931.またかよサユキさん
憑き物が落ちたマイネさんは皆と協力して暗黒大魔王軍の残存戦力を撃破していった。
正直、気味が悪いくらい激変してしまった。
いや、むしろこれが元のマイネさんだったかもしれない。
俺にはバーサーカーマイネがいつも通りのマイネさんになっていたので違和感しかない。
そんなマイネさんは本日もカダテロンに行くために夜中帯はログアウトして雑事を済ませてくるそうだ。
俺はこの後最後の七不思議に行くために深夜帯もゲームだけどな。
現実世界はほとんど寝るだけに戻ってる感じだ。一応動画編集はするんだけど、最近は運営さんたちに動画を送れば勝手に編集してくれるからなぁ。半ば会社に勤めてるような感じになってるし、一応一般人なのに前面に押し出されてんだよな。ま、楽できるからいいけれど。
「さて、今日は誰行くー」
いつものように作戦会議室兼居間へとやってくると、すでに待機済みのハナコさんたちに加え、本日より正式に味方となったプリピュアの五人が揃っていた。
「正義の味方としての活動か学校しか行ってなかったこういうのはワクワクするね」
「でもイエロー、行くのは学校だぞ? 深夜の、だけど」
「言われてみれば!」
今気づいたのか。イエローさんは基本考えなしで感覚か感情で動いてるみたいだな。
まぁ天然系は毎日楽しそうだから傍にいるだけで楽しいけども。
さて、んじゃ今回はせっかくだしプリピュアの皆と……あれ?
「そういえばサユキさんとユウキさん見えないな。誰かどこ行ったか知ってる?」
「そういえば、私も見てないわね」
『あの二人、もしかしてだけど昨日からサユキの部屋に入ったままじゃない?』
「え? それって……」
おかしいな、とたんに嫌な予感がして来たぞ。
これはイベント起こってる可能性も捨てれないな。
あーもう、今回も無理なのか?
とりあえず、まずは安否確認だな。
俺たちは一旦七不思議攻略メンバーを決めるのを止め、サユキさんの部屋へと向かう。
まさかとは思うが、なぁ、さすがに二日連続でとかはないよなぁ……
ドアを開いて部屋に入る。
部屋の中は薄暗く、テレビ画面だけが赤々と光り輝いていた。
部屋の中に人気はなく、二人分のコントローラーが乱雑に投げ出されたまま。
画面の中には……格ゲーコロシアムという題名がテカテカと輝いており、サユキさんとユウキさんっぽい二人組がHELPの板を掲げているのが映っていた。
またかよお前ら……
仕方ない方々に連絡入れよう。
本日もお休みで。タツキ君たちごめんなほんと。
俺は別に行く気満々なんだけどさ、変な強制イベント入っちゃって。
え、格ゲー少女はこっち来る?
まぁ格ゲーを冠してるもんな、来るわな。
「コトリさん、今回も頼める?」
「そうね。やるしかなさそう。でも今回は旦那様は見てるだけにしておいた方がいいかもしれませんよ」
「ん? なんで?」
「ゲーム名からして格闘ゲームでしょう。下手したら銃が使えないかもしれません」
「別に使えなくてもヤクザキックとストンピングで……まぁ格ゲー少女にお任せするのもありか。コトリさんがいればほぼ確定で負けはないだろうし」
「最悪、こちら側からゲーム介入お願いします。旦那様ならきっとできるはずですから」
「了解、やれるだけやってみる。ま、コトリさんがいれば問題ないだろ。といいつつ頼りきりになる訳にはいかねぇんだけどな」
しばし待っていると、格ゲー少女と未知なるモノさんがやってきた。
未知なるモノさん、どうやら今日のログインを許されたようだ。よかったな。
「お、マジかよ。プリピュアじゃん。え、ヒロキにテイムされたの!?」
「あれ、言ってなかったの格ゲー少女さん」
「いうほどでもないかな、って。どうせすぐ分かることだし」
「なる、ほど?」
とりあえず今回はコトリさんのテンソウメツで格ゲー少女さんと未知なるモノさんを一緒にゲーム世界んに連れていくことが決まった。
俺は彼らの探索を見守る組だ。
たまには人のプレイを見続けるのも、まぁアリか。
どうやらこの格ゲーコロシアム。
二人一組で格闘ゲームを行うようだ。
二対二の入り乱れる戦闘画面で、しかも仲間の攻撃もダメージになるらしい。
味方殺しアリって、格ゲーとして最悪じゃん。
絶対にプレイヤー同士で険悪になるだろ。
ん? 電話?
あれ、未知なるモノさんから?
早速コトリさんと共に二人がゲーム世界に侵入して、すぐだった。
小首をかしげながら電話に出る。
どったの未知なるモノさん?
―― 体が動かん。どうやらそっちで動かすタイプらしい ――
ん? つまり、これか?
コントローラーを持って動かしてみると、画面上の未知なるモノさんが動き出す。
マジか。
外部入力がないと移動すらできないのかよ。
となると2Pは格ゲー少女だよな。
えーっと誰がプレイした方がいいのかな?




