看過できないよ」


「まぁ待てプリレッドさん。よく考えてみてほしい。暗黒大魔王軍の首領がいきなり攻撃してきて我が勝ったらお前たち全員悪の限りを尽くして我が部下と成れ、勝負は腕力のみだとか言いながら襲い掛かって来てさ、なんとか撃退したら負けたらお前らの味方になってやるぜ。って勝手に付いてくるんだぜ。信用できるか?」


「さすがに無理かも?」


「敵だった奴が勝手にこれからは味方だ仲よくしよう。とか言われても、信頼ないだろ?」


「言われてみると確かに? ユウキさん、そんな危険人物だったんだ?」


「え、待って、プリレッドさん、ブルーさんとグリーンさんも、納得したらあかんて! よー考えて、ヒロキの口車乗ったらあかんって」


「口車も何も事実じゃん。クソ野郎だろ? んでそこの少年の話なわけだけど。確かに死ぬまでの話は同情の余地あるんだ。でも死んだ後って人様に迷惑かけまくってるわけじゃん。そこの八人は根がいい奴みたいだから仕方ない奴だなぁで済ませる気らしいけどよ。お前らの人生の貴重な時間を奪われてんだぜ? お前ら何年ゲーム世界にいたわけ?」


 言われてみれば、と八人の被害者も自分たちの被害についてようやく理解し始めたようだ。

 さすがにこれは分が悪い、と少年は顔を青くしている。あ、いや、最初から青い顔だったな。


「とはいえ、ユウキさんについては今までの経験と強制テイムの関係で俺に対して裏切れないってのがあるから、敵としては認識しないが、そこのゲーム霊は別だ。さぁ、どうするお前ら? そんなお前らを利用するクソ幽霊を守るのか?」


「それは……」


 葛藤し始める彼ら。もう少し話せばこちら側に来させられるか。

 じゃあ……


「いいんだ、皆。僕、充分楽しんだよ」


「え?」


「皆、ありがと、皆のおかげで、僕は……」


 ん? え? お、おい?

 嘘だろ、待ちやがれ!


 ぱーっと光が周囲に現れたと思えば、少年の体がふわりと浮かぶ。そして……

 勝ち逃げするように少年はそのまま成仏しやがった。

 あとには、困惑したままの八人の被害者と、呆然とする俺と仲間たちだけが残された。


「ふざっけんなクソガキ! あの野郎不利になったと分かって成仏選びやがった!」


「あらら、さすがにこれは私も想定外ですね……」


 一番近くに居たコトリさん。俺があいつを殺すと選択すれば逃がさないように首でも掴もうとしていたようだけど、さすが成仏するのは想定していなかったようだ。

 くぅ、撃破アナウンスじゃなくイベントクリアアナウンスだよ、ドロップアイテム手に入らんかった。あの野郎、次に会うことがあったらマジで許さん。

 俺から逃げきれると思うなよ、ちくしょーっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
予定変更やむなし ヒロキ「地獄行ってくるわ」 ハナコ「予定が詰まってるんだけど…」 ヒロキ「分かったやめとく」 ユウキ「流石、外道使いハナコさん…」
成仏……ってことは黄泉にいるな? よし、殺りに行こう。
アレか今回はTS奴隷化テイムしなかったから
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ